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クローン病の語り

ヒュミラの効きが悪くなったので、ステラーラとエンタイビオを試したが効果が出るまで待てずに、今はまたヒュミラと免疫調整剤のアザニンとステロイドというフルバージョンでやっている

ステラーラもエンタイビオも、どっちもそうだったんですけど、切り替えて2カ月くらいたつと効果が出てくる前に体が限界を迎えてしまったっていうのが、私の主治医と私と、同じ見解で。すごく体重が減ってとか、下血したり腹痛が起こったりっていう状態になったので、ちょっともう、効果が出てくるのを待つのをやめて、ヒュミラに戻そうかっていうような感じで。2剤ともなりました。
で、今は、直近ではエンタイビオを試して、ステロイド、うーんと、効果がうまく出てくれなかったので、効果が出てくる前に、ちょっと私の体が限界を迎えてしまったので、ステロイドとGCAP(血球除去療法)で治療をして。で、ヒュミラ、治療しながらヒュミラを再導入して。今、GCAPは終わったんですけど、ステロイドがまだ、少ない量で持続して、様子見をしている状態です。

――ステロイドは何ミリぐらい使ってるんですか。

今は徐々に減ってきて、6mg使っています。で、主治医との話では、大体5mgぐらいでしばらく維持するような感じで、様子を見ていこうかなっていう感じで、方針は話してます。

――まああの、よく聞く話では、この生物学的製剤なんかが、効きが悪くなってきたとき、免疫調整剤を使うっていう話をよく聞くんですけれども。そういうことは、先生とのお話はなかったんですか。

えっと、免疫抑制剤っていうと、アザニンとかはそれに当たるかと思うんですけど、今、アザニンを何mgか、すいません、忘れたんですけど、1錠飲んでいて。過去に1.5錠まで増やしたことはあったんですけど、あまり効果が変わらなかったのと。あと、この後、妊娠とか出産とか、そういうところを考えてたので、できるだけ量は増やさないで維持できたらなという希望があって。
あと、前に一瞬だけアザニンをやめた時期があって。その後、結局、体調悪くて戻したんですけど、戻したときに脱毛の副作用が起こってしまったので、多分、これ以上増やすと外見的にちょっと厳しいものがあるなっていうところで、前の主治医と、今のその量がちょうどいい限界の量かなっていうことで、話して。そこから変わってないです。

――なるほど。アザニンもやり、ステロイドも5ミリ6ミリやり。

そうです、はい。

――そして、ヒュミラもやってると。
あ、すごいですね。フルバージョンですね。

フルバージョンです(笑)。(2020年12月追加インタビュー)

(注)ヒュミラにアザニンを合わせ、さらにステロイドを少量で継続使用する治療は、主治医がこの方にあった治療法として選択したものであり、クローン病患者のだれにも行える確立された標準的な治療法ではありません。ステロイドは少量であっても長期の継続は避けるべきとの意見もあります。

クローン病の語り

2019年の秋頃から現在までエンタイビオを使っている。今は8週間に1度の間隔で使っている(音声のみ)

――新しい薬としてエンタイビオという薬を使われたということなんですけれども。これはあのーどういう形態の。点滴か何かなんですか。

エンタイビオは、うんと、そうですね、まあ流れとしては、先生の診察を受けてお熱を計って体調ばっちりってなったら看護師さんに点滴を入れてもらい、1時間で終わるという。で1時間後に、あのー、体調の変化がないか30分休憩をして、で、30分たっても大丈夫って言って、それで熱も計って血圧も計って、主治医のオッケーが出たらおうちに帰るということで。まあレミケードなどに比べて点滴の時間が短いので、非常にまあお手軽な、あの、点滴治療だと思います。エンタイビオ。

――なるほど。それはえっと、どれぐらいの間隔でやるんですか。

うんと、初めはあの、間隔が短いんですけども、最終的には8週間に1遍ですね。

――なるほど。それを結局2019年の秋ごろからいつ頃まで続けられたんでしたっけ。

今もやってます。

――はいはい。それで、結構効果があるということで、まあ今でも続けておられると。
ただ点滴ということは8週間に1回は病院に行かないといけないわけですね。

そうです。(2020年8月追加インタビュー)

