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クローン病の語り

高齢化社会の中でこれからますます医療費が増えることは確実で、その中で難病の医療費助成制度も対象疾患を増やしていくためには軽症者がはずれるのはやむを得ないこと

―― あのいわゆる難病法っていうのが制定されましたけれども、その中で医療費の助成制度とか今ありますけども、そういうその制度的な面に関して何かご意見とかありますか。

うーん、やっぱり少子高齢化社会、子どもが減って高齢者は2042年が最大ピークを迎えます。で、2025年にその手前でね800万人いる団塊の世代が75歳に達するんです。もうこの人たちを面倒見るために今の年金制度と介護保険制度、医療制度をね持たせなきゃいけないっていうのが国の使命であってですね。

高齢者って慢性疾患や色んな疾患がどんどんこう必然で増えていくので、医療費は当然上がるわけですね。で、えー、平均年齢(寿命)もどんどん延長して行っている。もう90歳代に達していますから。ということはね、もっともっと介護保険料もいるとなった時に、じゃあ難病法ができました。もう今までは50数疾患だけのね、難病対策のものであったものがね、今では330って、今度新しくまた追加になる。社会福祉法、あごめんなさい、障害者総合支援法上においては358疾患、あの福祉サービス受けられる。でもそれは税金を使ってサービスを受けているので、この人たちにも全部今まで通りというわけにはいかない。やはり、どこかに絞って行かないといけない。で、国の施策としてはね、寛解期を維持させたり、もしくは完治させるための新薬に莫大なお金を投資し始めたんですね。そして、中度、重度の人を中心に医療費の助成をあてがう。だから、すそ野は横に広いんです、軽症者の人って、完治はしてないけど軽症者の人たくさんいる。でもその人たちはねまだまだ働ける能力があったり、要は痛みや疲れ方もそこまではない、ないだろうというねことでね、ま、悪い言い方すれば足切りなっちゃったんですけど、これはもう今の医療制度等を維持していくために必要な措置であったということはね、やっぱり理解していかないと、ただ、増やしてくれ、えー、保護費用、生活保護をだれにでも平等に与えてくれっていうだけであるとですね、なかなかやっぱりにっちもさっちもいかなくなる。今のものでさえ、今改正されて今現状新しくスタートした。これでさえ持たない仕組みになってきたら、最重度の人しか治療を受けない時代になってしまうと。ま。ここはですねなんか、えー、留めおきたい。中度の人が重度に行かないように。っていうことはですね私たちの世代で頑張んなきゃいけないなあ、と思ってるところなんですね。

クローン病の語り

指定難病としての医療費助成制度があるのでとても助かっている。ヒュミラという薬はとても高額なのでこの助成制度がなければとても使えないくらいのもの

―― まあ、難病のいろいろ医療費の助成制度とかありますけれども、その辺は利用されているわけですね。

はい。そうです。

―― どういった感じの制度を?

えーと、私はクローン病の患者なので、指定難病という制度に該当しています。と、これは国から、まあ、その診断とかですね、まあ、認められれば、医療費を助成を受けられるというもので、私の場合は、まあ、診断時からずっとそれを受けている状態です。
 で、まあ、特にですね、3年前から、そのヒュミラっていうお薬を始めて、まあ、それが2週間に1回の注射なんですけれども、かなり高額なものですので、えー、その助成がないと、まあ…、かなり、もう、1、1カ月の支払額が、まあ、高額になってしまうというとこで、まあ、その助成制度には大変助けられています。

―― そうすると、その具体的な今現在のその自己負担っていうのは、それほど大きくないということですか?

