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インタビュー時:41歳(2015年8月)
疼痛期間:7年
診断名:慢性疼痛障害。
首都圏在住の女性。34歳の時、子宮内膜症の内服治療を中断したころから、左下腹部の痛みが強くなり、生理周期に関係なく左臀部から左下肢の付け根、足の裏に広がった。整形外科や神経内科で様々な検査を受けたが診断がつかなかった。現在、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)*という心理治療を受けていて、飲み薬やブロック注射等でよくならなかった痛みが、徐々に和らいできている。
*EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)は、心理療法の一つと言われています。
語りの内容
えー、カイロプラクティックだとか、あとペインクリニックなんかにも通ったりしたんですけれども。あとは、ちょっと、すごく有名な中国の鍼(はり)の先生を、ご紹介いただいて、鍼治療なんかもしたんですけれども。たぶんそこにかかったときはちょっともう歩くのも困難で、足を引きずったりとか、杖を突いたりして歩いているような状況だったんですけれども、えーと、鍼の先生を紹介して、鍼治療して一応その杖なしで歩けるようにはなったんですけれども、痛みが引くっていうふうにはならなくて。えー、そうですね。あの、痛みがなくなったということはなかったんですけど、まあ杖がなくなっただけでも、だいぶそのときは、多少効果があったかなとは思うんですけれども。ただ、やはりその、何も痛みがなくて、通常の生活を送れるっていう状況ではなくて。
カイロみたいなのは、行けば1回1万円とか1万5,000円しましたし。中国の鍼の先生に関しては、その先生が中国人ということもありますし、ものすごくその中国の中でもトップクラスの先生でオリンピックの選手団とかに付いていったりとか、温家宝首相のお抱えの鍼の先生だったんですね。なので、本来であれば私のような一般人が診てもらえるような先生ではなかったので、その先生に鍼を打ってもらうと1回3万円かかりましたし。その先生、まああの、その先生は今通っているクリニックの先生からのご紹介だったんですけど、あの…、その先生のご主人が、えっと。脳、脳の、あの、手足とかが麻痺しちゃう、脳の病気なんかになったときに漢方で飲んで、すごく症状が良くなったという、ちゃんとしたまあ前例があったというもあるんですけど、あの、やはりその痛みに効くという漢方を処方していただいたんですね。それは1年で300万かかりました。はい。
―― それは全部ご両親が出してくださったんですね。
はい。
―― それ、漢方を飲んで、飲む前と後では。
変わらなかったです。
―― 変わらなかった。
はい。
―― 今はもう飲んでいらっしゃらない?
今は飲んでないです。
インタビュー16
- 何で女性として一番いい時期に自分が病気に選ばれてしまったのか。インタビューに協力するのも、病気に選ばれた意味がそこにあると思いたいからかもしれない(音声のみ)
- ひとり立ちできず両親に経済的負担をかけていることへの心理的負担が大きくなっている
- どんな薬を飲んでも痛みは軽減されなかったが、EMDR*という心理療法を受けて初めて変化を感じた。今は薬は睡眠導入剤以外服用していない(音声のみ)
- 大学病院でも異常が見つからず、うちではどうにもできないと言われ、最後にかかったクリニックでの検査も異常なく、「慢性疼痛障害」というグレーゾーンの病名がついた
- 現在、EMDRによる治療を受けている途中。記憶を1つ処理した後に、痛みの感じ方が変わったので効果を感じる一方、副作用のような症状も出ている (音声のみ)
- EMDR※は脳に刻まれたトラウマ記憶が症状の根本にある前提で、指の動きに合わせて目を動かし、トラウマ記憶を想い出すと記憶の再処理がはかれる、と聞いている
- 検査を受けても診断がつかないと、医師に「悪いところはないので治療の必要はない」と言われたり、足の痙攣を「わざとやっているの?」と疑われたりして精神的に傷ついた
- 診断がつかない患者に冷たい医療機関が多い中で、今の主治医は「絶対に諦めない」と言ってくれる。治療による効果はあまり感じられないが、その心強い言葉に支えられている
- 高名な中国の鍼(はり)の先生にかかり、漢方も処方してもらったときには、1年間で300万円かかった。杖なしで歩けるようにはなったが、痛みがなくなるということはなかった