投稿者「dipex-j」のアーカイブ

臨床試験・治験の語り

レントゲン撮影に造影剤を使うことには同意したが、実際の撮影では足首をゴム管で強く締められ、とても痛くて引き受けたことを後悔した

―― 治験に参加して、これ、困ったな、嫌だったなっていうようなことっていうのはありましたか。

ありました。あのー、レントゲンていうのがありましてね。レントゲンですから、軽く考えておりました。そしたら、レントゲンの前日に造影剤に同意っていうのがありましてね。それも多分説明あったと思うんですけれども、それに同意をいたしまして、そして、次の日レントゲンだったんです。レントゲン室に行きまして、そしたら何となく人数もいつもより多くて、ちょっといつもと違うなっていうそんな感じでした。そしたら、大きなレントゲンの台の前に立たされまして、そして、足首をぎゅうっとこう締め出したんですね。それで、こうやってこう下を見ればよかったんですけれども、もうその締め方が、男の方がぎゅうっと締めるもんですから、すごく痛かったんです。普通、ここ(=腕)に血管注射するときに、ゴムでぐっと縛りますよね。ああいうゴムだったと思うんですけれども、それでもう、ギュッギュギュッギュ、ギュッギュと締められましてね。それで、私、「あ、痛いんですけど、痛いんですけど」って言いましても、「いや、すぐ終わりますから、もうちょっと我慢してください」っていう感じで、ぐっぐぐっぐ締められて、そのときに感じたのが、「うわ、こんなに足首締められて血管大丈夫なんだろうか」ってすごい不安になりました。多分そのときに造影剤を入れたんだと思うんですけれども。そして、今度は足首をですね、右に何回かこう、そしてまた左のほうに何回かこう動かすんです。係の方が、こう動かしてくれるんですけれども。動かすたんびに放射線を照射するそんな感じがするんですね。

―― この角度で1回、この角度で1回みたいな感じで。

ええ、そうそうそう。そのときに思いましたのが、「うわ、こんなに1カ所にね、もう何回も何回も、放射線を照射されて大丈夫なんだろうか」って。両足ですからね、片方ずつ両足ですから、そのときは本当に後悔しました。「うわ、こんなことがあったんだったら、ああ、しなければよかった。何でこんなの引き受けたんだろう」って、最初の意気込みはどこへやらね、本当に後悔しました。

―― その気持ちを主治医や、治験の方とかに訴えたりしましたか。

いいえ。訴えませんでした。もうそのときは、ただもう、痛い、痛い、痛いっていうのは言いましたけれども、でも、ここで頑張らなくっちゃ、いつまでもこれが終わらないなと思いましてね、そしてもう痛いの我慢していましたね。はい。

臨床試験・治験の語り

治験参加に同意したあと、待合室で実際に採血とインシュリン注射の打ち方を教えてもらった。事前説明のときはそんなに痛いことをするということはわからなかった

―― 最初の治験の説明のときに、指から血糖値を調べるとかインシュリンのようなものを打つっていう説明を受けたときに、痛くなるっていうのが分かりましたか。

うん、待合室で教えてもらったのよね、打ち方を。それでね、あ、痛いなあと思って。初めて自分でしたやろ、そこね、それが、ああ、これから毎日せないけんのかなと思ったり。それでも、まあ、してよかったかなと思ったりすることもあるかなと思って。

―― 一番最初の説明のときに、もう待合室で、実際、こうするんですよって刺したわけですか。

そう、教えてもらったの。

―― それはちょっと覚えてないかもしれないけども、治験に参加するって同意したあと?前?

あと。

―― 同意するときに、こういうチクッとかいうのがあるとかいうのは、あんまり分からなかった?

分からなかった。

―― 多分ですけど、いろいろ口でね、いっぱい説明があったと思うんだけれども。

忘れるんや。

―― あんまり、もう…。

頭にあんまりないから、もう聞いてもさっと忘れて、あと、自分のすることだけしとかいいなと思って(=しておいたらいいかなと思って)。

―― もうすでに、「治験やるよ」「治験やろう」って自分の中で決めていっているから、特に、もう。

別に、そんな感じはなかった。

―― 実際、同意したあとに、やり方を説明しますっていう感じで、そこで初めて。

そう。

―― そこでもうやめたいとは思わなかった?痛いから。

いや、それは、それは思わなかったですね。

臨床試験・治験の語り

事前説明の時に参加を断られることもあると説明されていたが、同意をした後の段階で断られる場合があるとは思っていなかった

―― 1回目の治験のとき同意書にサインまで書いたということだったんですけれども、そのときの内容の説明等々は納得いくようなものでしたか。理解しやすかったかとか、難しかったかとかそういうことをちょっとお聞きしたいんですけど。

理解はしやすい内容ではありましたが、どうしても、そこは言っておかないといけない点だから繰り返されるんだと思うんですけども、お断りする場合があるっていう参加できない場合がありますとか。で、同意の段階でも、でも、同意したあとの段階では、その、もう断られるっていう話はなかったので、そこは、初回のとき今思えばちょっと意外ではあったんですけど。でも、その最初の電話での問い合わせのときから、繰り返し、参加できない場合がありますけど、同意いただけますかというところからの始まりだったので。

