投稿者「dipex-j」のアーカイブ

臨床試験・治験の語り

説明文書は専門家が書いたもので、術語が多くて、わかりづらい内容だったと思う。一般の人に読んでもらって、作り直したほうがいいのではないかと思う

ああいう説明文というのは素人にはなかなか分かりづらく書かれるんですよ。というのは、ご専門の方が書きますからね、ええ。これは致し方ないんですけども、やっぱり、普通の人にも見せて、そういう人がどう分かるか、分かりにくいのかという、そういうフィルターをね、通したもので、治験の対象者にですね、見せるということのほうがよろしいんじゃないかと。やっぱり、そういう意味じゃ、ちょっとこなれてないんですよね。どうしてもテクニカル、術語みたいなものが、お使いになりますでしょう。皆さんはよく分かっていると。ただ、一般人は、ちょっと耳慣れないと。だから、治験という言葉自体すら、あまり一般の人は「何?治験っていうのは」っていう、そういう感じなんでね。ですから…その辺は、ああいう説明文書なんかは、そういう過程を経て作られたほうがいいんじゃないかという気が致します。

―― 説明を受けて、ご自身でも何か調べたりとか、されました?

いや、調べようがないですね、ええ。全然調べようがないです。

臨床試験・治験の語り

臨床試験について医師以外からの説明は一切なく、何を説明したかを記した2~3枚の同意書を渡されたが、改めて読み返す時間もなくその場でサインをした(音声のみ)

―― その説明を受けたのはそのドクターからだけですか、別の、あと担当の看護師さんみたいな人が来て、また詳しい説明とかも。

そういうことは、一切なかったんですけれど。

―― じゃその場で簡単な説明を受けて。

そうですね。だからわりと簡単でしたね、そういえばね。そのときに、同意書とかそういうのも、何か説明しましたとかっていうふうなこと2~3枚書いた同意書があったんですけれどもね。それもわたしには、読む時間もなくって「これを」っていうことでね。「大体、きょう説明したような内容ですから、同意書にサインしてください」と言われて。コピーした分を、もう1部わたしもらっていたんですけれども。

―― 持って帰って、ご自身で中味もう1回確認をされて。

それは、しなかった。ま、大体ね、似たようなあれです。だからっていうことで。ま、同意書っていうのは、あの、これに強制するものではないからとかね、そういう内容は、大体、こうさっと見た範囲では、あれで、やめたければいつでもやめられますとかね、そういうふうなことをというんですけど。詳しく、きちんとね、あれしては聞いてなかったですけどね。

臨床試験・治験の語り

最初に医師からいい薬があるが試してみないかと言われたときは治験だと思わなかった。話が進んでから、実は認可されていないので治験になる、と言われた(音声のみ)

最初、「いい薬があるんだけど試してみない」って(医師から)言われたときで、治験だと思っていませんでしたから。その先生の話がだんだん進んで、パンフレットが出されて、「これはね、そのー、いいお薬のパンフレットなんだけど」って。「でもね、これは、治験っていうことになるんです」とそのとき初めて言われて。「だから、認可されている薬ではないんですよ。だから保険の適応もないし」って言われて、……ただ、「製薬会社のほうから、全部、金銭的なものは製薬会社のほうでやるから、全然お金はかからないし、むしろ、多少なりとも謝礼が出るからいいんじゃないですか」っていうことを言われて、その副作用が出た場合は、その副作用の手当とか、そういったものについても、全部、製薬会社が持つから、全部、その丸抱えでね、診てくれるっていう雰囲気のことを言われたので。

だから、治験っていう言葉は、そのパンフレットが出てきて、新しい、いいお薬っていうところから。そこで初めて治験のお薬っていうふうに切り替わったんですね。だから、パンフレットというか、その紹介されたものが出るまではいいお薬があってっていうことだけで、説明受けました。だから、治験なんていうのは、そこまでは、全然でない。はい。

