投稿者「dipex-j」のアーカイブ

臨床試験・治験の語り

参加したことで、臨床試験なり治験なりに従事している人と接触できたことは、なかなか得られない経験で、彼らのおかげで新薬が作られていることを実感できたのがよかった

―― この、治験に参加して、良かったこととか、悪かったことっていうのを、その参加した後から振り返ってみると、何か良かったこと、悪かったことっていうのはありますかね。

特に悪かったことっていうのはないと思います。ただ、良かったことっていうのは、やはり、そういうね、臨床試験なり、治験なりという、そういう…ことに従事されている方、そういう方…と接触できたというのは、なかなか、ちょっと得られない経験で、やっぱりこういう方たちがね、まあ、ある意味で、裏方という言葉はちょっと、あの、あまりいい言い方ではないかもしれませんけれども、やっぱり薬なんかのですね、新しい薬を生み出すときには、そういう方が、いろいろ仕事をされて、そのおかげでいろんなものができてんだなと、まあ、そういうことを実感できたなという気がしました、ええ。

臨床試験・治験の語り

2回治験に参加したが、2回目の治験に参加する時に臨床研究コーディネーターから最初に参加した治験の薬が承認されたと聞いた。自分もその一端を担ったことに喜びを感じた

―― 2回目の治験をするときに、そのー、前に参加してくれたやつ(1回目の治験)、薬になったんですよとかっていうのは誰から(聞いたの)ですか?

コーディネーターの方が。あの、だから、次、違うコーディネーターが前の方にあれして、私、前もこれ、これの(治験に参加)したんですと言ったら、あ、その分は薬になりましたよみたいなことを言われたから、あ、そうなのかなと思って。はい。

―― それ、聞いたときに、どんな感じですか。

そりゃ、すごい、何か私も一端を担ったのかなと。変なとこ、すごい喜びを感じましたよ、すごく。

―― なるほど。ま、でも、実際にそれで参加されたわけですね。

全国で私一人じゃなく、何百人の人が治験に参加してるんでしょ。だから、私一人で薬になったような気分に自分もなりました。

―― じゃあ、どちらかというと、ちょっとうれしかったというか。

私はそれはうれしかったですね、はい。

臨床試験・治験の語り

主治医から思った以上に早く発売になったと聞いて、自分の治験のデータが役に立ったと嬉しかった

―― そうしますと、その、先生から、これ、発売になったよっていうことは、思ったよりも早くっていうふうにおっしゃられて。

はい、厚生省も早く。そのときはうれしかったですね、やはりね。ああ、良かったな。

―― そのうれしさって、どういううれしさですか。

そうですね、発売、自分の、ほら、治験参加して、そのデータが役に立って、いい方向にね、あの、向いたから余計良かったですね。ええ。

―― 早く承認されたらいいなってご本人も思っていらっしゃったんですかね。

そうですね。でも、意外と、うん、何か早かったような、ええ。

臨床試験・治験の語り

治験に参加した商品が製品化されたと聞いたときはうれしかった。もし自分が試したのがプラセボだったとしても自分のデータが役に立ったと思う(音声のみ)

―― やはり、こう、医学の発展に貢献した、みたいな…。

そう、もう、なんか、すごく、そうなんです。

―― 参加したっていう実感が…。

ええ、治験をしたっていうことだけでね、なんか、なんかちょっと少し役立てているのかなっていう、そういった気持ちはありますよね。まして自分の、あのー、試した吸入がね、製品化されたと聞いた時は、なんかすごく嬉しかったといいますかね、ええ。だから、まあ、そこで、もうダミーだったとしてもね、でも参加したことには変わりないですから、それはそれで私自身のデータがね、何かの役に立っていればって思うだけでね。それは同じ病気してる…人に、こういういいお薬があるんだからやりましょうねっていうふうに言うのと同じかなって思いますね。

臨床試験・治験の語り

「死にたい」と思うほど痛い病気なのに、死にたいと思ったことがあると答えると治験に参加できない。薬を作る側は苦しんでいる患者の思いを本当に理解しているのか疑問を抱いた

何かせっかく作ってくださっているお薬だし、本当に線維筋痛症で苦しんでいる人たちは、やっぱり、その薬をすごく望んでいることだと思うんですね。だけど、そこに、うーん、何か、本当に、何か、患者の・・・お薬に気持ちは必要ないのかもしれないんですけど、何か、本当に分かってもらえてないような思いが、どうしても1回目2回目の中で。うーん、そこが、そこが、何かすごく悲しくて。だから、何か、その2回目のときは、その断られたことっていうよりも、何を基準にお薬を作ってくださっているんだろうなっていうようなところが、自分の中でいろいろめぐってきて。何か、だから、そのお薬自体に、精神的な影響があるおそれがあるので、おそれがあるっていうか、その辺の、その、部分っていうのはやっぱり入っていると思うんですね。だけど、痛みが楽になるための、その、精神的な作用の部分が、治験のときに、その、死にたいっていうような行動をとったときに臨床試験として困るから、そこから除外されているのかなとか。何かすごいそういう思いがめぐってきて。まあ、それは、勝手にわたしの中で思ったことなんですけど。でも、だとするならば、本当にこれって線維筋痛症のお薬かなっていうのが、やっぱり、そこが強くなってきて、「死にたいほど痛いっていうのがこの病気なのに、うーん」っていうのがすごく。だから、しばらく、でも、そのときは、何日間かすごい、こう、めぐっていました。