―― 同意後も参加できない場合がありますというようなニュアンスですか。

同意後も参加できないっていうのは思っていなかったです。

臨床試験・治験の語り

麻酔薬の治験で100%効き目のあるものから0%のプラセボまで効き目の異なる薬を使うが、実際にどれを使ったかは医師自身にもわからないといわれた(音声のみ)

そのー…治験の時に、あのー、プラセボ、治験の説明の時に、プラセボの話が、こう、ありまして、まあ、あの、プラセボというのは偽薬だと。で、治験で使うのが、その、全部、この…効き目のある、えー、薬なり、麻酔薬なり、ではなくて、えー、100%効き目のあるものから75%、50%、25%、場合によっては0%の、そういう…薬もありますと。えー、まあ当然、パーセントが低ければ効き目も低いわけですから、その場合は、その、やっぱり痛みを感じる、強く感じるようになるので、えー、まあ、そういった場合は、その…率直に、こう、言ってくださいと。まあ、別の対処の仕方をするという、まあ治験をするに当たってのリスクの一つとして説明を受けたわけですけども、ただ、その、実際に、その、使用した薬がプラセボなのかどうなのか、何%ぐらいの効果があるものかというのは、その、使っている、その、ドクター自身もご存じないというふうに伺っていたんですね。

臨床試験・治験の語り

アスピリンによる胃の炎症を抑える薬の治験は、対象者を2つのグループに分けて、本当の薬と擬似の薬を投与して比較するという試験だった

で…治験に使う薬というのは、そういうアスピリン自体が、…必ずじゃないんですけれども、そういう胃に炎症を、長期に飲んでいると起こしやすいということがどうやら医学界で分かって、で、それを止めるための薬というのが、どうもいろいろはあるんですけれども、ピンとくるようなものがないところに、どうもその新しい薬が現われて、で、その効果を…試そうと、そういう治験だったようです。
ですから、本当のそのお薬と、それと薬と全く同じ包装なんですけれども、形状なんですけれども、全然違う、要するに単なる、あの、粉、何でしょうかね、擬似薬、何とかいう言葉が、専門用語があるんですけど、擬似の薬と。それを、対象者を2つのグループに分けて、Aグループは本当の薬、Bグループは、その偽物というんで比較試験を1年余りやってみようというのが、その試験の目的だったようです。

―― じゃあその試験に入られてどっちかのグループに分けられるということになるんですけれども、それはどんなふうに分けられて…。

これはあくまで、治験者(被験者)のほうには知らされないで、自分がAグループなのかBグループなのか、それは終了するまでは教えませんということで始まりました。

臨床試験・治験の語り

にきびで悩んでいたとき医師から「ほとんど承認に近いレベルの薬があるが試しにやってみないか」と軽い感じでいわれ、後日病院から連絡があったので改めて話を聞きに行った

結構先生からは、軽い感じで「やってみない?」みたいな、「こういう、まだ承認はされてないけれども、ほとんど承認に近いレベルの薬があるんだけれども、ちょっと実験って言ったら悪い言い方かもしれないですけど、ちょっと試しにやってみませんか」っていうお話がありました。

で、ちょっとその時は、いまいちピンとこなかったんですけど、あとあとになって、病院のほうから連絡がきて、またちょっと、もう一度そのお話を聞いた時に、やろうかなって思ったのを覚えてますね。はい。

―― どういう薬のどういう治験だったかっていうのを、もう少し詳しく教えていただけますか。

はい。基本的には塗り薬、軟膏のような塗り薬で、1日1回、顔に塗って使っていました。なので、まったく入院とかは一切必要なくて、毎日家でできる簡単なものでした。はい。

―― 期間はどれぐらいだったんでしょうか。

基本的には1年と、最長で1年と言われていたんですが、たぶん11ヶ月ぐらいだったと思います。はい。

―― それは開発の段階の何相とか覚えてらっしゃいますか。

特に話はなかったんですけれども、自分の中では、やったあとに効果があったかな、と思ったので、プラセボではなかったんじゃないかって自分の中では思ってます。

―― その時の説明の場面っていうのは、誰が説明したんですか。

まったく覚えてないです。すみません。

臨床試験・治験の語り

医師は糖尿病の薬の治験について段階が後ろのほうで、安全性試験も通っているから、あまり副作用の心配はしなくていいといった(音声のみ)

―― 糖尿病のほうのお医者さんの説明っていうのは、今使っているお薬は、もうそれは明らかに効き目のあるお薬だと思うんですけど、その薬を使わなくてよくなって、お金が浮いて、で、「治験でもちゃんと効き目のあるお薬が使えるんだからいいでしょう」っていう説明のように聞こえたんですけど、そういうことだったんですかね。

そうです。その薬は、もうすでに、臨床(試験)の段階がうしろのほうだから、安全性試験も通っているから、あまり副作用心配しなくていいんだよっていうようなことで。今、使っている薬の代替になるんだというような言い方はなさっていましたけどね、うん。

