投稿者「dipex-j」のアーカイブ

臨床試験・治験の語り

治験の薬を飲みに行っているので偽薬かどうか知る必要はないと思ったが、便通の変化で偽薬とそうでないものの両方を飲んだと勝手に思っている

ほかの人から聞いたときに偽薬っていうんですか、それと、本物の薬を、治験用の薬飲んでいるのかは分からないというふうに言われていましたんで、これは、どっちなのかなあと考えたりはしましたけどもそれほどの差は感じなかったですけどね。

―― 参加された治験は、偽薬が混ざっている治験だったんですか。

偽薬、うん、それは知っていましたよ。

―― どっちに当たるかなっていうのは分からない。

それがね、これ1年半かかるでしょう。例えば、半年間偽薬で、その次の半年が治験用の薬でというような感じを勝手に思っていましたけどね。

―― 実際はどうだったんですかね。

実際、それは教えてくれませんし、わたしも聞きませんから。偽薬じゃないのも両方飲んだんだろうというふうに、勝手に思っていますけど。

―― それは治験終わってから、治験の係の人とかに、自分が飲んでいたのはどっちだったんですかとか、聞いてみようとかはあんまり思わないですか。

ただ、一つだけね、何ていうのかな、ちょっと便秘気味になったりゆるくなったりがあった時期があったんですよ。そんときはね、薬のせいだと思わなかったんですけど。全部終わってみたら、極めて順調な便通になったもんで、「あ、最後のこれを飲んでいたのは、治験用の薬だったんだろう」と思いましたけどね。そんな程度ですね。

―― ご自身が飲んでいたのが治験用のやつなのか、それとも偽の薬なのかっていうのは、そんなに気にはならないものですか。

うーん、気にするようなことじゃないですね、わたしにとっては。だって、治験の薬を飲みにいっているんだから、それが偽薬かどうかは知る必要ないでしよう。

―― あとからも特に聞いたりはしなかったっていうことですね。

はい。

臨床試験・治験の語り

治験で飲んでいた薬が片栗粉を固めたようなラムネ菓子のようなもので、あまり効果も感じられなかったので、勝手にああ外れたなと思った

―― (治験が)終了されたときに、プラセボだったかどうかというのは教えてもらえるんですか。

いや、それも病院でも分からないで終わるみたいですね。検査機関のほうだけが分かってるっていう。病院もデータを送るだけっていうことで、「それは教えてもらえないです」って言われました。

―― ご自身でプラセボだったかどうかっていうのを知りたいとか、そういうのを思われましたか。

治療の途中までは「ああ、これ、プラセボだ」って勝手に(思っていました)。それこそ片栗粉を固めたような感じだったし、あんまり治療効果っていうのも感じられなかったので、「ああ、外れたな」と思ったけど、だんだん治ってきたので、ま、どっちでもいいかっていう。

―― そのプラセボかもしれないと思ったのは、もうちょっと具体的に、どういうところを見て思われたのか教えていただきたいんですけど。

口に入れたときの感じが、何かうそくさいっていうか(笑)。何かね、崩れやすい感じがしたんですよね。味のついてないお菓子みたいな、ラムネ菓子みたいな感じのような気がしたので、勝手に。

