投稿者「dipex-j」のアーカイブ

臨床試験・治験の語り

自分がCRCとして患者に治験参加をお願いする仕事をしていたので、被験者の立場を知りたかった(音声のみ)

―― で、えーと、結局、(参加しようと思っていた臨床試験に)入れなくて、で、さっきちょっと被験者になってみたかったっていうのあったんですけど、そのあたりも、ちょっと詳しく聞かせていただけますか。

ああ、何か、ま、その当時も治験コーディネーターの仕事をしていて、で、(自分の病気の)治療中もずっとしていていたんですけど、休んだりせずにしていて。ま、普段、自分が、こう、患者さんにいろいろお願いする立場で「この日に来てください」とかね。「アローワンス(※)がここからここまででこの間で何とか(来てくれませんか)」とかってお願いしているけど。で、患者さんは「うーん、じゃ、ここだったら」と言って何とか来てくれたりっていうのしているけど、本当のところはどうなのかなっていう。結構、仕事をしている人とかだと、難しかったりとかするけど。あと、よその病院ってどんな被検者対応しているのかなみたいな。(自分が参加しようとしたのが)臨床研究だから(治験の対応とは)ちょっと違うだろうなあ、とは思ったんだけど。よそではどんな対応の仕方をしているのかなっていうのが、ちょっと知りたかったりとか。まあ、あれ(=自分が参加しようとした臨床試験)は、お医者さんが、「自らさん」でやるやつだったので、「自ら治験を行う者」(※※)みたいな感じでやるやつだったので、その場合先生は説明はもっと丁寧なのかなとかね、「ちょっと、こう、どうなの?」っていうのもありましたね。

※アローワンス:臨床試験・治験の計画書(プロトコール)で決められた来院予定日からの猶予期間のこと
※※「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために、薬事法に基づいて治験の計画を届け出た治験責任医師、いわゆる「医師主導治験」を行う者のこと

臨床試験・治験の語り

日本は薬の認可が遅いので、既に海外で使われている薬が早く認可されて保険適用になってほしいと思って、治験に協力する人もいるのではないか(音声のみ)

―― 最初、治験に参加しようと思ったきっかけっていうのは、今の痛さがちょっとでもっていうことだったと思うんですが、治験というのは、もう、そもそも、新薬を開発して、こう、お薬として売り出すための前の工程じゃないですか。だから、それに、その工程に自分が参加してて、こう、新しい薬を出すため、薬というか、認可ですよね、されるために協力しているんだなんていうような意識っていうのは持ったりとか持たなかったりとかってありましたか。

あ、それは、協力したいなっていう意識はありましたね。やっぱり、早く認可してほしいって思っていたので、うーん、だから、治験受けようって思う人ってそうなんじゃないかなと思うんですよね。自分に対しての利益もそうなんだけれども、早く認められて保険診療になってほしいっていうところですね。日本って遅いじゃないですか、薬の認可がね。なので、もっとスピーディになってくれると、もう、わたしのような慢性疾患で、長くかかる病気は、もう、まだ待てるけど、それこそがんの方なんかは深刻なので、海外でも使われていても日本で通っていないからっていう例がすごく多いじゃないですか。だから、そういう面も、もっと改善されたらいいのになって。ま、必ずしもそれがいいかどうかは、あとになったら、やっぱり、それがよくなかったっていうことが、あるので。わたしの母の主治医なんかは「新薬は僕は1年使いません」っていう先生がいたんですよ。えーって思って。1年間使わないって、だって、ちゃんと臨床試験とおっている、治験とおって、うーん、いい薬なのに1年間も使わないのかってびっくりしたことがあったんですよ。

―― 販売されてから1年間、ちょっと、効果をみてみようっていう、よその評価っていうですね。

そう、そう、うん、うん、そうですね。日本での様子をみるんでしょうけども、うーん、ちょっと思いますね。

臨床試験・治験の語り

どんな薬を飲んでも痛みに効かなかったので、良くなるのであればどんな方法でもいいから受けたいと思った(音声のみ)

