投稿者「dipex-j」のアーカイブ

臨床試験・治験の語り

治験をやる病院まで6時間もかかるので、家族に送迎してもらいながら通っていたが、とても迷惑をかけたし、嫌だった

うーん。嫌だったなっていうのは、それに、治験受けるために大阪通い始めて、もう4週間に1回ずつ行かなきゃならないから、行ってきた日ぐらいは、1週間ぐらいは安心なんですよ。でも、またもう、「あ、来週はまたいかなきゃならない」っていう、それは、大変だったですね。

もう冬なんて、例えば、その総合病院に着くのに、えーと、2時ぐらいになるんですよ。ですから、普通に行けば、普通に行けばっていうか、夜が明けてから行ったら。でも、6時間かかるんですよ、その病院まで。だから、採血が2時で終わりなんですよ。それ前に入らなきゃならないから。ていうのは、うちを朝の6時ごろ、もう冬なんで真っ暗なときに起きて、そして、主人がもちろん(近くの)駅まで送ったり、少し離れた駅まで送ったりしてくれたから、家族にうんとお世話になったし、主人都合悪いときは息子が送ったりして、それはもう大変だったんです。嫌なことはそれ。

それと、あと、冬なんてもう、大阪を夕方、前の日に注射して、翌日様子を見て帰りなさいって言うから、2時ぐらいに出ると、もううちに着くの真っ暗なんですよ。そうすると、真っ暗だし、また家族が迎えて行ってくれて、それはもう大変な、騒ぎで、そういうのは大変でしたね。嫌だったというか、迷惑掛けたし、嫌だったですね、嫌だといえば。ええ。もう、そのストレスが(治験が終わってからの通院も含めると)もう十何年間。ほっとしたのはつかの間で、また行かなきゃならないっていう、それは大変だったですね。

臨床試験・治験の語り

仕事のような感じで一生懸命病院に通っていたが、寒い時期は朝早くから家を出ていくのが辛いと思うこともあった

―― その治験に参加されてる間のことなんですけども、ま、何回か通われてたってことでしたけど、途中で何か不都合があったりとか、生活がちょっと治験に参加してからちょっと変わっちゃったなとか、そういったことってありましたか。

あ、それはなかったですね。もう、何しろ、その、行き始めたら、私は一つやったらずっと最後まで続けるほうなもんですから、もうこれは絶対どうしても行かなきゃと、お仕事みたいな感じでもって、そのときになったら必ず行ってました。はい。

―― それで体の具合が悪くなったりとか、何かちょっと気持ちが、面倒くさくなったなとか、そういったこともなかったですか。

うん、ちょっと大変なときもありましたけどね、でも、自分が行こうと思って行ったんだから、これは最後までやり遂げなきゃいけないと思って一生懸命行きました。はい。

―― どんなときが大変だったですか。

うん、やっぱり冬寒いときに、電車に乗ったり降りたり、それから、朝、やっぱり早く起きて、うち出ますわね。で、(最寄りの駅から)ま、後はタクシーで行っちゃったんですけど、そこまで行くのにやっぱり、朝早いときなんてやっぱしつらいなと思うときもありましたしね。はい。でも、やっぱり自分のためだから、これは行かなきゃと思って行ってました。はい。

―― 通われてたのは、お一人でいらっしゃったんですか。

はい。一人で行ってました。全部初めから最後まで自分一人で行きました。はい。

臨床試験・治験の語り

治験を実施した製薬会社の印象は当初良かったが、最近データ改ざんの記事など報道で取り上げられて、裏切られた気持ちで残念だ

今、製薬会社が、非常に問題になっていますね。あのー、(治験後市販化された)タシグナのことも、それから、血圧の薬、飲んでいる薬がディオバンなんですよね。何か、ですからね、そして、うちでとってる新聞は朝日新聞ですしね。朝日新聞は、よくそういうの書きますから、もう。非常にまるで警察じゃないかというぐらい。で、ちょっと、だから、(製薬会社に対して、) 何か裏切られたような、そういう、そのデータ改ざんとかね。ちょっと、残念ですね、はい。それはしゃべろうと思っていました。