そうですね。まあ、自己負担額はその、それぞれの収入の程度によって変わってくるんですけれども、私の場合は1カ月の自己負担は、と、医療機関と薬局を合わせて2万円ということになっていますので、それ以上の出費は逆に言うとクローン病に関しては、まあ、ないということで非常に助かっています。

クローン病の語り

以前は難病の医療費は全額公的負担だったけれど、今は自己負担が増えてきた。経済的に苦しい家庭にとっては負担が大きいので、少しでも負担軽減されるようにしてほしい

―― あと、その、公的な支援っていうんですかね、あの、医療費の助成制度とかそういうことに関しては何かお考えありますか。

うーん、まあ、いろいろと考えるところはあったんですが最近考えなくなっちゃいましたね、考えるだけ、なんかあの、無駄なような気がして(笑)。あの、結局、特定疾患の、まああの、公費負担の部分ってそれこそ昔は全額、自己負担の分は全額公費負担だったのがどんどん増えてって、今なんかだとやっぱ軽快者になると全く、あの、医療費の助成なかったりする場合も出てくるわけですけれども。
やっぱりあの、経済的に許されるんだったら誰でも病院かかるんですよね。それが、あの、やっぱり病気重ければ、あの、重ければっていうか軽くても継続的に、あの、就労のできないような人が、やっぱりあの、自己負担増えたりしたときに病院かからなくなるんじゃないかっていう心配は、やっぱりありますよね。
結局、仕事してなければ、ね、あの、若い人だったらなおさらなんですけれども親に養ってもらってるわけじゃないですか。で、医療費だってやっぱり毎月、薬飲まなくていいような病状だったら、ま、それはそれでいいですけれども、薬飲まないといけなかったり、検査しないといけなかったらやっぱり何万かは使うんですよね。食いぶちだけ多くて、出費多くて、ね、あの、食わせていけるくらいこう、経済的に余裕のある家庭だったらいいんですけれども、そうじゃなかったらやっぱ大変だと思いますよ。だから、あの、せめて、ね、あの、1割でも少しでもいいから、あの、医療費の軽減措置、あの、何かしらあってくれるといいなとか。
あとは制度変わるたんびに、あの、収入割でどうのこうのって、あの、自己負担額変わるんですけれども。控除額が変わってくると、あの、別な話で、あの、所得税の計算の仕方で、あの、控除額結構、毎年のように変わるんですけれども、あれが変わると課税、課税額が変わるのでそれによって自己負担額がこう上がったり下がったりするんですよね。うちなんかも、それで結構上がったり下がったりしてるのでその辺、ちゃんと丸めて考えてほしいですよね。

クローン病の語り

もともと裕福な家庭ではなかったし、がつがつ稼ぐような仕事は体力的にできないので、今は生活できているが将来の不安はある(音声のみ)

―― 経済的にはやはり、この病気をしてることによって負担というのはかなり大きいですか。

うーん、そうですね。生きていけないというような状況には勿論ないんですけれども、今は幸い安定した職についていまして、多いお給料ではないまでも何とかはやっていけるので、ものすごく負担ということはないですけれども、じわじわとやっぱり自己負担が増えてきている現状なので、収入に応じての負担というふうに変わって来ています。ですので、こう、自分としては結構無理をして働いているんですが、それでまあどんどん負担が上がっていくのは何か悲しいなと、仕方ないんですけどね、仕方ないんですけども、うーん、そういうところは苦しいなということもありますし、
あとはまあ、病気のことだけではなくて、そんなに家も家庭がもともと裕福ではなかったので、わりと苦学生のような形だったので、まあ、親に援助もしなければならないとか、ま、今後親も一人で暮らしてますし、親の老後のことも今は考えなきゃなって思う中で、でも、自分の病気もありますから、自分のことも考え、親のことも考え、仕事のことも考えっていうのは、やっぱり一人だとちょっと背負いきれないかなっていう、そういう不安感もありますし。 あとは、ね、…もうちょっとこう、仕事を増やしてお金を貯めようとかっていうのも体力的なことを考えるとちょっと、やっぱり遠慮してしまうので、なかなかこうガツガツと稼ぐようなそういう仕事に転職するとかも難しいので、そういう面でお金の不安というのは常にあります。自分がこれくらいの体調でいられればいいですけど、どんな合併症が出てくるかもわかりませんし、とりあえずがん保険をかけたりとかはしてみるものの、それがいいのか悪いのかはよくわからないです。