―― 最後までどっちか分からないっていうことだったんですけども、もし聞けるとしたら、プラセボだったかどうかっていうのはお知りになりたいでしょうか。

効果が出なかったときは聞きたかったと思います。

―― でも、今回の場合はご自身で効果を感じられたので。

うん、どっちでもいいかなって。

臨床試験・治験の語り

約束したことは守るのが当たり前で、治験の薬を決められたとおりに飲まなければいけないという義務感をもった

いや、体の上では全然(つらいとか)そういう感じはなかったです。変化は、ええ。だから、まあ、それを、治験を、参加してから、何がっていうと、ともかく、毎日(治験の薬を)飲まなきゃいけないっていう、その義務感ですね、ある意味ではね。で、これをやっぱり怠るのは、まずいなと、うん。で、実際には、と言いながらも何日間か、年間、何日ぐらいかな、続けてっていうことはないんですよ。ふと忘れてしまうと。翌日、で、必ず、その、飲んだか飲まないかの記録帳を持たされていますから、それに丸を付けていくんですけども、だから、分かるんですよね、「あれっ」ていうね、ええ。「あれっ、忘れちゃった」という。そういう、飲まなきゃいけないっていう、その義務づけですか。その辺は、まあ、気分的な問題なんですけども、それだけはありましたね、ええ。

やっぱり、これはほかのことでも同じだと思うんですが、いったん、やっぱりほかの方とね、あの…約束をしたらば、それは守るのが当たり前ですよね。だから、それはやっぱり、まあ、ちょっと言葉はきついかもしれませんけども、責任というか、義務というか、当然のことだと思うんですよね。だから、それを怠ったっていうのが非常に申し訳ないというか、自分でも非常によくなかったなと、反省をしなきゃならない点だというふうに思います。別にこれはこの問題だけじゃないんですけどね。一般論なんですけどね、ええ。

―― どちらかというと、半ばでちょっと、こう、中だるみじゃないですけど…は、なんかあったけれども、でも、やっぱり…。

そうですね、うん、うん。

―― そういうのも長期間ではなく、自分で(記録を)つけていると、「あっ」て気付いて…。

そうなんですね、ええ。毎日、ともかく飲んだか飲まないかを書けというのは、ちょっと大変なんですけれども、ですけど、やっぱりそれがないと本当にうっかりしてしまうという、ええ、そういうもんだなというのは初めて分かりました。

―― そうすると、じゃあ、途中で、こう、やめたくなったりとか、そういうこととかは…。

…は、全くなかったですね、ええ。別に、その、苦痛なことは何もないんですから、ええ。

臨床試験・治験の語り

たとえ目薬でも治験のもの以外の薬を使うときに確認を取らねばならず、忙しい医師に電話するのは悪いなと思いながら電話すると報告のお礼を言われてほっとした

―― 先ほどから治験に参加して良かったというふうにおっしゃってますけれども、あえて悪かったことというのを挙げるとしたらどういったことがありますか。

悪かったというよりも、やはり、その次の診察日には体調をやはり整えて、病気にならないこととか、そういうのは結構気使いましたね。

―― 結構頻繁に行かなきゃいけないですから。

そうですね、はい。で、ほかの何ていうんですか、病気したとき、いろいろ、(治験のもの以外の)薬飲むときは(治験担当の)先生にお電話して、こういうの飲みますからっていう確認を取るわけですね。一応、治験ていう、書類はいただいて、かかる病院にはそれをお見せしてたんですけれども、やはり薬との関係がありますので、お薬飲むときは必ず先生に、お電話して、こういう状態ですけど、こういうお薬を飲みますけどっていうふうに、ご連絡はしておりました。

―― ちょっとした風邪薬とかそういったもの。

そうですね、はい、それはやはりちょっと気使いましたね。はい、目薬でもみんな先生には一応ご報告して。でも、先生、お忙しいのに悪いなと思ってお電話するんですけど、必ず後で「ありがとうございました」って言ってくださるので。

―― その都度、主治医の先生も対応はしてくださったんですね。

あ、そうです。それで、ありがとうございましたって言ってくださるので、まあ、ちょっとほっと、お忙しいので悪いなと思いながら電話するんですけど、なおそう言ってくださるから、ほっとしたのは覚えてます。