最初に病名(慢性骨髄性白血病)を告知された日に、息子がすぐ、息子のうちに(行きました)。このまま、わたしは1人でいますから、ここ(一人暮らしをしている自宅)にね、「うちに1人で帰りたくない」と言ったら、「じゃ、僕んちに行こう」というわけで。で、行ってしゃべって、息子の嫁さんとしゃべっている間、パソコンで何か一生懸命やっていて、「お母さん、これ読んだらいいや」って、パソコンですぐ(情報を)出してくれて、非常に分かりやすくて、一生懸命読んだんですけどね。それで、何か、これは、誰でも(簡単に)パソコンから(情報を)引き出せなくて、登録しといた人だけ引き出せるとかって言っていましたね。

それで次に今度、その、総合病院に次に行くときこれ(情報をプリントアウトしたものを)持っていきまして、先生に聞きました。「この前、先生、息子がこれ出してくたんですけど、本屋さんに行って、本をね、何かね、この病気に関してわたしは知りたいから探しているんですけど、全然この辺の本屋さんじゃ見当たらない」と。「例えば、(病院の)隣の本屋さんに行って、その、何が一番いいですか」って、「何ていう本が一番いいですか」って言ったら、(本だと)もう専門的になって(しまうから)「これが一番いい」って先生が。(その情報が)もう、とっても素人(にも)、もう、実に分かりやすくてね。ずいぶん、これを読んだために精神的に落ち着きましたね。ですから、(その情報を出していた)この(製薬)会社はとってもいいなと思ったんですけど。うーん、何か、ここ何年か、あまりにもはなばなしく報道されているんで、ちょっと……。

※参加した治験で使用され、その後市販化されたタシグナと、ディオバンは同じ製薬会社から販売されています。

臨床試験・治験の語り

治験はお笑い番組などで高給アルバイトと紹介されて、世の中の人は悪い印象を持っている。自分は正しいことをしたという自負があるが、参加したことを人には言えない

何か、テレビか何かいっぺんやってなかったですかね。治験で、ただ寝てて、点滴打って、薬あれして(飲んで)、たらたらしてるだけで、1日幾ら何かするって。それを「どうしてあなたこれしてたんですか」って(取材するような番組)。ネットで、高給アルバイトどうとかこうとか(検索すると)、これにあたりました、それが治験ですって。同じ治験といってもこういう(イメージ)。だったら、みんなテレビで、治験ってあれを見たらそれを思うじゃないですか。だから、それのほうが、あんまりいいほうの治験てテレビで紹介されないんじゃないんかなと。変な、お笑いのほうで、高給バイト何があるかと、結構やるじゃない。私、2へんぐらい見たような気がするんです。治験とかそういう体張っての、うん、例えば麻薬の運びとかそんなのがあった。やっぱりそれのほうが結構インパクトに強く入るでしょう。だから、(悪い印象がついたのは)それでじゃないかなと思って。いったん入ったものはなかなかね。うん。何か治験っていったら、もう、何かお試しで何かね、絶対体に害が(あるんじゃないかと)。

そうじゃないって私は、教えていただいたコーディネーターを信じてるから。で、実際、まあ、こう今まで何とも、自分だって何ともないから。だからそこ辺から改善していかないと、なかなか治験の人って、世の中の皆さん、もっともっと慎重に考え、石橋をたたいても渡らない人もいらっしゃるじゃないですか。そういう人が参加するいうのは…。だから、ようお医者さんから言われたりしたら、私も逆に、もしお医者さんから言われたらしなかったかも。自分の意思でしたからしたんであって、お医者さんから言われたら、やっぱりしなかったような気はするもんなと思う。

治験、イメージがもう絶対世間にはその悪いほうでとられているじゃろうなというのがあるから。私の中では、自分は正しい治験をしたんだっていう自負はあるんですけど、世間の人に、こうやって「私、治験したんよ、したんよ」って言ったら、絶対みんな、あれ、また高いあれ(アルバイト)してとか、変な訳も分からんことしてとか思われるんでないかな、いう不安があるから、だから、その言葉(治験)を言わないんです、あんまり。

臨床試験・治験の語り

治験も治療の選択肢のひとつだと思っていた。しかし、副作用やリスクもあるので治療と治験は分けて考えなければいけないと感じた(音声のみ)