クローン病の語り

高校生のころヒュミラを勧められたが自己注射がいやでレミケードにしたことがあったが、最近は注射器の形も性能もよくなったみたいで今は抵抗がない

――自分で自己注射するっていうのは特に問題ありませんでしたか。

それもまあ、ちょっと昔話も入ってくるんですけど、やっぱ、幼いと言ってもまあ、高校生ぐらいのときにレミケードを始めた、始めるときに、「ヒュミラっていうお薬もあるよ」っていうのはその当時の先生からも言われてて、で、そのときにやっぱ調べたんですけど、まあ自己注射で、当時の自己注射っていうかヒュミラは、何かもう、ほんとに注射器の形をしてて、やっぱ、その、子ども、まあ、高校生ってまだ子どもですし、何か恐怖心がすごい強くて、「嫌です」って言ってレミケードにしたんですよね。で、それから、結局レミケードにして、結構体に合ってたと思うし、効いてたんで、レミケードで良かったなって思ってたんですけど、まあ、最近のそのヒュミラってすごい変わってて、昔とは全然違って、あの、注射器型じゃなくて、もうほんとペン、ペンみたいな、めちゃくちゃ大きなペン、ペン型みたいになってて、で、そのペンのボタンをぽちっと押す、お腹に当ててぽちっと押せば、もうそれだけで、薬が入るよっていうような形になってるので、とてもやりやすいなと思って、もう、あんまり抵抗はなかったです、最近やろうと思ったときは。(2020年8月追加インタビュー)

クローン病の語り

レミケードも6週くらいで効きが悪くなるので、最後の2週くらいはゼンタコートをかぶせて使っている。ただ、レミケードも長く使っているのでそろそろ次の薬も検討している

――そのゼンタコートを始めたっていうのは、そのレミケードが効きが悪くなったとかそういうことで始められたんでしょうか。

そうですね。まあ、レミケード自体が8週間に1回行う治療ですので、やっぱり6週間ぐらい過ぎたところで、だんだんだんだん、ちょっと効きが悪くなってきて具合が悪くなるというところがございましたので、そのときに主治医の先生が「だったら、最後の2週間ぐらいは、新しく出た、このゼンタコートをかぶせて飲んでみたらどうだろうか」というお話をなさったので、「じゃ、使ってみましょう」ということで使ってみたところ、非常によく効きまして、はい。(注1)
 この今までのステロイド薬っていうのは全身に行ってしまうので、いろんな副作用が出てきちゃって、あの、なかなか軽々しくは飲めなかったんですが、このゼンタコートは、もうほとんど腸だけにしか効かないように作られているので、非常にありがたい、ステロイド薬ですね、はい。

――そうは言っても、一応まあステロイドなので、ずっと長期にわたって使うのはまずいんじゃないかっていうお話もあるんですけども、その辺はいかがですか。

そうですね。まだ、新しく出たばかりの薬なんで、長期投与した、あのー、やっぱりこう、調査がないので、(注2)先までの予測ができないから、だからもう、連続してずーっと飲むっていうのはちょっとやめといたほうがいいよねということで、まあ、私の主治医の先生の場合はレミケードが切れる最後の2週間だけっていう感じで、飲んでねっていう感じで使っている感じですね、はい。

――それは、どれくらい前から使っておられるんですか。

そうですね、もう、かれこれ1年前ぐらいから使ってますかね、はい。

――じゃあ、まあ、当分その今の治療をこれからもしばらくは続けていかれるということですか。

そうですね。ただ、まあ、レミケードも、そろそろ、長く使っているので、うーん、「だんだん抗体とかもできてきちゃうだろうから、まあ、ヒュミラとか、そういった別のものに変えていく必要はそろそろ考えたほうがいいのかもね」というお話は、えー、なさってますね、先生も、はい。

――なるほど、そうすると、まあ、変えるとすると、次はヒュミラですか。

そうですね。あまり選択肢ないですからね、はい。

――でも、最近、何かまた新しいね、生物学的製剤も出てきたみたいですけども。その辺の選択肢っていうのは、まだ考えられておられないんですかね。

そうですね。やっぱり、どうしても、長く患う病気なので、なるべく信頼性が高いお薬から使っていきたいというのがやっぱり、まあ、主治医の先生のスタンスでもありますし、僕のスタンスでもあるので。やはり、新しいお薬になるべく、こう、飛び付かないようにはして、なるべく、使用経験の長いものから順繰りに使っていきたいかなっていうところはありますね、はい。(2020年9月追加インタビュー)

(注1)レミケードにゼンタコートを合わせて使用する治療は、主治医がこの方にあった治療法として選択されており、クローン病患者のだれにも行える確立された標準的な治療法ではないことに留意が必要です。
(注2)ゼンタコートは長期使用の臨床データはまだないという意味です。