で、そのときは、わたしは、セカンドオピニオンで行ったので、治験の話って生まれて初めて聞いたし、何か治験のすごくいいところ、いろいろ話伺ったんで、正直言って、「この先生は製薬会社のセールスマンみたいだな」なんて思いながら、結論は出ないまま帰って、説明書とかパンフレットともらって帰って、それをずうっと気持ちがゆれるまま、おうちで何度も何度も読み返していて。

臨床試験・治験の語り

(悪性リンパ腫が寛解して)退院するときに主治医から選択肢として経過観察と治験があるといわれ、紹介された大学病院では治験担当医が微に入り細に渡り説明してくれた

退院するにあたって、主治医の先生が「今後、どうされますか」ということを聞かれて、「今、あなたに対しては、2つの方法があります」と。1つは、この病院に通院して経過を観察しながら今後いくというのと、もう1つは、幸いにも、その治験が今募集があって、という話がありましてね。わたしもちょっと即断できなかったんで、時間いただいて、周囲に相談して。周囲は、すべてが「すべきだ」と。「受けるべきだ」という意見が圧倒的だったもんですから、「じゃあ、受けさせてください」ということで、九州で2ヶ所という、そのうちの1ヶ所にね、主治医から紹介していただいて。で、そちらが大学病院だったんですけど、そちらのお世話になるということになったわけです。

―― その、「治験っていうのがあるよ」って説明された時、どういった説明を受けました?詳しいことって聞かれましたか。最初に。

最初の、治験があってるという紹介は、詳しくありません。ただ、九州で2ヶ所の病院がその治験を受けてやってる、ということぐらいですね。

―― 大学病院ではどういったような説明がありましたか。

大学病院では、それこそ、微に入り細に渡り、すべてのことを説明いただいて、受けるも受けないもわたしの自由だし、途中でやめても可能だし、それから、もうまったく縛るものはありません、と。ただし、副作用がありますから、それらもすべて説明していただいた上で「同意されますか」ということで伺ってですね。期間的には、一応3年ということでお話を聞きました。

―― 大学病院のほうに行っていろいろと説明受けたとおっしゃいましたが、どなたから受けられましたか。

わたしの担当は准教授でした。

―― ということは、医師。

医師です。そこに治験スタッフとして、薬剤師が1名、それと看護師さんでしょうかね、が、1名。これが一応チームとして常にそばに付いてくれるというかたちです。

臨床試験・治験の語り

病院にいくと治験コーディネーターが細かく治験の段階、安全性などを説明した。断ってもいいし、一旦持ち帰って考えてもいいと言われたが、その場で同意した

(新聞広告を見て)とりあえずまず電話して、「行く日を決めて来てください」と言うから、それで来てみました。はい。

―― それは大きい病院だったんですか。

大きな病院。一番大きい病院です。はい。

―― では、最初に病院に行かれたときのことをちょっと思い出していただきたいんですけど、どんなことをするんでしょうか、まず最初に。

行ったら治験コーディネーターとかいう女性の方が出て来られて、もう微に入り細に入り細かく、こういうことをして、こういうことをして、治験で、それで段階もいろいろある。あなたに試す段階は一番最後の段階、もうあなたの治験のデータがOKと出れば、薬になるぐらいの前だから、そんな決して、飲んだからっていってすごく危害になるような、位置的なとこじゃないって言われたから、「じゃあ、してみようかな」と。それで、「今こうやって話を聞いてても、嫌になって、すぐもう断ってくれてもいいですし、即答しなくても、いったん家帰って考えてあれ(=回答)してくれたらいいですから」と言われたから、そこまで言うならまあと思って、してみようと思ったんです。はい。

―― 参加するかしないかっていう返事はすぐされたんですか。

私のことだから、そう思いながらすぐしました。もう、するつもりで行ってたんで。自分が症状が軽くなったらいいかなというのもあったし、と思って。すぐもう、OKですと言いました。はい。

臨床試験・治験の語り

医師から、肺高血圧症の治験について詳しい説明を聞くか尋ねられ、CRCを紹介された。治験の冊子の中で気になったことを質問したが、誠実な回答で納得できた(テキストのみ)

