イングリッド
インタビュー時:61歳
性別:女性
診断時:58歳
経歴:既婚、上級研究員
国籍:イギリス(白人)
概略:イングリッドは2008年、58歳の時に乳がんと診断された。乳房切除術を受け、それと同時に広背筋皮弁による乳房再建手術も受けた。化学療法、放射線療法、それにアリミデックスによるホルモン療法もおこなった。化学療法中は両肺に肺塞栓症を発症した。
語りの内容
それは文字通り降ってわいたような出来事でした。その年の前年、[検査ユニットでの]定期的なレントゲン撮影の案内が届いていましたが、仕事の都合で検査を受けることができませんでした。再予約は途方もなく複雑でした。私は検査を受けることが出来なかったと連絡しましたが、再予約はとてもとても難しかったのです。再予約は私からしなければならないもので、結局私は再予約をしなかったのです。
いずれにせよ、私は普通の生活を続けていました。そして、前にも話したように、休暇から戻り、その日、ロンドンに行く前に、医師との予約があったので、朝、シャワーを浴びている時でした。胸を洗おうと手を胸に置いた時、何かを感じたのです。「ちょっと待って。普通じゃないわ。」と思いました。それから気になりだしたのです。旅行中のことを思い返すと、それは驚きでした。だって、一日に2回か3回シャワーを浴び、プールの後には必ず体を乾かしていたのに、その時は全くしこりに気付かなかったのですから。しこりの大きさから考えると、結局のところ、その日の朝にはじめて気付いたというのは本当に驚きでした。
ロンドンに行く前に、私はかかりつけ医に電話をしました。彼らはとても迅速に対応してくれました。その日の午前中にロンドンでの診察を受け、午後にはかかりつけ医に診てもらえました。それは、とても印象深く嬉しいことでした。そして、医師の表情から、病状が深刻であることが分かりました。医師は私が医療保険に加入しているかどうかを尋ねました。私は答えました。「出来る限りの最良で迅速な治療を受けたい。」と。医師はすぐに、専門医を紹介してくれました。その週の土曜日、いえ、月曜日だったかしら、それとも火曜日?月曜日。そう、月曜日だったわ。私は月曜日にかかりつけ医に診てもらい、土曜日の朝には専門医の診察を受け、そしてその翌週の月曜日には手術を受けたのです。とても速い展開でした。
インタビュー48
- イングリッドは乳がん検診を先延ばしにしたため、検診の再予約を取るのが難しい状況だった。しかし、しこりを見つけた時、すぐにかかりつけ医に診てもらい、専門医を紹介され迅速な対応を受けた。
- イングリッドは乳房再建手術には満足だったが、放射線治療を受けてから肩に痛みを感じるようになった。リンパドレナージのマッサージがその痛みを和らげた。
- イングリッドはひどい下痢と倦怠感を経験した。それは他の健康上の問題と絡みあったものだった。味覚がころころ変わったので、何を食べるか決めるのが大変だった。
- イングリッドは化学療法中、大変な問題にぶつかった。苦しい時も自分の尊厳を保ちたかったが、一部の看護師たちは協力的ではなかった。
- イングリッドは化学療法中、家事を手伝ってもらうために雇った女性には本当に助けられた。まるで友人のようで、料理、洗濯、掃除を手伝ってくれた。
- 自分が癌だということを他の人に話すのは難しいことかもしれない。イングリッドは数人に話し、そこから他の人へ話が伝わったことが助けになった。
- 女性が治療から回復するには2,3年かかるということを知って、イングリッドはほっとした。しかし、そのことをもっと早く知りたかったと思った。
- イングリッドは癌のことを考えず、熱中できる企画や計画を持つことを勧めている。彼女と夫はドイツの農場にある家に引っ越す計画を立てた。
- イングリッドはアリミデックスを服用してから、関節痛、吐き気、ホットフラッシュに悩まされたが、吐き気は時がたつにつれてなくなっていった。