臨床試験・治験の語り

慢性骨髄性白血病で参加した治験は、国内では第Ⅲ相の段階だったが、海外では承認済みの薬だった

―― 新薬っていうのは海外ではどうだったんでしょうか。

海外では、もう認められているって言っていました、はい。

―― それを日本に持って来るにあたっての治験。

えーと、もう、第Ⅰ相、第Ⅱ相が終わって、日本では。第Ⅲ相っていう段階だったんですね。それで、第Ⅲ相の条件というのは非常に厳しいんですね。こういう条件のこういう条件の人っていうわけで。そしたら、みんな条件に合わなかったらしいです。結局、最後残ったのがわたしだけだったんだそうです。

―― そのいろんな条件をクリアして。

ええ、わたしがね。だから、大学病院の主治医になった先生笑っておっしゃっていましたけど。だから、「外国ではもう治験はやっていない」と。「日本でしかやっていないけど、はっきり言えば、だから治験、その治験を受けているのは、あなた1人だよ」って言って、笑っていましたけどね、はい。

臨床試験・治験の語り

医師が実際に吸入をやって見せてくれた上に、治験では検査についてもより詳しく丁寧に説明してもらえるのがありがたかった(音声のみ)

治療の時の説明は、こういうお薬で、こういう吸入をしますっていう、それを、あのー…私に、あの、説明してくださったんですけども、私の場合は、その、呼吸器科の先生が自らこういうお薬で、こういうふうにするんですよって、私の目の前でやってくださったんですよ。それでね、わあ、素晴らしいと思いまして、「ああ、先生もやられるんですか」って言ったら、自分も一度やってみないと、患者さんが、あのー、どんなものをするかって分からないんで、私は一度は試しますよっておっしゃったんで、先生がやっているんだったらということで、そういう治療の説明をしてくださったので、それをずっとね、あのー、してたんですけれど。まあ、治験の、その時になりましたら、もう、それよりもさらに詳しく、話してくださったものですから、あのー、そういった点ではすごく…安心でしたね。逆に、何ですかね、治験をやっていると、より詳しく、より丁寧に、なんか、あのー、説明してくださるのがありがたかったですね。そこで得たもの、すごく大きいもんですから、普通はもう吸入して終わりだけど、そうするためにはね、あのー、こういう数値を測って、こうで、ああでっていう、そういう説明をしてくださったので、その、検査していく中で、すごく私自身が、何ていうんですかね、守られているっていいますかね、なんか丁寧にされている気持ちになってしまいまして、ええ。

―― なるほど。

はい。

―― 普通の、こう、外来に通っていらっしゃるだけでは味わえない…。

ええ、感じないです。

―― 感じないような。

ええ、そうですね。やっぱり、もう隅から隅まで、その、診てくださるって言いますかね、そういう安心感ですか。

―― 普段受けてらっしゃる治療と、治験の一番の違いっていうのは、まあ、医療者との関わり方っていうところですかね。

えっと。

―― 普段、治療で外来に通っていらっしゃるときと、その治験に参加している間で、一番、こう、何ていうんですか、扱いが違うなっていうふうに感じられたのは、その、医療者との関わり方ですか。

そうですね。やはり、話が長いことできますのでね。こうです、ああですっていうふうにできるので、そういった点では、外来だとどうしても数分間の、その、接し方ですから、ええ。もっと、ずーっとね、あれも聞きたい、これも聞きたいってありますけれど、もうその時、逃しちゃうと、ないんですけど、そのー、治験やっている間は、疑問点があるとすぐ(医師に)ぶつけられましたので。そういう点ではすごく助かりましたね。

臨床試験・治験の語り

治験中にコーディネーターと直接話したことはほとんどなく、体調で気になることなどは、週1回の診察の際にすべて主治医に相談していた

―― その(治験に参加している)間、そのコーディネーターの方とは、どれくらいの頻度でお話しされたりとか、周りの、その個人の方のサポートっていうものは、どういったものがあったんでしょうか。

はい。特に、コーディネーターの方のサポートというのはなかったと思います。ですんで、まあ、どちらにしろ、1週間に1回は、主治医の先生と、会って、診察の時間を持って、持っていましたので。そういった意味では、多分、気分が悪くなるとか、何か、この薬を飲んで病状が悪化しただとか、そういったことがあれば、その先生に、相談をしたと思いますね。で、1週間に1回、まあ、もちろん、そのときに行くんですけども。それ以外にも、悪くなったら、来てくださいという話はされていましたので。うん、そういった意味では、まあ、場所は、ちょっと、こっから約1時間半ぐらいかかるところなんですけれども、そういった心配はしていませんでしたですね。
ですので、そういった意味では、ま、コーディネーターの方とは、話はしませんでしたけれども、主治医の先生とは、少なくとも最低1週間に1回会って、悪ければ、そういった、「ちょっとおなかの調子が悪いんですけども」とかですね、「血便が出だしたんですけども」とか、そういったことを話せるので、そういった意味では、わたしは心配はしなかったと思います。はい。