投稿者「dipex-j」のアーカイブ

臨床試験・治験の語り

テレビで放映されていた新しい治療法の番組をみて、治験を募集しているということを知ったが、普段から積極的に治験の情報を集めているわけではない

―― 治験にかかわるようになったのはどういうきっかけだったんですか。

それはですね、NHKの番組で免疫療法をテーマにした番組があって、それがなんか、わたしのこのケースでは、すごく向いてるように思ったんです。つまり、がんはどこにあるかわかんない、と。でも、血液は全身流れてるわけだから、全然構わない、と。だから、非常に有効な方法じゃないかと。しかも、治験を募集してるっていうか、そういうお話だったんで、すぐ、そちらのほうの病院と連絡取って、そこに通うことにしました。

―― 普段からご自身の病気に関することとか、ワクチンのこととかいろいろ調べられてると思うんですけど、他に、臨床試験とか治験の情報っていうのは、今回参加したもの以外で調べられたりとかはしてるんですか。

いや、そんなに調べてません。テレビのニュースでね、なんか放映されてればそれ見たりして、「ああ、これはいいな」とかね、思えばそれを調べてみますけど。ニュースにもなってないようなのをネットでいろいろ探してとか、そこまではやってないですね。

―― 情報源として、今回、この治験を知るにあたって、テレビの力っていうのはすごく大きかったでしょうか。

大きいですね。(とても効果があるというような)そういうような解説でした。非常に効いてるっていうか。そういう人ですね、何人もいるんでしょうけどね。

臨床試験・治験の語り

臓器移植用の免疫抑制剤をアトピー性皮膚炎の治療に使えるようにする研究があることを知っていたので、その製薬会社が新聞に全面広告を出したのを見て応募した(音声のみ)

―― そんな中で、治験の、えー、記事を見付けてきたというか、あのー、お父さまが。

母:そうです。

―― ということなんですけれども、ちょっとその辺のきっかけ等をもう少し詳しくお聞かせ願えればと思います。

父:はい、これはわたしのほうから。あのー、……1993年に発売された、臓器移植時の免疫抑制剤、プログラフという薬があるんですけれども。その薬を売っていたその製薬会社が、そのあと、その薬をアトピー性皮膚炎の治療薬としても開発を進めていて。これ実は99年に発売になるんですけども、その前の年だと思います、確か。そういうニュースは、結構、事前にいろいろ、臨床試験の段階から伝わってきていますので。わたしも、それをちょっと注意していたんですけれども。できたら、うちでも、その子どもにも(その薬を使わせたい)みたいな、その発売されたら、こう、使えたらいいなみたいなことを思っていましたら。ある日、新聞にその製薬会社が、1ページ全面使ってその治験の治験患者の募集をしていましてですね、それを見まして、ちょっと応募してみようかっていうふうな話を彼女にもちかけたんですよね。それでもって一応応募してみたんですよね。駄目だった。

母:はい。

父:ね、それは何でだった。

母:病院に連れていって、大学病院だったんですけど、診察に連れていって、治験をしたいということで診察を受けたんですが、今回、ちょっと治験は(受けられません)みたいな、さらっと、何か。

父:うん、(参加できる枠が)いっぱいだったのかもしれないね。……2回目だ、確か。それで、いっぱいだったんではないかと思うんですけれども。うーん、まあ、駄目だったという、そういう経緯はありました。

臨床試験・治験の語り

通院先の待合室の掲示板で潰瘍性大腸炎に関する治験の案内を見つけた。案内自体は目立つものではなかったが、患者は自分の病名に敏感に反応するものだと思う

―― 一番最初にご覧になった掲示板の掲示は、すごく目立つようなものだったんですか。印象に残るようなものだったんでしょうか。

はい、特に目立つようなものじゃないんですね。いろいろな、何でしょう、紙が貼ってある中の一つにあるんですね。要は、そこは消化器内科と消化器外科が一緒にある待合室なんで、ま、その消化器に対する病気の治験であったり、あるいは、何かの講座であったり、そういったものが雑多に貼られている、案内されている掲示板なんですね。そういった意味では、特には(印象に残ってい)ないんですけども。でも、ぱっと見て、潰瘍性大腸炎っていう言葉にだけは敏感に反応するんですね。

