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クローン病の語り

以前はドクターや看護師さん交えて飲み会に行ったり、結構面白い患者会だったけれど、最近は情報だけほしいような会員が増えて、役員の成り手もいなくて存続が危ぶまれている

当時、やっぱり病気のことってあまり世に知られてなくて、えー、情報も少なかった時代なので、入院中こう同じような病気の人がたくさんこう集まる病院だったんですね。なので、その、ま、入院仲間同士でこう、いろいろ話ししてるうちに患者会あったほうがいいねっていう話と、えー、あとは関東のほうの某、某CDっていう会の、えー、Sさんが。あとは、あの、北海道のほうのHさんが絡んで患者会を立ち上げようみたいな話になったんですよね、確か。
なので、ま、今、地元の患者会、あの、発足当時からずっと関わってはいるんですけれども、その、結構当時、不良患者といわれるような連中がたくさん集まってですね。あの、入院中、みんな絶食なんですよ、そうすると、あの、食べらんなくて。で、当時まだ、あの、病院の中でもたばこ吸えたのでホールのところに喫煙所があってですね、そこに、あの、夜な夜なというか食事の時間になると食べられない人がこう集まってきて、いろいろと話ししてるうちにこう盛り上がってって、できたような患者会なので。
初めのうちはですね、結構面白い患者会でドクターとか看護師さん交えて飲み会に行ったり(笑)してたんですよね、あと、ドクター交えて焼き肉やったりバーベキューやったり。そんなことしてたんですけど、あの、世の中が変わって、あの、人との関わりが薄くなってきて、人がどんどん集まらなくなってきてからはもう役員だけで集まるような患者会になっちゃったんですよね。

―― それは何年ぐらいからやっておられるんですか。

患者会ですか、何年だろう。

―― もう長いことやっておられるんです?

長いっちゃあ長いですよね、15年はたってると思うんですけど、

ネットワークのメーリングリストを見ると2007年からあるから、多分20年絡まりだと。

―― その中で、じゃ、まあ、20年やってこられた中で、あの、ま、さっきちょっとお話ありましたけども、やっぱりその、患者会の活動っていうのはこう変わってきましたですか。

相当変わりましたね。初めは人との付き合いだったんですけれども、今、もう情報だけ欲しいような会員さんが多くなってますよね。あとは、あの、役員不足というか世代交代ができなくてですね、患者会そのものの存続が、あの、危ぶまれてるという。

クローン病の語り

病気についての情報がほとんどない中、病気が理由で就労していない人でも、自分の経験をもとに、困っている仲間にアドバイスすることで社会に貢献できると考え、2000年に患者会を立ち上げた

患者会を立てようと言ったのは西暦2000年なんですね。自分もそこそこ会社の中でも立場ができてきて、まあ、ちょっとした作業は部下がいたので任せられるし、こう自分の中でもスキルがそこそこできてきた。まあ、保健所とのお付き合いがあったり、えー、福祉課の人とのお付き合いがあったり、ま、なんだろ、横のネットワークがそれなりに持っていたので、だから当時その、入院仲間ですね、IBD患者たくさん入院してましたので、当時20~30人に声をかけたら、合計私を含めて20人の方が病歴10年以上の人たちですね、賛同してくれて。で、患者会を作ろうと。で、自分たちはね中には就労してない人もいたし、もう入退院繰り返ししすぎて、オペをしすぎてね障害者手帳持ってる人もいたし。でも自分はポンコツではない。あの、社会に貢献できる一人になりたい。今発症した人たちがね、困ってる時に助言、アドバイスができたらね、自分は本望だと。みんながね共感してくれたので。
それを目標に患者会を作ったっていうのがね、ま本当のところなんですね。だから、家族にも相談はしましたけど、みんな仲間がいたからやれたっていうところですね。はい。