……うーん、いや、ですから、わたしも医療の現場に詳しいわけじゃないもので、その、実際の運営はどうなのか分かりませんけれども、まあ、ほんと患者の立場としてみて、患者としては、とにかく、今のあるその、えー、お薬で、売られている、あるいは保険の対象になっているようなお薬でもって治療できる、それで治れば一番いいんですけども。それが、限界があっていろいろ民間治療みたいなものもやってみて、それでもなかなか治んないっていうようなときは、(治験でも)何でもいいからっていう。その流れの中で、治験薬も一つの治療薬(として)夢の治療薬かもしれない。そういう期待をもってみるじゃないですか。だから、そういう流れの中で、えー、まあ、私はそういうのを応募してみたらどうかっていうことになったんですけれどもね。でも、それは、ちょっと、その気持ち、感情としては、気持ちとしてはそうなんですけども、でも、客観的に見るとやっぱり分けて考えないと、または、その副作用等々、あるいは、リスク、いろんなリスクあるでしょうから、そういうことも考えて、やっぱり治験が終わって、一応認可を受けたものというのが安心してみんなが使えるもんじゃないのかという、それが正当なあり方じゃないかなって思うようになってきたんですけどもね。

臨床試験・治験の語り

治験は患者のためにあると思っていたが、治験薬の有効性が証明されなかったと聞き、人体実験みたいなものだが、薬を開発するために必要なものと考えるようになった

―― 実際、参加されたときに、あのー、薬の開発にかかわる、かかわっているっていう意識は、持たれましたか、そういうのって感じるものなんですか。

……それはね、考え始めたのは、つい最近ですね。それまでは、……もう、患者のためにあるものだと思っていたので、そういう会社側が、……開発するために、新薬を開発するためにとか、そういうことは、最初の2回に関しては考えていなかったです。

―― その考えられるようになったきっかけとか何かありましたか。

……あのね、……最初のペプチドワクチンが、…効かなかったっていうか、本物の薬でも効かなかったっていう事を知らされてから、あ、……会社ってそうなんだって。やっぱり、薬を開発するためにあるものなんだって、そのときに初めて思いましたね、うーん。……。

―― じゃ、その、その何ていうか、治験として、うまくいく場合もあるし、ま、いかなかったら薬にならないしっていうのを実際に体験されたっていうのがきっかけでしたか。

そうですね。……。

母にとっては、……。
最後の 砦……かな……うーん、…治験っていうものが、まず、存在知らなかったわけですから。それで、……ま、ほかのね、胃がんとか大腸がんとか肺がんとかで、治験とかやられている、やっていますから、膵臓がんだけじゃないですからね。だから、……治るみこみがあるんだったらば、…もう、どんなことをしてでも、参加したいっていうふうには、母は思っていた…と思いますね、うーん。それで、治験自体、わたしは、わたしの考えなんですけれども、やっぱり、あるべきものじゃないかなと思いますよ。…うん、だって、…結局、まあ、人体実験みたいなもんですよ。…ねえ、わけの分からない、新しい開発した薬を、……人間、動物じゃなくて人間に試すわけなんですからね。だけども、それで、新しい薬がね、今後、開発されるんだったらば、そりゃ、やっぱり、治験っていうものは、……必要なんじゃないかなあと思いますね。

臨床試験・治験の語り

参加する前は試しに薬を飲むだけという程度の知識しかなかった。今は治験が新薬を作るために数年かけて準備に準備を重ねていくものだと知り、すごいなと思う(音声のみ)

参加される前…あ、参加する前というのは、あまり、そういう…治験というのはどういうものかっていう知識がなかったもんですから、ああ、ちょっとした、そのね、試しに(薬を)飲む…飲んだり、そういうことしたりすることなのかなと思っていたんですが…参加してからは、あ、これだけね、長いことかけて、これだけ詳しく、これだけ慎重にやるっていうことを知りましてね、ああ、これはすごいなって。今はもう、とにかく…大変なことなんだなっていうふうに思いますね。治験っていうのは、これがあるから新しいお薬とかね、新しいことにつながっていくんだし、ただ、それだけじゃなくて、数年かけて、そして最終的に製品になっていくっていうことで、これだけ本当に準備に準備を重ねてっていう、そういう知識が得られましたね。治験ってすごいなって。本当に、あのー、思いました。新聞広告なんかでね、あの、最近、治験いかがですかっていうのが目に飛び込んでくるんですが、ああ、最近になって、だんだんね、治験っていうのを募るようになってきたんだなっていうふうに思いますけどね。私自身もね、あの、そういうふうに誘われなければ知らなかったんですが、やってみれば、こんなに、あのー、期間長く、そして、きちんとね、事細かにやっていくものなんだっていう、そういうものが、あの、得られましたね、ええ。