ですんで、そういった文字(=潰瘍性大腸炎という言葉)を見ると、「あ、何だろう」ということで興味をひいてちょっと読んでみるというかたちになるんでしょうか。やっぱり、そういった意味では、その潰瘍性大腸炎に限らず、自分の持っている病気っていうものに関しては、やっぱり、それなりにその病気の患者さんはですね、かなり、何ていうんでしょう、敏感になるんじゃないかなというふうに思いますけど。

臨床試験・治験の語り

院内掲示板に様々な病気の治験の案内が貼ってあるのを見て、線維筋痛症の治験があればいいのにと思っていたところ、新聞のチラシで実際に治験が始まることを知った

―― 治験を受けられたということなんですけども、最初に受けられたきっかけというのは何だったんですか。

そうですね、繊維筋痛症のお薬っていうことをチラシに書いていたので、それまで、繊維筋痛症に効くお薬はないっていうふうに言われて、いわゆる対症療法で、これやあれやっていうことをやってきたもので、繊維筋痛症に効くっていうことが、すごくわたしの中では期待を持ってご連絡させていただきました。

―― ご本人から直接連絡を、新聞のチラシを見てされたわけですね。

はい、そうです。

―― それは、いつぐらいの話ですか。

初めに連絡したのは、今から5年ほど前になります。

―― もともと治験や臨床試験っていう言葉自体はご存知でしたか。

はい、それは知っていましたし、逆に、線維筋痛症の治験があればいいのになっていうのはすごく思っていました。

―― ずうっと思ってらっしゃったわけですね。

はい。

―― 治験とか臨床試験という言葉を知っていたっていうきっかけとか理由とかっていうのはあるんですか。

わたしは、大学病院の臨床薬理センターっていうところに通院していましたので、そこで知っていたのと、大学病院によく貼り紙がしてあったんですね。がんの治験行いますとか、いろいろな病名で治験行いますのでっていうことでの案内の紙はよく見ていたので、そこでちょっと(線維筋痛症の治験も行われないかと)期待を持っていました。

―― どういう印象を持ってらっしゃったんですか、治験に対する。

治験に対しては、うーん、そうですね、いわゆる研究であるっていうことは分かったんですけど、そこを通して実際にお薬が誕生するっていうことの期待感ですね。で、やっぱり、そこから、それを使うことで、自分が楽になるっていうことの期待が大きかったのかな。

臨床試験・治験の語り

2007年ごろ新聞で「治験」という言葉を見た時は聞きなれない言葉だったので、興味を持った。その後、骨粗しょう症にも治験があることを新聞広告で知ってすぐに電話した

―― 実際、治験に参加される前に「治験」という言葉はちょっと聞いたことあったっておっしゃってましたけど。

何かね、骨粗しょう症じゃなくてほかのほうのことでもって「治験」という言葉を見たんですよね。それはね、何で見たんだったかしらね。ちょっと覚えてないんですけどね。「あ、治験って何だろう」と思って、ちょっと聞き慣れない言葉でしたのでね、その当時は。2007年ごろはまだまだ新聞に出たてだったみたいで、それで「治験て何だろう」と思って興味を持って。見たのが初めてだったんで。
そしたらそのうちに、今度、骨粗しょう症の治験ということがあって、「あら、骨粗しょう症にも治験があるんだわ」と思って、自分が足が痛かったこともあって。まして整形外科へ行くのを、母の(介護の)ためによしちゃいましたからね。だから、そんなこともあったんで、「あら、治験でもって骨粗しょう症があるんだわ」と思って、で、大きく(新聞広告に)出てましたから、ひかれて、そのところへすぐ電話したんですよ。お電話して、それで、そちらの方(=電話窓口の担当者)すぐお電話に乗ってくださって、それで(治験実施先の病院を)紹介してくださって、私の行ってたその病院へ行く手続きがとれたってことでしょうね。それで、私も(治験に)行くつもりでいましたから、一生懸命行ったって感じです。はい。