当時は、(肺高血圧症は)すごい珍しい病気で、治療薬がなかった、世に出てなかったんですね。でも、いろんなメーカーさん、製薬会社さんが臨床試験中の薬が結構あって、先生も海外では発売されていて、日本では承認がまだだけどっていう感じで、もう輸入して、重症患者の人には積極的に、薬を投与されていたんですね。なので、まあ、そういうふうな人たちは、もう、治験対象外じゃないですか。でも、わたしは幸いなのかよく分からないですけど、その辺は、投与前だったんで、治験が受けられる状態でした。今の時期からだったら、ちょうど治験受けられるんだけど「もう、著効例が、結構海外でも多いし、もう日本でも、重症な人には、わたし(=主治医)が輸入して、投与していい成績をあげている。副作用も少ないし。」っていう説明があって。で、「まあ、ちょっと、詳しい担当者から説明聞きますか」っていうふうに言われて、「あ、じゃ、お願いします」っていう感じで。で、その治験薬を紹介されたっていうのが、まあ、きっかけですかね。

―― 詳しい担当者っていうのは、CRCとかそういう方でしたか。

そうですね。はい。

―― 「説明、じゃ、聞きますか」って言われて、「聞きます」という感じで?

ええ、はい。

―― そういう副作用が起きたときとか、そういうことを中心に何か尋ねられたりとかしたんですか、担当者に。

先に説明を一通りしてもらって。治験の冊子があるじゃないですか。それを、元に。……でも、わたしが気になったことを質問させてもらって、お話いただいてっていう感じで。ほんとにいいことだけじゃなくて、ちゃんと悪い例も、こういう場合もありますと。

―― そういう内容とか、その質問への回答とかっていうのは、納得いくものでしたか。

うん、納得はいきましたね。すごい誠実な方で、誠実さが伝わってきたので、……。うん、安心しました。

臨床試験・治験の語り

ヘルニアの手術の担当医から麻酔科の治験があることを聞き、引き続きCRCから詳しい説明を受けて、説明同意文書を家に持ち帰り、1週間以内に返事をした(音声のみ)

鼠径ヘルニアが気になったので、最初は場所が場所だけに、泌尿器科のほうで診察を受けたんですね。で、一応、泌尿器科のほうでも、これはヘルニアではないかという話がありまして。…ヘルニアだと外科であるということをそこで伺ったので、外科のほうを受診したわけですね。その外科のところで、主治医の先生から「ヘルニアについてはもう手術しかない」と、「自然に治ることはない」という話を伺って、手術の日程などを決める際に、実は、…治験をやっているという話をそこで伺ったわけですね。
ドクターのほうからその話を伺って、すぐ治験コーディネーターの方を呼んできてもらって。で、コーディネーターの方にその後、引き続いて詳しい説明を受けて。パンフレットとかですね、頂戴して、同意書についてもその場でいただいて。うちに帰ってきて、家族で相談をして。そうですね…1週間以内には…やるというふうに決めてお返事しましたね。

―― 詳しい説明は、こういうことをしますよとか、こういう副作用が出るかもしれませんよとか、その辺りはかなり詳しく説明されたんですか。

そうですね。パンフレットを使って、それも分かりやすいイラストなども入っていましたし…その辺は全部説明は受けました。

―― その説明を聞かれて、ある程度の、こういうことが行われるんだなとか、こういう可能性があるんだなということはご理解されたということ。

ええ、まあ、理解したつもりでいます。

臨床試験・治験の語り

友人からは否定的な反応はなかったが、医師の方が慎重な反応で、安全性を確認してから子どもに使わせたいと思うのかもしれないと思った(音声のみ)

知っている先生とかに「息子にオルソケラトロジー(※)の臨床研究入らせたんですよ」って言ったら、「えー、子どもにようやるわ」って言われたりとかね。だから、やっぱり「まだ、(オルソケラトロジーのコンタクトレンズは)市販されていないんでしょう」って言われて、「(市販)されてないんでしょう。だから、臨床研究でしょう」って言ったら「えー、子どもにか(=子どもに、臨床試験中のものを使わせるのか)」っていう医療従事者はいました。だから、お医者さんの(ほうが、そうでない人たちよりも)かえって嫌なんやなっていうのが、うん、分かったりっていうのはあったんですけど。まあ、一応、チャレンジしてみないとっていうので(自分の息子は臨床試験で試すことにした)。