クローン病の語り

クローン病でも入れる生命保険はあるが、保険料が高いし条件も厳しい

―― この領域である方は、がんなんかだとほんとに、その、保険適用じゃないいろんな、治療法があって。そうですね。で、お金を高く積めば、まあ、それだって挑戦される方いらっしゃるんですけど。そういったものってあんまりクローンではないんですか。

ないですね。その、自費でなんとかカバーできるような治療法っていうのも特に、うーん、私は聞いてないですしね。まあ、取りあえずクローンだとほんとに病気であってもなかなか生命保険に入れないっていうデメリットがあるので、いつ入院するか分からないので。まあ、その、入れたとしても、入れるには、あの、今はあるんですけど保険料がとても高いので、まあ、うちも一応、何かあったときのために入ってはいるんですけど。なかなか枠が厳しいっていうか、5年間入院しない、してない事実がなきゃいけないとか、先生から入院しろっていわれてないっていうのがあったりとか、条件が厳し過ぎるとは思うんですけど。でも、今の世の中、正直、病人の人のほうが多いだろうなとは思うんですけど。

クローン病の語り

医療費や病院へ行く交通費などの負担はある。また病気でなかったら仕事でももっとできたかもしれないという思いもあるが、致命的な経済的マイナスというのは感じたことはない

―― あのー、経済的な観点からいって、この病気が、その、ご自身の、その、経済的に何かかなり不利になったとか、影響があったとかっていうことはありますか。

はい、うーん、ま、年間を通じて、あの、治療費というのは、あの、ま、一定額出てくわけですし、ま、それに対して、えー、通院の交通費ですとか、ま、これは、あの、最低限かかる費用で致し方がないと思います。で、仕事としても、もし病気でなかったらって考えると、あの、ま、どこまでできたんだろうというのはあるんですけれども、ま、病気でなくても今と変わってないかもしれませんし、あの、これはちょっと一概にはいえません。ただ、致命的な、その、経済的な、あの、マイナスっていうですかね、これは特に今まで感じたことはありません。

クローン病の語り

結婚する時、相手の両親は反対していたけれど、実際の私を見て日にちを重ねると、自分の親のようにとても仲良くなって、結婚したのが私でよかったと言ってもらった

―― ご結婚された時なんですけれども、その相手の方にはご自分の病気のことはどういう風に説明されました?

えーと、…自分自身があの、楽しいことが好きで、とてもその仕事もするんですけど遊びにも一生懸命になるタイプで、今の主人とも居酒屋さんで出会ったんですけども、あのー、その居酒屋さんで食事をする間の話の中で、自然とその病気の話が出て、えー、自然と私こんな、本当はこんなの食べれんのよ、とかですね、そういう感じでお話を徐々にしていったっていう形です。で、いざ結婚ってなった時には、親の方に、主人の方は大分もうあのなんとなくわかってくれてたんですけれど、その主人のご両親の方に説明する時にはやはりあのー、…最初からですね、どういう症状があって、もしかしたら子供はできないかもしれないということも伝えて、説明しました。で、私の前では、そういう反応、色んな反応はされなかったんですけど、主人から聞いた話では、やはり反対だっていうことで、苦労するのが分かっているのにどうして…そういう、どうして結婚するんだって言われた、っていうのは聞いたんですけど、まあ、それでも実際の私を見てもらうと、病気を見るとそうだったみたいなんですけど、実際の私を見て、あのー…まあ、日にちを重ねると、とてもあの、自分の親以上に仲良くなったというか、あのー、自分の親のようにとても仲良くなって、で、結婚したのが私でよかったという風に、最後言っていただいてとてもあの、理解してもらいました。