(痛みの原因がわからず)とにかくいろんなところに行って、で、また、少し半年ぐらい休職したりとか、で、また、復職したりということを繰り返して、で、とうとう、もう、夏の時期の冷房もきつくて、もう体がかちかちの状態になってしまって。で、2009年の8月に初めて、線維筋痛症じゃないかというふうに言われたんですね。で、その前に、休んでいたのは、ま、泌尿器科の先生だったので、慢性骨盤痛症候群という診断で、休んでいたんですけれども。そこから、もう、それだけではなくって、「これは、線維筋痛症じゃないか」というふうに言われて。で、専門医である、ま、大学病院の先生のところを受診して、で、そこでも、やはり、あのー「うん、そう、そうでしょう」というふうに言われて、で、療養休暇を取り、で、そのあとまた休職をしということで、やってきたんですね。で、その間に、いろんな、こう、薬を試したんですけれども、何を飲んでも効かないわけですよ。抗うつ薬だとか痛み止めもそうだし。で、そんな中で、先生のほうから、「治験が、今、リリカの治験があるんだけれども受けてみる」というふうに言われて、もう、この痛みがよくなるんであれば、もう、どんな方法でもいいからということで、あ、「それはもう受けたい」と言ったんですね。

臨床試験・治験の語り

治療薬の副作用で体中がむくみ日常生活が辛かった。新薬でこの辛い状況が少しでも良くなればという気持ちで治験に参加した

(かかりつけの)総合病院で白血病と言われてから、1年目ですね。その間、ずうっとグリベックを飲んできたんですけども、血液検査の結果があまりよくないんで、総合病院の主治医の先生も「困ったね」というわけだったんです。そしたら、あるとき「家族の人も一緒に、ちょっと話があるから」と言われて、その席に息子と一緒に行って「実はこういうふうに治験の話が来ているけど」っていうわけで、まあ、詳しいその説明受けまして、そんときは説明聞いて帰ってきただけです。で、「よく、考えてみてくれ」と。それで、それから2回ですか、その総合病院に息子と一緒に行って。2回目に行ったとき、一応「今度、大学病院のその治験の先生に会おう」というふうに話が決まって。それで2007年の12月に初めて大学病院に行って、で、正式に受けるって決めたのが、2008年1月の末ですね。

―― じゃ、その正式に受けるって決めたのは、どういう決め手がありましたか。

やっぱり、それまでの薬では、とっても……(かかりつけの総合病院の)先生が安心するようなデータが出ないし、今、写真がありますけど、すごい顔になっていたんです。グリベックの副作用で。
ちょっと、どこいったかな、こんな顔になってましてね(写真を見せながら)。

―― あ、全然違いますね。

ええ、ですから、もう、顔が真っ白になって、ええ、何て言うでしょう、むんくで、もう体中むくんで、そして、もう、ズボンもスカートもはけなくなったというような状態で。ですから、そして、顔が真っ白だから、いかにも、わたしは病気ですって、お面、もう、看板しょって歩いているようなもんでね、はい。とっても、やっぱり、日常生活が辛かったですから、少し、その新薬を飲むということで、自分の体の状態がよくなればいいなっていう気持ちもありましたから、はい。

臨床試験・治験の語り

糖尿病の治療費がかかって大変だったときに、誘われた治験で薬代が浮くと聞き、頭の中でそろばんをはじいて参加を決めた(音声のみ)