臨床試験・治験の語り

参加した2回の治験では、経過観察のため通院や手術入院などで長い付き合いがあった病院のCRCから治験に参加してもらえないかといわれた

病院にかかっているときに、先方のそういう治験の係の人(=臨床研究コーディネーター、CRC)から、「治験に参加してもらいたいんですけども、いいですか」って言われたんで、事前に1回治験に参加したことがあったので、あまり心配することもないと思って「OK」と言いました。

―― どういうご病気で病院にかかられたんですか。

10年ほど前に心筋梗塞になりましてそこの病院でカテーテルによる手術を受けて、治療がうまくいったもので、それのあともずっと継続して、定期的に診てもらっていて薬をもらっていた。そういう関係ですね。ちょうど10年ぐらいしたときに「また治験をやってもらえますか」と言われたんで、「OKです」と言ったわけです。

―― それは誰から言われたんでしょうか、その治験に。

そこの病院にいて治験を担当している係の人ですね。はい。

―― 誘われたときに治験っていうのはご存じでしたか。その言葉とか。

10年前に1回受けてましたので何の心配もなくOKしました。

―― その10年前に受けてた治験のことも教えていただけますか。どういう治験だったでしょうか、10年前のほうは。

10年前の(治験の)ときは、手術を終わって退院するときに、やはり、その病院の治験担当の人から「(治験を)やっていただけますか」と言われたんで。そのときに手術がうまくいったんで、そのお礼の意味もあって、これは受けるべきというふうに思って受けました。同時に、そのときに「外国での治験は終わっていて、日本人の体質に合うかどうかを見極めるのが主たる目的だから、ほとんど心配はいりませんよ」と言われて、いっそう安心して治験を受けてみました。

臨床試験・治験の語り

足を骨折して術前の検査で、条件がぴったりなので治験に協力していただきたいといわれたが、骨折でぼおっとしていて何のための薬だったのかよくわからない

―― 骨折で入院して、どういう経緯でどういった治験に参加することになったんでしょうか。

手術をするための、いろんな検査をしましたときにね、その検査結果が多分良かったんだと思うんです。そしたら、すぐ、主治医の先生が来てくださいましてね、それで「ちょっとお話があります」って。それは「治験の話なんですけれども」っていって。「今、足を折った人の中から健康な体の人を今探しているんです」って。それで、その条件にぴったりなのが私だったのでね、それで、できれば協力していただきたいという、そういうような説明がありました。

――足を折った人の何っていうか、何か具体的なこととか覚えてますか、その治験というか、そのお薬って。

ええ、薬を飲むっていうことでした。

――それがどういった、例えば足を折った人が対象なんですよね。

そうなんです。

――その薬って何のためのお薬とかって。

いや、多分、説明あったと思うんですけれどもね、何かもう足を折ってるもんですから、何かぼおっとしてたんですね。だから、何のための薬だったのかは、とにかく分からないですね。

臨床試験・治験の語り

腎臓がんの術後検診の際に頻尿気味であることを話したところ、男性向けの頻尿の薬で、女性を対象にしたデータを取りたいので協力してくれないかと頼まれた(音声のみ)