―― えー、この17年、18年間くらいでこうなんか変わってきたみたいなことってありますが、患者会のありかたっていうか。

ずーと以前っていうのはその、えー、病気に対する情報がほとんどない。薬もないっていう中で最新治療って名がつけばね、大量の患者さんたちが勉強会に来てたんですよ。もう入りきれないくらい会場に。だからその、本当にこう、もう、ちょっとしたことにもすがりつきたいっていう、その欲望っていうんですかね、があったと思うんですね。
ただ、インターネットがこう台頭してきて、だれでもその重要な情報を手にできる。今では製薬会社も同じようなホームページをたくさん作ってて、いつでもチョイスできる。最新治療だって覗ける。かえって逆に言えば個人で作られたブログがね、あの極端な例も多くて、えー、患者さんたちが迷ってしまうところもある。なんかそういうのも何かこうなんだろ環境がねすごく変わったな。
で、その、…一番僕は驚いたのはやはり、薬のこう、…向上ですね。薬がこうどんどんどんどん開発されてきた。だって、オペするしかなかった、最終手段がオペするしかなかった人達が、オペしなくなった。オペしなくてよくなった。しかも入院しなくてよくなってきた。っていうのはですね、患者にとって一般就労でいいし、カミングアウトする必要もないし、なんだろ、日常気をつけてさえいればね、普通の人なんですよね。だからそれで、しかも、最新情報がネットで得られるんであれば、まあ患者会いらないのかなって思うくらいですね。

クローン病の語り

患者会に対して「傷をなめあうようで嫌だ」という人もいるが、そうではなくてむしろ刺激しあうような場所だと言いたい

―― そうすると、あの、しばらくは、その患者会の役員として活動をされていたわけですね。

A:そうです。

―― そうすると、まあ、新しく患者会に入ってこられる方とかいらっしゃると思うんですけれども、そういう方にはどういうような、その言葉を掛けておられました?

いや、もう本当に、あ、よくいらっしゃいましたねっていうので、僕もあの、1人でどうしようと思っていたんですけどって、こう患者会でいっぱい人を見ると結構いろんな職業や、いろいろなことをやっている人とかいて面白いですよってみんなに、あ、声を掛けていましたね。はい。

―― まあ、その、中には、その患者会っていう、まあ、ものに対して、こう拒否反応っていうかですね、えー、みたいな、あー、方もいらっしゃると思うんですけれども、そういうような方とお話しするようなことってありました?

ありましたね。はい。
実際にその、あの、足しげく、あの、ご両親がその患者会の集まりとかに顔を出してくださるんですけど、ご本人、肝心のご本人が全然来られないと。
で、よくよく話を聴いてみたら、やっぱり何かこう患者会とかに参加すると、うーん、何というか、本当に病気だっていうことを認めて、巻き込まれて一緒に何というか、もう何か嫌な言い方をしちゃいますけど傷をなめ合うみたいな、そんな世界に引きずり込まれちゃうんじゃないかって思っている人は少なからず何人かいました。うん。
だから、そんなんじゃないよと、うん、ね、むしろどちらかというと、あの、あの、お互いで、あの、刺激し合うような場所だよという感じで、そのご両親に話したりとかしたことはありましたね。はい。

クローン病の語り

最初の主治医が病気のことばかり気にするのは良くないと患者会を勧めなかったので、あまり関わらずに来たが、今後機会があれば若い人の役に立ちたいと思っている(音声のみ)

―― 今まで例えばその、講演会だとか、なんか患者会だとかそういったところでその、若く発症した方に対してなんかアドバイスをするような、お話をするようなことって、されたことはありますか。