―― そういった思いをほかの誰かにお話されたことってありますか。

はい、それは、ちょうど治験を受けている時期に、かかっていた先生が、内科の先生がいて、で、また断られたんだっていう話はしたんですね。で、そのときにその先生が、おっしゃったのが、「何でそこで、また、『はい』って言っちゃったの」っていうことは、その先生がちらっとおっしゃったんです。

―― 「はい」って言うのは、「死にたいと思ったことがありますか」に、なぜ正直に「はい」と答えたのかっていうことですね。

はい。だから、2回目のときは、おそらく先ほどもお伝えしたように、自分の中で、そのお薬を試したいというよりは、どういう思いでこのお薬が使われているのかっていう部分に、あのー、作られようとしているのかっていう部分に、何かわたしの視点がいっていたのかなっていうのと、やっぱり、そこは、正直に答えることで、まあ、断られるどうこうっていうよりも、うーん、何か、わたしの中に芽ばえていた、いろんな思いっていうのを、ちょっと、こう、明確にしたかったのかなっていうような思いでいたことに、そこで、ちょっと、自分で気付いたりしたんですけど。

臨床試験・治験の語り

長年お世話になっている病院で、どのみち定期的に通っているのでそのついでに役に立てればよいという、ほんの出来心のような感じで参加を決めた

(参加した)きっかけというのは、まあ、私が長年お世話になっている病院に、たまたまそういう(臨床試験の被験者)募集の、まあ張り出しがあって、掲示がありましてね。その内容的に、私自身がその対象に該当する条件のものだなというのが分かったわけです。で、もう長年お世話になってきたんで、そういうのでなんかお役に立てればという気持ちで応募したというのが応募理由ですね。

―― そうすると、その病院にお世話になっていて、どちらかというとお役に立てればというお気持ち。

そうですね、ええ。どのみち、病院には定期的に(定期検査のために)通う形にありますから、そういうので、なんか、お役に立つことがあれば、随分お世話になってきたんでね。これからもお世話になるし、少しでも何かお役に立てればという、そのぐらいの、ほんの出来心みたいなもんですね。

臨床試験・治験の語り

他に薬がなくてわらにもすがる思いで治験に参加するのに、なぜプラセボを入れるのか、パンフレットを読んでも、医療者に聞いても、最後まで納得いかなかった

あと、やっぱりね、不思議だったのは、なぜにせ薬を入れるのかなっていうのが不思議でしたね。冊子を読んでもよく分からなかったです。その、…プラセボ、にせ薬を入れるということが、何でそういう必要性があるのかなっていうのが、いっぱい、ま、……やさしくは書いてあるとは、そのね、パンフレットに書いているとは思ってはいるんですけれども、実際に、自分も読みましたけれども、やっぱり、最後まで分からなかったです、うん。それで、わたしで分からないのが、年寄り、今77の母に分かるはずがないと思うんですよね、うーん。で、……何だろう、もっと、こう、治験に対して、こう、やさしい情報提供……ま、して、お医者さん側からしてみれば、してくれてはいるとは思うんですけれども、患者側としてみれば、まだ、治験に対する、ま、恐怖心もあるかもしれないし、分からないことだらけなんですよね。うん。だから、こう……もっと、こう、分かりやすく、やさしく……情報を提供してくれたら、いいのになっていうのは…ありましたね、うーん。
うん、あのー、聞いてもね、よく答えが分からなかったです、うん、正直言って。……こう、「治験に必要なことなんですよ」っていうふうに言われるんですけれども、それが納得いかなかったですね。

―― じゃ、そこの、何ていうか、治験を一部、まあ、疑問に思うことはありながらも、やっぱり、その、えーと、治験に参加して、病気がよくなりたいとか、よくなるかもしれないっていうことで、まあ、そこの疑問は解消しなくても仕方がないかなという、そういう感じなんでしょうか。

そうですね。うん、もう、だって、薬がないんです、もう。それにすがるしかないですよ。……うん、……だから、今度、始まる治験に対しても、もう、わらにもすがる思いですよ。うーん。だから、多分、次回、まあ、治験やると思うんですけれども、そのときに配られるパンフレット見ても、多分、分からないと思います。だけども、……母もわたしも…ぜひっていう気持ちはあります。