(腎臓摘出のあと)定期的に、術後退院してから3カ月に1回ずつ定期検診があって、CTを撮ったりとか、採血の検査受けたりしていたんですけどね。たまたま、2回CTを撮ったときの結果を伺いに行ったときでしたかね、「先生、私ね、夜中に2~3回トイレに起きるんですけれども、そのためか眠れないことが、昼間眠たくなるんですよ」っていうふうにね、ただ先生と雑談みたいなかたちでお話したんですけれどもね。「そういう夜中に起きるときに、尿漏れなんかが、ちょっとあることがたまにはあるんですけれども」っていうふうにお話したんですよ。

そしたら、(医師が)「男性に使われている薬なんだけれども、女性ではまだね、公に認められてはないけれども」(といって)、そこの病院でね。「一つデータもちょっととりたいから、(治験に)協力してくれないか」っていうふうに言われたのでね。手術を受けたこともありましたし。そのときに、わたしは、頻尿って言うんでしょうかね、夜中に起きるということを対象にしたお薬だと思ったんですよね。というのが、男性にも使われていて、男性にはもう多く使われてますけど、女性にも。ただ、今回、女性も多分いいんじゃないのかなと思うというので。頻尿の薬だと(思って)、先生に詳しくお聞きしないまま、「じゃ、してもよろしいです」っていうふうに即答したんですけれどもね。そしたら、その前に、「その使いたい薬は、副作用というのがあんまりないけれども、ただ血圧が下がります」っていうことをね、言われて。「ほかは、心配するような副作用は、一切ありませんから」って言われたんですよ。「だから安心してね、飲んでもらいますから」って言われて。

臨床試験・治験の語り

布団の中のイエダニやハウスダストの有無によって気管支喘息の発生頻度が影響されるかどうかを見るための臨床試験に協力してほしいと頼まれた

わたしは気管支喘息で、ある病院のある科の先生に、布団の中のイエダニとかハウスダストの有無によって気管支ぜんそくの発生頻度に関する調査の臨床での……研究に、参加しました。

で、布団に加工されたやつと加工されてない布団のやつで、ぜんそくの発作の度合いを試すのに参加しました。あとから聞きますと、わたしの初めにやったやつは、加工されてない布団で、約1ヶ月ぐらいから3ヶ月ぐらいの内容でしたんですが、やはり、それ(=布団)によってぜんそくの発作が起こる頻度が高くなったというデータが出ました。それ(=臨床試験)を終わった段階で加工された布団を無料でいただくことになりました。

臨床試験・治験の語り

白血病の標準治療薬で副作用が出てしまい、休薬しているときにセカンドオピニオンを聞きにいった先で、治験のことを詳しく説明された(音声のみ)

慢性骨髄性白血病と診断をされまして、最初にかかりました病院でグリベックというお薬を処方されたんですね。そのグリベックを処方されて、大体2週間弱は、それを飲んでいたんですが、最初から副作用がいろいろ出て、だんだん副作用が強くなってしまいまして、最終的に、あのー、アナフィラキシーをおこしてグリベックは中断っていうことになりました。

中断したときに、白血病の腫瘍の細胞がとてもいい状態で、正常値の中に収まっていたので、とりあえず体が過敏な状態にもなっているので、1カ月ぐらい休薬して、次のお薬を今度は、最初から定量ではなくて、少量ずつ、体を慣らしながら、入院して様子をみながら治療を再開しましょうということだったんですね。ただ、わたしは、そこに至るまでのいろいろな体験から、セカンドオピニオンを受けたいと思いまして、そのときの担当の先生に相談したら、「じゃ、休薬期間中ならね、OKだから、セカンドオピニオンを受けて納得した上でね、やったほうがいいと思うし」っていうことで、セカンドオピニオンの病院を紹介していただいて、そちらに行ったら、その……自分のそれまでの経過をお話しできたんですが、そのお話をしたら、セカンドオピニオンの先生が、今度、治験の話を詳しく説明し始めてしまって。ずうっと治験の話をうかがって、その日は帰ってきました。それが、治験を、何でしょう、参加したのか、参加しかかったぐらいだったんですけど、そういうふうに治験にかかわるきっかけがそこでした。はい。