クローン病の語り

手術で結婚式を延期したことがきっかけで、相手の家族が病気のことを調べてノイローゼのようになり、婚約者も理解してくれず別れることになった

実はあの、最初私あの、婚約してた人がいたんですね。それであの、結婚式の日にちまで決まってたんですが、その手術やらなんやらで、あのー、ちょっと延期しようと。で、その間に向こうのまあ、ご家族が病気のこととか調べて、で、ま、ちょっとノイローゼみたいに、向こうの方がなってしまって、で、もうちょっとこれは結婚してもお互いに不幸になるだけだなと思って、まあ、お別れをしまして。
一つは相手の方のご家族が、まずお父さんが、もう相手がこう学生時代に急死されてて、で、お母さんもちょっと治らない病気をもってて、お姉さんも社会生活できない病気なんですね。なので、まあ、お嫁さんくらい健康な人がほしかったんだろうなというのがあります。で、何か、あの、自分が病気なのはしょうがないけれども、自分が病気であることでその、相手のご家族が病的な状態になってしまうって、それをそのまま私に伝えられてしまったというのがショックで、あ、つまりこれは私がいないほうがいいんだなっとしか思えなかったですね。…だから相手の方がもしそれをどうにか克服していこうという動きがあれば、また違ったんでしょうけど、ま、あの、これはその人に限らずですけど、やっぱ、さっきも言った、その排除すべき病理だって思っていたんですね、その人。だから治らない病気でも絶対治せっていう感じでしたし、

クローン病の語り

結婚を考えるお付き合いをしたこともあるが、相手が子供を望んだり、その親が病歴を調べたりすることがあって、話が進まなかった(音声のみ)

こう、まあ、いい年になって結婚を考えるようなお付き合いをすることも、まあ、それなりにありましたけれども、やはり、なんでかはわからないんですが、えーと、みなさんすごく子供を望まれる方ばかりだったんですね。それはたまたまだったのかもしれないんですが。私はもう会って、ま、例えば2回目とか3回目の段階で、まあ、私はそこまで深い話はしないまでも、こういう病気を持っているんで、なかなか子供はわからないですよ、っていうことはかなり最初の段階で申し上げるようにはしていたんですけれど。で、その時はみんな、「わかった。支える」って言うんですけれども、まあ、長く付き合っていくと「やっぱ子供どう?」みたいなことを言い始めて。うーん、それは最初に言いましたよねと。だから向こうの親とかも入ってくるとまた話が色々とややこしくなってきたりとかしまして、 あとはまあ、そうですね、本人は良くても、家族が私の病歴(本人注:病気のこと)を調べるなんてこともありましたから、無断で。で、そうなってくるとなんかちょっといやだなって(笑)。あとはまあ自分がその方たちの期待に恐らく添えないかもしれないっていうふうに思い始めると、なんか無理して結婚することもないかなっていう。(笑)それでやっぱり子供のことでちょっとということが2~3回はありました。

クローン病の語り

病気になってからは恋愛や結婚に積極的に行けなくなった。結婚後の生活や出産など、色々考えると不安が募って踏み切れない

―― この病気がそういう結婚とか出産とかっていうことに影響しておられるのかなっていうところ、ま、お話できる範囲で結構なんですけど。

(笑)。なかなか積極的にいけなくなりましたね(笑)。なんか、今はいいんですけれども、結局、結婚した後ってやっぱ、食事をこう作るっていうのがあって、なんか、ね、2つ、2パターン作るのか、それとも味気ない食事を出し続けていいんだろうかとか。あと、元気なときの姿じゃない姿を見せる勇気もあんまりなく、結婚とかに踏み切れないし、そういう出会いとかにも積極的にいけなくなっちゃいましたね(笑)、はい。ま、そんなこんなで独りですけど、はい。

―― あの、例えば出産とかに関してはやっぱり不安とかありますか。

ありますね。あと、きっと薬を飲み続けなきゃいけないので。あと、やっぱ年齢も上がってしまったので、反対に、うん、障害がない子どもが生まれる自信もないですし。あと、仕事をしながらその子を育てる体力もあるのか、なんか、いろいろ考えると、うん…、うん、踏み切れないですね、はい。うん。はい。