(自分がかかっているのは)糖尿病なんですね。えーと、2011年だから、2年前か、2年前に、ま、風邪の治療っていいますかね、風邪だったんで、病院に行ったら、そして、血液検査をしたらヘモグロビンA1cっていう、糖尿病の値がかなり高いところまで出ていて。「これ、あんた風邪もそうだけど、糖尿病だよ」って言われて。それで、そこから治療を始めたんですけども、半年ぐらいたちましてね、それで、最初のうちは、とにかく、街のクリニックのお医者さんですから、結構いろんな薬を出してくれるんですね、処方してもらって。もちろん治療費もばかになりませんし、お薬のお金もばかにならない。で、金額大きくて大変だなと思っていたら、半年ぐらい経ったところで、「ある製薬会社が、新しい糖尿病の治療薬を、開発中なんで臨床治験に応募してみないですか」って言われて。先ほどちょっと言ったんですけども、「何かメリットありますかね、わたしに」って言ったら、「今、薬剤出しているけれども、これ(=今飲んでいる薬)飲まなくていい。治験が始まったらそちら(=治験薬)のほうに切り替えれば薬代が浮くだろう」って。治療費がずいぶん安くなるなあというのが、最初にまずそろばんをはじいて(思ったことです)。「ああ、だったら応募します」みたいな。もちろん、一方では、新しい薬の治験に参加するっていうことと、なおかつその会社は日本で一番大きい製薬会社なんで、そこの新しい薬の(治験)っていう、こう、使命感みたいなものもちょっとはあったことはあったんですけども。動機としては、やっぱり、その、治療薬が浮くという。治療費代が浮く、薬剤費が浮くっていうところが、大きくて。

臨床試験・治験の語り

医師やCRCへの信頼感とあわせて、個室に入って安心して入院できるだろうという期待感が大きな要因だった

―― 参加を決められるきっかけというか、参加を決められたのは、もうその場で決められたとか、一度ご相談されてとか。

ドクターのほうからその話を伺って、で、すぐ、治験コーディネーターの方を呼んできてもらって。
で、コーディネーターの方にその後、引き続いて詳しい説明を受けて、パンフレットとかを頂戴して、で、同意書についてもその場で頂いて、で、うちに帰ってきて家族で相談をして1週間以内には、…やるというふうに決めてお返事しましたね。

―― 家に持ち帰られて、ご家族とご相談になってというのはどういうことをご相談なさったんでしょうか。

(笑)うーん…治験の説明を、パンフレットを通して…私なりに説明をして、…治験を実施するに当たっては、……1時間おきに麻酔科のドクターが確認をする必要があるというので、…複数の人のいる病室だとそれが可能ではないので「個室に入っていただきます」と(説明された)。「個室料については病院のほうで負担します」という話もあったとかですね、そういうことも説明をし、それならば安心して治験も(ヘルニアの)手術も受けられるのではないかということも、おー、話し合いました。

―― 参加の決め手というか、決め手になったことを、あの、具体的に。

病院に対する信頼感、それからドクターに対する信頼感、で、治験コーディネーターの方の、あの、説明、それから家族が治験を経験していたという…こと、それから、あの、まあ具体的には個室に、入って、まあ安心して入院できるだろうという期待感、そういったものが、大きな…要因だったと思いますね。

臨床試験・治験の語り

これまで当たり前のように薬を飲んだり注射したりしているが、それも誰かが治験をやったから。自分も役に立てるなら参加してもいいと思った

―― 治験をやることになったきっかけっていうのは、どういったもの。

その薬が、そういうのが、日本では、まだ、あれ(認可)されていないので。外国では、みんなすごくよかった、いいと。「だけど、日本人にはそれが合うかどうか分かんないので、それを試したい」で、「どうですか」って。

―― 先生に。

そうです。

―― 言われたんですね。

言われたの。

―― そのとき、どう思われましたか。

うーん、いやあ、そうだね、いやあ、どうというか、やっぱりね、誰かがそれを受けなければ、その薬がいいかどうか、日本人に合うかどうか分かんないわけでしょう。で、わたしも、いろんなもの、もう病気しているから、薬もらったり注射したりしているけど、そのとき、それは、誰か彼かが、それをやっているわけでしょう、治験を。当たりまえに飲んで、食べたり打ってもらったりしているけどね。そしたらね、まあ、わたしがそれで役に立つんだったら、(被験者に)してもらいたいわって、先生に言ったんだけど。

臨床試験・治験の語り

患者会の役員になって、同病患者の力になりたいと思い始めた頃に治験のことを知り、自分で参加して体験を話すのこともその一つになると思った

実際、患者会に入って、それから役員になって、できればこの病気のために何か苦労されてらっしゃる方があれば、その方の力になりたいなっていうこと、気持ちが沸き始めたときに、多分、そういったものがあったからこそ治験というものに参加したんじゃないかなと思います。もし、ただ単に、通院するだけということであれば、多分、治験に参加するということはなかったんじゃないかなっていうふうには思います。