クローン病の語り

実際にストーマを造ることになった時は相当悩んだが、人工肛門を造設している人が多いことを知って、自分だけではないと感じ、心の負担が軽くなった

人工肛門の造設っていう事態になったことは、1年前には、やはりあんまり考えていなかったんですね。その、知識としては知ってたんですが、やはり、こう、その事態に直面すると非常に悩むし、まあ、苦しむといいますか、あの、やっぱり嫌だなと思うことも多々あるんですが。これは何も私が初めてではないので、クローン病でがんになってしまった方も何人もいらっしゃいますし、人工肛門の方っていうのは。まあ、実数は分かりませんが、何かクローン病や潰瘍性大腸炎ではなくて、何か障害者手帳の数でいうと20万人ぐらいの方が日本で人工肛門を造設されてるらしいので。ま、自分が初めて、自分にとっては初めてで非常に重いことになってしまっても、ま、自分だけではない…のかなって考えると、ちょっとはその、心の…あのー、…負担が軽くなるといいますか。
また、先人は、ほんとにいろんなことを、こう、経験してきて。先ほど言ったように、人工肛門のケアっていうのは、まだ非常に私も悩んでる状態ですけれども、いろんな方がいろんな工夫をして、自分に合うようにストーマと付き合っていく方法を見つけてきています。
実際に人工肛門であっても非常にこう、アクティブに活動してらっしゃる方、人工肛門付けたクローン病の方で、ボディビルやってる方もいますし、スポーツで、非常にこう、楽しんでいらっしゃる方も実際に見たりしてますので。非常に悩むし、嫌だなと思うんでしょうけど、ま、自分だけではないし、それで人生を楽しむことができなくなるわけではないのかなと、今、思っています。(2020年8月追加インタビュー)

クローン病の語り

がんの疑いが強いという段階で手術することには抵抗があった。特に直腸を摘出する場合ストーマになるという事が大きかった。がんのリスクとストーマ造設で心が揺れていた

――一番悩んだのは、がんが、(がん)であるかがはっきりしないっていうことと、人工肛門っていうことですかね。

そうですね。人工肛門になることっていうことに対して、やはりそのちゅうちょというのか。まあ、はっきりと言葉にすれば、このまま手術をしなければ人工肛門を付けることはないと。
まあ、イメージとしては、実際になってみてもそうなんですけども、やはり、独特の煩わしさといいますか、というのは今のところありますし、やはり、常に異物を、こう、おなかに抱えているようなものだっていうことは聞いていたので。
また、その日常生活でいろいろな、例えばですけど、温泉とか海に行くときに、まあ、いろいろ悩む人がいるとか。あるいは、人によってはやっぱりそのー、人工肛門、ストーマを造設したことで、いろいろな皮膚障害であるとか、いろんな、より困難な症状を起こす人もいるというふうに聞いていたので。
このまま先生の勧めを断って様子を見て、もっと様子を見ていこうかということと、まあ、今決断をして、…人工肛門を造設して、直腸を取ってがんの疑いを払拭(ふっしょく)できればなという、その2つの考えの間でやっぱりちょっと迷っていたところがあると思います。(2020年8月追加インタビュー)

クローン病の語り

カプセル内視鏡を飲んだら後は6-8時間くらいで小腸から出るので、その間は病院内を歩き回ってなるべく腸を動かすようにする(音声のみ)

――それで、(カプセル内視鏡を)飲んだ後はどういう状態になるんですか。普通に生活していいわけですか。

えっと、大体ですね、朝、病院に行って、9時ぐらいにのみ込んで、小腸さえ通り過ぎてしまえばですね特段検査終わって差し支えないので、大体わたしの場合は9時から始めて6時間、7時間、あるいは8時間とか、それぐらいたったら小腸から出るので、その間は病院にいて、こう、歩き回ったりして、腸を動かして、カプセルをこう、なるべく大腸のほうに送ってやると。ま、その時間はちょっと拘束時間ではあるんですけれども、特にその間に何かこう、下剤を飲まなきゃならないとか、何かこう苦痛を伴うような行動をしなきゃならないとかっていうことはなくて、むしろ結構時間的には長くかかるので暇だなっていうのが多いですね。

――その、データっていうのは、結局カプセルは回収するんですか。

えっと、カプセルはですね基本的には使い捨てになりまして、カプセル内視鏡からですね、無線でデータを端末に飛ばすんですけども、それが大体そうですね、大きさ的には、スマホよりは全然大きい分厚い感じの形なんですけど、それは肩からこう、下げて腰の辺りにセットしておくんですけど、それで常にこう、今現在どこに、どういう映像がカメラに映し出されているかっていう画面も見ることができるし、そうしながらカプセルから適宜送られるデータを端末の、腰から下げてる端末のほうに記録していくと、そういう仕組みなので、特にカメラ本体にデータが記録されてるってわけではないです。(2020年8月追加インタビュー)