臨床試験・治験の語り

治験の薬を飲む前後にはものを食べてはいけなかったので、薬を飲む時間を決めていたが、外食したり旅行に出かけた時は守れないときがあった

ああ、ニロチニブを飲む2時間前から食べてはいけないんです。そしてニロチニブを飲んでからも1時間、要するに3時間絶食状態。それを朝晩2回。ですから、かなり厳しいということですね。それがもう生活パターンで、いろいろ「自分の生活パターンに合わせてやってくれ」と先生はおっしゃっていました。で、まあ、それ始めましたね、3月からね、はい。で、「きょうから、そのー、この薬を、こういうふうにして飲んでくれ」と渡されたときは、そのー、こういうふうに1カ月分ぐらいですか、全部渡されるわけですけど。非常に、その高い薬だというのは知っていましたから。ああ、これはもうこんな薬なくしたら大変だなと。やっぱり、ちょっと緊張感っていうかね、責任感感じました、はい。

―― その薬の管理とかは、どういうふうにされていたんですか。何か記録つけたりとか報告したりとか、そういうのは。

薬の管理って、そのー、朝2カプセル夜2カプセル飲んでいましてね。で、わたしは、このお菓子の箱、こういうふうにね、そうするとこういうふうに、お菓子じゃなくて、あれは何ですか、紅茶、ティーパックのね、こういうふうにしきりのあるのありますよね、よくおつかいものなんかで。それ、日、月、火、水、木、金、土とね書いて。それにもう日曜日の分4カプセル、月曜日の分4カプセル、日曜日の朝か土曜日の夜に全部こうやってちょんちょんちょんちょん入れとくわけです。ですから、それ見て、はい。で、わたしは、もうとにかく朝起きて、もう6時か6時半に飲むことにしました。そうすると夜中ですから食べていないわけですよね。ですから、楽にそれを、もう、朝起きたら、まず飲んで。と、それから1時間なんていうのは、うちのことやっていれはすぐすんじゃいますから。で、大体夜も6時に飲むと決めておけば、4時になったら、もう食べない、おやつとかね、はい。お茶か水だけ。ということで、はい。

―― それは、生活で何か不便だなとか思ったりは。

やっぱり、お友達と食事とか、1泊旅行とか、ねえ、うーん、息子家族とも、そんなしょっちゅうじゃないですけど、例えば、海外旅行行ったときなんかね、やっぱりごちそう食べるのにね。だから、たまには(治験の薬を飲むのを)パスする日もありました、はい。だから、まあ、先生は、もう、わたしのこのー、ね、「今の(症状が落ち着いた)状態になったら1回ぐらい抜けたって大丈夫ですよ」なんて笑っておっしゃっていましたけど。なるべくきちんと飲むようにしました、ええ。それで、治験が終わったときですね、そのコーディネーターの人が言っていましたけど、「すごいですよ」って。忘れないで1年間全部きちっと飲んだのは、もうわたしが初めてかしらとかって言っていましたね。みんな、やっぱり忘れちゃったり、あ、つい食べちゃったなんてことがあると飲めないわけですからね。外で働いている人は大変だと思います。

臨床試験・治験の語り

治験のための日記をつけるのはまったく苦ではなかったが、毎月の診察ごとに前回出された塗り薬のチューブを忘れずに病院にもっていかなければならないのが心配の種だった

―― じゃあ、その、(自分の体調などを記録する)日記を付けるとか、あと、薬の管理とかもしなくちゃいけないのかな、と思うんですけど、治験薬の。そのあたりで、なんかちょっと、不都合だったとか、ちょっと面倒くさかったとか、そういうことってありますか。

日記に関しては、まったく苦はなかったです。たぶん、当時は結構書くのが好きだったので、まったく苦ではなかったですし。ただ、毎月1ヶ月分の、次回診察来るまでの(塗り)薬をもらってたんですけど、当時チューブで4本ずつもらってて、まあ、塗り忘れてどんなに残ろうとも、そのチューブをまた返却しなきゃいけないっていうのがあって、それをちょっと、毎月忘れずに持って行かなきゃいけないっていうのが、ちょっと心配、自分の中で心配の種でした。はい。