―― 医療従事者の反応じゃないけど「えー」みたいな反応とかがあったんですか。

いやあ、一般のママ友とかだと、みんな「いいないいな」っていう感じで、そんなに「えっ」ていう感じはないんですけど。えっていう反応したのは、やっぱりお医者さんかなっていう、うん。

―― 面白いですね。

そうですね。何か、やっぱり、安全性を完全に確認できてから、自分の子どもに使いたいって思っているんだなっていう印象ですかね。まあ、まだね、確かに安全性が完璧だとは言える状況じゃないので、その段階のものを(自分の子どもには使いたいとは思わない)っていうことなんだろうなとは思ったんですけど。いや、駄目だと思ったら(参加している臨床試験のコンタクトレンズを)つけなきゃいいんだしっていうふうに思ったんで。そんな話は無視っていう感じで。

※オルソケラトロジー:特殊なデザインのコンタクトレンズを夜間(就寝中)だけつけて角膜を矯正し、裸眼視力を改善させる治療手段。

臨床試験・治験の語り

友達は「試験材料にされる」と言って誰一人賛成しなかったが、「殺すためでなく治すためにやるんだから」といってその意見は聞かずに参加を決めた

一応、あんまり娘が反対するしって思って、お友達、たくさんいるから(治験のことを)話したら、やっぱり、誰1人賛成する人いなかった。

―― それは、どういう理由でした。

やっぱし、モルモット代わりっていうか、大きな病院で、よくそういうの言われるでしょう。あんなとこ行ったら、研究材料だとか何とかって。ま、田舎だから、そういうこと言う人が多いんだわ。そしたら、やっぱり、みんな大体そういう感じ。うーんと「そんなんね、あんたそんなことね、うん、止めたほうがいいよ」って。「もう、試験材料だわ」って言われたけど。「そんなことない、治すためにやるんだから、殺すためにやることじゃないんでしょう。よくするためにやるんだから、わたしは、(治験に参加)する」って言って。そして、先生に、すぐ(被験者に)してもらうって。もう、あのー、年齢もあと1年だか半年だかで、もう、駄目になるから(=治験に参加できなくなる)って言われたような気がしたな、何か。それでね、(治験担当の医師に)お願いして始めたの。

臨床試験・治験の語り

家族には、万が一何かあっても全部選択した自分の責任だと言って参加した。自分の兄弟や親族には何か言われると困るので、事前に知らせず終わってから報告した

家族にはですね「わたしが選択した」と。「医師が選択したわけじゃない。だから、万が一、わたしに何かがおこったとしても、全部わたしの責任だ。」ということを言っておきましたから。だから、家族もそれは当たり前だっていうつもりでおりますのでね。

わたしは、やっぱり治験に参加するならばですね、そういう気持を持って参加されたほうが(よいと思うんです)。もし何かが起こったときもですね、自己責任ということで。で、一番の問題は、本人はいいんですけど、家族とか親類とかどう思うか。特に、例えば、わたしに兄弟がいると、わたしの家族がいると。わたしの家族は納得した、と。(でも、)わたしの親戚の人間がですね「何でそんなことを許したんだ」とかね、「何でそんなことを危険なことをやったんだ」ということになったときに、がんとしてですね、それはつっぱねないとですね。そこのところは、きちんとしとかないとまずいと思いますね。だから、入る前に家族には言いましたけども、親戚には一切言っていません。親戚には何か言われて当たり前なんですから、決まっていますから。まあ、わたしのことなら自分で勝手にしろと言うと思いますけどね。兄弟というのは、やっぱり、また違った情愛がありますからね。だから、余計なことを(言わない)。で、終わってからは、「実はこうだった」と言ったんですよ。「へえー、そうだったのよかったじゃん」で終わってます(笑)。そこじゃないでしょうかね、一番大事なのは。あとのこと、家族のこと考えてきちんとやったほうがいいと思いますね、はい。