クローン病の語り

カプセル内視鏡をやるときは事前にテスト用のパテンシ―カプセル(Patency Capsule: 開通性を確認するためのカプセル)を飲んでちゃんと腸管を通過するかどうかを確認する(音声のみ)

――今カプセル内視鏡でチェックされたということなんですけども、何か事前に偽薬じゃないですけども、テストのカプセルをのんだりされたんですか。

はい。事前にパテンシーカプセルって呼ばれる、中にバリウムが詰まってるような本番のカプセルとおんなじような形のものを飲んで、1日半後ぐらいにそれがちゃんと通過して出てくるか。ま、出てこなければレントゲンなどを撮って、ま、ちゃんと通過してるかと、そういうことをまず評価をすると。…そんな形です。

――…はい。それで、それがうまくいったので、本番をやったということなわけですね。

そうです。はい。

――で、その、実際にカプセルって結構大きなものだけど、のみ込むのに苦労したりとか、そういうことはないんですか。

あ、そうですね。多分普通に飲もうとすると、かなり、えっと、こんなに大きいの飲めるのかなって思うぐらいの大きさではあると思います。多分、小指、小指の第2関節ぐらい。私の手だとあまり大きくないんですけど、小指の第2関節、第1関節の半分ぐらいの辺りまでの大きさがあるかなというような大きさですけども、普段も結構薬まとめてガバッと飲むので大丈夫かなと思ってのんだら、私はそんなに苦労しないでのむんですけど、結構他の方に、よく、こう、SNSとかで何か飲むのしんどそうみたいな話を聞くことがあるんですけど、ま、結構飲むのには抵抗感のある方もいらっしゃるような話は聞いたことある。(2020年8月追加インタビュー)

クローン病の語り

転移の可能性は残っているが、結果的に手術をしてがんのリスクを低減できたのはよかった

このまま先生の勧めを断って、様子を見て、もっと様子を見ていこうかということと、まあ、今決断をして、えー、…人工肛門を造設して、直腸を取って、がんの疑いを払拭(ふっしょく)できればなという、その2つの考えの間でやっぱりちょっと迷っていたところがあると思います。

――…結果としては良かったっていう感じですよね。

そうですね。先ほども言ったように主治医は術後、その病理の結果を見て、1年後だったらもうちょっと手の施しようがなくなっていたのではないかと、その可能性が高いっていうふうに言われたので、まあ、決断してよかったというのが一つと。
 もう一つは、ちょっと(がんの組織を)全部取り切れずに、転移の可能性が残ってしまったということがあるんですが。総合的に判断して、あのときに手術を受けてよかったなと、今は思っています。(2020年9月追加インタビュー)

(注)直腸に長期間クローン病の病変を抱えた方すべてが手術対象になるわけではなく、いろいろな情報からがんと診断がつくか、かなり疑われる場合に手術が選択されることになります。

クローン病の語り

がんの確定診断が出たわけではなかったので、相当悩んだが最終的には手術をすることを決断した

――先ほどおっしゃってたように、クローン病の方はがんになりやすいっておっしゃってたんですが、ま、そういう情報を持っていて、自分が実際がんに、(がん)だってことが分かった時に、どんなお気持ちでいらっしゃったのかって、ちょっと教えていただければと思います。

はい。まず最初に、がんを宣告されたわけではありません。先ほどもお話ししましたが、非常にがんの疑いが強いというふうに言われました。
で、同時にその直腸を切除して、人工肛門、ストーマを造設したほうがいいという提案を受けてやはり、ちょっとその場で即答はできずに、考えさせてくださいと言ったのは、やはりちょっとがんかどうか分からないという時点で、人工肛門にしなければいけないのかっていう。また、人工肛門っていうものも、いろいろお話には聞いてたり、文献では読んでたりっていうことはあるんですが、やはり、自分の身にこう、受け入れるっていうことが、ま、すぐにはできなかったということはあります。
で、えー、時間にして2週間程度、10日から2週間程度悩んだといいますか、どうやって受け入れていったらいいんだろうというふうに考えて。あのー、これも文献で知ってるだけですけれども、クローン病のがんっていうのは非常に一般のがんと比べると、非常にこう、難しい、難治なものが多いというふうに聞いていて。知り合いのクローン病の方でも何人かがんで亡くなられた方を知っていたので、やはり、様子を見るとかではなくて、ここはまあ決断したほうがいいのかなということで、考えた末に先生に、まあ、…お願いしますというふうに伝えて・・(2020年9月追加インタビュー)