患者会の役員になって、やっぱり、いろいろな人と話をする中で、中には軽症の人もいればかなり悪いっていう人もいます。手術を考えているっていう方もいらっしゃいます。手術っていうことは、わたし、やったことないし、わたしの場合は、再燃と寛解というものを繰り返していますんで。そういったことに悩んでらっしゃる方に対しての、自分なりの体験談とか、そういったことはお話をすることはできますけれども。それに対して、そうですね、今、考えるんであれば、わたしはこういったことをもうやりましたよっていうですね、あ、こういったことっていうのは、治験に参加したっていうことですけども、治験に参加して、こういったこともやりましたということをですね、言える、ツールの一つになるんでしょうか。そういったこともあったのかもしれませんですね。はい。

―― ご自身のためにっていう気持ちっていうのは、その中にあまりなかったんでしょうか。

はい、そうですね、そこも、多分、…えーと、今までの薬の延長(だったから参加したので)、多分、自分自身の(利益のために)っていうのはなかったんじゃないかと思います。なかったというか、それがですね、悪いときであれば、新しい薬が出たんだから、それを試してみようということで、自分自身のためにっていうのはあったと思うんですけども、多分、だから、そのときは、少なくとも、悪い状態じゃなかったと思うんで、多分、そこまでは、自分自身のために、これが治ればなあというふうに思わなかったと思いますね。そういう感じは、あまりなかったと思います。

臨床試験・治験の語り

サプリメントなどを飲まずに立ち居振る舞いに苦労することがないのは、治験に入ったおかげじゃないかと思って感謝している

―― 2年間の治験を終わられて、今振り返ってみて、参加されたのっていかがでしたか。

やっぱり結果的には良かったと思います。はい。

―― どういったところが良かったですか。

きっと行ってなかったらもっと足がえらくって、自分が、そのー…、何ていうのかしら、動くのに、いろいろ…。今よく、新聞やなんかでもグルコサミンだとか、ねえ、いろいろ出てるじゃないですか。やっぱりそういうのを飲んでたんじゃないかなと思いますけど、私も、その治験行ったおかげかどうかそれは分かんないんですけど、おかげさまで、その、グルコサミンだとかそういうのを全然飲んでなくても別に、立ち居振る舞いに、その苦労するってことは感じませんからね。だから、皆さんがよく飲んでて、私も飲まなきゃいけないかなと思うんですけど、でも、特別痛くもないし、困らないから、うんとひどくなったら飲もうかしらくらいでもって、いまだに飲んでませんけども、きっとそれもやっぱり治験行ってたおかげじゃないかなと思って、そういう点では、あの、治験行ったことに感謝してます。はい。

臨床試験・治験の語り

自分の場合は病気であることを忘れてしまうほど、薬がよく効いたので、感謝している。いい治験に巡り合えて本当に運がよかった

本当にどこが悪いか分からないしって、ちょっとお話しすると。あの、明る過ぎてそんな病気持ってるとは思わないってよく言われて。だから、本当、病気っていうのは忘れちゃうぐらい、本当、私の場合はよくお薬が効いてくれたので、本当に、うん、もう、感謝感謝ですよね。はい。
でも、もう治験、これが一番、これしかなかったわけですよね。なかったと言うと変ですけど、それが本当によく効いてくれたので。

―― やっぱり一度もというか、最初から、途中から最後までご主人の反対みたいなものは特になかった?

全くありません。

―― ちょっと怖いからやめとこうとか。

いや、あなたは本当に運のいい人だって。

―― 副作用が出たときとかも。

ええ、ええ、もう、はい。もう本当に運がいい。悪く言えば悪運が強いじゃないですけど、本当に運が、私もそう思ってます。本当に運が良かったと思ってます。いいときにいい治験にめぐり会えて。