認定NPO法人ディペックス・ジャパンの大きな目的は、
「患者の語りに耳を傾けることから”患者主体の医療の実現”を目指す」ことです。
そのための手段のひとつして、「健康と病いの語りデータベース」を構築しています。
「健康と病いの語りデータベース」の具体的な目的は次の4つがあります。
患者さんやご家族へ
第一に、患者さんやご家族に病気と向き合うための情報と、知恵と勇気、心の支えを提供することです。
自分自身が病気になったときはもちろん、大切な家族が病気になったとき、その病気のことを知りたいと誰もが思います。
症状や治療方法の詳しいことはもちろん、その他にも、薬の副作用のこと、痛みがあるのかどうか、手術後の体の回復は医師の説明どおりなのかなど、病気を取り巻く様々なことを知りたいと思います。
同じ病気を経験した人がすぐそばに居たら、きっと、
「ねえ、○○○はどうだった?」
「副作用は軽いって聞いたけど、ほんと?」
「手術後の痛みは何日ぐらいでよくなった?」
「病気のことを告知されたとき、どう思った?受け容れられた?」
などと聞きたくなるでしょう。
そのような聞きたくなりそうなことを、経験者のみなさんにインタビューしてお話しいただいています。
経験者の語りが疾患ごとに整理・分類されていますので、一番自分に近い人の経験を探して見たり、または今自分が遭遇している状態(出来事)を探して見たりして、他の経験者がどう考え、判断し、対応してきたかを参考にすることができます。
語ってくれている人たちは、みな、その出来事や状況を乗り越えてきた人たちですから、今現在、困難な状況にあり迷いや不安を抱えている方の支えや励みになることでしょう。
友人、職場の人など周囲の人々へ
第二に、友人・職場の人など周囲の人々に「病いを患う」ということがどういうことなのかを分りやすく提示して、患者さんの社会生活の質の向上を目指しています。
病気を経験したことがない人にとっては、
・診断されたとき、どういう気持ちなの?
・仕事はできるのか?
・日常生活に支障はないのか?
・どう接すればいいのか?
など、様々なことが分りません。
そして、そのものズバリを本人や家族に聞くことも躊躇するので、余計にどうしたらいいのかが分らなくなります。
そのような周囲の人々が、ディペックス・ジャパンの「健康と病いの語りデータベース」を少しでもご覧いただいて理解を深めていただくことで、患者さんの社会生活の質が向上できるようになることを目指しています。
医療系学生や医療者の教育に
第三に、医療系学生の教育や、医療従事者の継続教育に活用していくことを目指しています。
患者の語りを教育に活用することで、より全人的な医療、患者の立場に立ったケアの醸成を図ります。
患者体験学の確立へ
第四に、語っていただいたインタビューデータを研究に活用して、「患者体験学」を確立することを目指しています。
ディペックス・ジャパンでは、医療政策・医療行政には患者視点の導入が重要であるとの思いから、「患者体験学」の体系を整え、患者の声を確かな学術的研究に結びつけていくことを目指しています。