臨床試験・治験の語り

治験に誘われたときは「モルモットになる」ことだと思ったが、それで薬ができたら自分だけでなく他の人にとってもいいことなので、ちょっとやってみることにした(音声のみ)

―― じゃ、特に、その臨床試験や治験っていう、何かイメージとか、どんなもんかなとかいうのっていうのは、あまりもう知らないまま。

そう、そう、全然分からない。

―― で、電話がかかってきて、「(治験を)やってみませんか」って言われたのは、いつも通っている病院で?

そう、そう、そう、そう、うん、◯◯先生から、聞いたから、○○(ご本人の名前)さんしてみませんか?という。まあ、どうかなと思ったけどね、まあ、いいわいいわと思って。

―― なかなか、最初に、臨床試験や治験のことを知らなかったら、ま、いいかっていうような、気になるのって(難しくないですか?)。

初めはね、モルモットになるんかと思った(笑)。

―― それでもいいかと思ったんですか?

思ったんよ。まあ、ね、ほら、自分が、それでできたら、ほかの人にもいいかもわからんよね、自分だけじゃないで。それでもうちょっとしてみろうかと思って。

臨床試験・治験の語り

治験というと実験材料にされるのだろうと色眼鏡で見る人も結構いるが、自分は全然そんなことは思わなかった。世の中の役に立てるなら生まれ変わってもやりたい

―― ご家族の方とか、ご存じだったですか、治験のこととかは。

細かくは分かんないけど、「治験」?何か悪くなるようなことを考えている人も結構いますよね。「治験やっている」って言ったら、僕の周りにいる人たちは、「へえー」つって感心してくれたですけど、何か、あんまり親しくない人たちは、治験っていうと、何かこう、実験材料にされるようなね、そういう色眼鏡で見ている方も結構いますけどね。

―― ご自身は、特にそんなことは思わなかった。

僕は、もう、全然思いませんでした。僕は、もう、世の中のためになるっていうことが、この晩年になってから特に意識するようになったんで、むしろありがたいなと。で、今後も、それこそよく言うんですけどね、「僕みたいなC型肝炎ウィルスの、僕の場合、臓器移植も何もできないね」って言ったら、「うん、できないね」って言われたんですけど、それが残念なくらいでね。普通、治験っていうと、何か、ちょっと、こう、薬でもってモルモットにされるんじゃないかとか、そういう感覚持つ人もいると思うんですけどね。だけど、決して…その治験薬を飲むにあたって、副作用とかそういうものもよく調べてくださるし、もし、治験薬を飲んで、病状的に苦しくなったらいつでも止められるし。それから、周りの人で治験でもって悪くなったっていう人、僕は、治験の薬もらうときも並んでいる窓口でもそういう話は聞かないですしね、うん。きょう、何か、新聞で見たら、糖尿病(の薬)が副作用が出たとかって、あれなんか、もう認可されている薬ですからね。だから、薬っていうのは、やっぱし、両刃の剣で、副作用が当然あるのは当然ですしね。ただ、やっぱし、……エボラ出血熱で、ある、全然違う会社が、エボラ出血熱に効く薬を偶然見つかったということもありますしね。だから、やっぱし、トライして人類というのは、少しずつでも進歩しているんだから、それに役に立てれば治験っていう制度は、僕は、もう、また生まれ変わってもやりたいですね。

臨床試験・治験の語り

勝手な思い込みだが、マウスとかモルモットではないけれど、表に出る前の段階の治療じゃないかなと思っていた

―― ご自身は、その治験っていう言葉とか、その仕組みとかって以前からご存知だったんですか。今回これ(治験に)入られる前から。

詳しくは知らないです。ただ、まあ、そういう、まあ、簡単に言ったら治験って、何か言葉をひっつけたみたいな、治療研究なのか分かんないですけど、あくまでも、その、まだ認められない、認められないという言葉がおかしいのかな、その、おおやけにする前の段階の、マウスのモルモットじゃないですけども、そういった表に出る前の段階の治療じゃないかなっていうのは、何となくニュアンス、勝手な思い込みですけどね。そういうふうな感じでは思っていました。