臨床試験・治験の語り

忙しく働いている中で、薬を決められたとおりに飲み、体の状態を記録していくという作業は負担というほどではないが面倒くさかった(テキストのみ)

チェックするのが面倒臭かったですよね、何か、こう、いろんなものを記録しなきゃいけない。これをちゃんと飲んで、で、そんときの何か、こう、(自分の体の)状態を、こう、記録していくっていう作業があるじゃないですか。それは、ちょっと、まあ、正直言って面倒臭かったですよね。うん。

―― でも、何とかやった。

まあ、そうですね。まあ、やったっていうか、働いていて忙しかったから、もう、ほんとに面倒臭いぐらいの話で。うん、まあ、別にそんな負担っていうわけの作業じゃないから。はい。

臨床試験・治験の語り

眠いときや疲れたときでも提出するノートに書くべきことは簡単にでもメモしておき、次の日に清書するということもあった(音声のみ)

―― ちょっと、もう面倒くさくてやめたいわとか、負担だわっていうようなことは?

そうですね。やっぱり、眠くなっちゃったりとかね、それから疲れちゃったなっていう時もありますけども、やっぱり、(記録を)付けないとあれなので、あんまり、そのー、ものすごい負担にしないように、自分の中で、まあ、どこかにちょっとパパッとメモしておいて、翌日にまた(提出するノートに)書いたりとかね。もちろん、(呼吸の)数値はその日にやらないと駄目なので、それは毎日きちんと測りましたけども。文章にするっていうのが意外とね、ためちゃうと大変なので、ええ。それで1カ月に1回か、何週間に1回だったか、それを持って、提出して、(治験)コーディネーターの人とね、提出するんですけどね、ええ。そういう…それを見ながら、なんか、いろいろとデータを測っていくんだと思うんですけども、はい。

臨床試験・治験の語り

最初の頃は、使ったことがないハードコンタクトレンズを入れはずしするのがとても大変で、スパルタ式の訓練で、かわいそうに思った(音声のみ)

―― その、初めてコンタクトをするときに、ハードを、ソフトじゃなくてしかもハードでっていうのは、そのあたりはいかがでしたか、大変なこととか。

母親:大変、やっぱ。

本人:たまに、何か、(朝)4時とか5時とかに、目が痛くなって、もう、ほんと、ごくまれにあって、で、それでもうそのまま起きちゃって。

母親:最初のころ、やっぱり目に物を入れるっていうのがすっごい怖くて、もう、それこそ、もう、スパルタじゃないけど、「目を閉じるもんじゃない」みたいな。「目を頑張って開ける」みたいな。「男だったら開けなさい」みたいな、何かそんな感じの、こう、何か、こう、スポ根みたいになっちゃうぐらい、こう、頑張ってやってっていう感じだった。最初のころはかわいそうかなと、これいく、まだ(参加を続けて)いくのかなとちょっと思ったんですけど。最初の1日、最初の日、わあわあ言いながら、コンタクトつけて、翌朝、外すときもわあわあ言いながら外して、だけど、外したときに、目が(前よりもよく)見えるみたいな感じで。覚えてる?

臨床試験・治験の語り

週に一度、治験に関連する診察を受けに行くために会社を休まなければならなかったが、病気のことで休むのはよいという雰囲気だったので周囲の抵抗はなかったと思う

いつもと違うところっていうのはですね、この治験は、8週間連続して行われました。で、そのうちの週に1回必ず、病院に行って診察を受けなければいけないということもありました。ですので、その間、週に1回会社を休まなければいけないということもありました。ただし、わたしの当時いた、勤めていた、部署ではですね、特に、まあ、病気であるんで、病気のために会社を休むんであれば、あー、まあOKですよと、まあ、そういう雰囲気でしたので、そういった意味では、会社を休むということに対して、周りからのその抵抗とかは、なかったんじゃないかなっていうふうには個人的には思っています。