あー、私自身があまり患者会であるとか患者の集まりに、嫌だというわけではないんですけど、まあ、最初の主治医の先生があまり勧めない形の先生で、病気のことだけになっちゃうのがよくない。私は若かったのでもっといろんな可能性を見たほうがいいと。そういう中に入って、勿論いいこともあるけれども、うーん…なんか病気のことばっかり気にするのもまた良くないだろうからっていうことで、そうなんだと思って、今まであまり関わらずに来て、20代、大学生の時に日本の患者さんじゃなくて、なんか動機がちょっとおかしいんですけれど、英語の勉強にもなるから海外の、えーと、アメリカの潰瘍性大腸炎、クローン病の方のウェブサイトみたいのが、まあ、ちょうどその頃出来始めた時期で、そこに何か書き込んだりして、あの、若い中高生のアメリカのクローン病の患者さんの悩みに回答してたりしたことはあります。あの短い時期でしたけれど。あとはそうですね、知り合い経由で、同じ大学に入りたいクローン病の高校生からお手紙をもらってそれに返事をしてたりとか、そういうことはありましたけれど、そんなに継続してやったとか、そんなに大層なことをやったわけではないですけども。なにかそういう機会があればお役にたちたい、若い人のお役に立ちたいという思いはすごいあります。

クローン病の語り

患者会に行くと、手術の話や仕事や恋愛などで挫折した話も聞き、病気による苦悩を目の当たりにすることもある。病気を受け入れる準備ができていないと辛いこともあるかもしれない(音声のみ)

えーと、ベテランさんの役員さんとか、患者会に行くと会えるので、そういう人からどういうふうな経緯をたどって現在に至るのかとか、あとはどういうお薬を使っていらっしゃるのかとか、えーと、将来に対する不安もあると思うので、そこも聞けますし、あの、そういう意味ではちょっと関わりを持ったほうがいいのかなと思います。
反面、自分がそうだったんですが、えーと、病気であることを自覚しなければいけないので、その受け入れ体制が整っていない状態で行くと苦しいときもあると思いますね。自分がその難病でないとか、あの、障害者も含めてその、ある意味受容されていない方は結構、突きつけられるものもあると思いますし。

やっぱり、あのストーマになるということの恐怖とか、手術を何回もしなければいけないとか、開腹オペで。あとは、その臓器を摘出しなければいけないということの喪失感とか、あの、は体験していく可能性があるので。開腹も嫌でしょうし、あの、その経緯をもしかしたら。
で、場合によっては、えーと、在宅のIVHをずっとされている方も、その、元気なのですけどね、本人たちはすこぶる元気なんですけれども、初期の患者さんにとっては、あの、あ、例えば10年後、20年後そうなる可能性。あの、いろいろレミケードやヒュミラも含めて怖いでしょうし、(そう)言っている方も多いですし。
あと、まあ、たまに精神的にうつになられる方とかもいらっしゃったりとか、うん、あの、そういうのもこう、あ、こうなんだとか。
あとは病気が苦痛で仕事を辞めなきゃいけなかったとか、あとは普通の学生生活を送れなかったとか、つらいのはやっぱり恋人に振られてしまうとか、あの離婚したとか、病気に罹患した後に。あと家族の反対があって結婚できなかったとか、相手、先方の。
そういうような話もやっぱり結局聴くことになると、病気になるということの苦悩は目の当たりにしなければいけない。まあ、自分が将来そうなっていく可能性が高いんですけれども…、そこをどう受容して、こう社会と生きて共存していけるかというか、まあ、生き、うん、生活していけるかというのは非常に、まあ、うーん、あるかな、そういうのは。うん。

クローン病の語り

通院していた病院に、同病で人生に絶望してずーっと泣いているような若い女性が入院していた。彼女に話かけて彼女が笑ってくれた時は自分もとてもうれしかった

―― そういうお話っていうのは新しく、丁度その同じくらいの年代の方にお話しされたりしますか。

あ、しますね。その、病院の患者会の活動をしてる中で、やっぱりあの、いきなり言われてもう、入院して病室でもうカーテン全部閉めてずーと泣いてるような方がいたんですね。で、もう誰も話しかけても一切返事をしない。で、私が診察で行ったときに「ちょっとお願いがあるんだけど」って、本来はそれこそ個人情報的なことで言ったら、いけないことだけれども、こういう子がいるんだけれどちょっと話してあげないかって、で、行って見たらまあ、とてもきれいな女性の方で、辛いよねって、で、もう私は絶対、それこそ結婚もできなければ仕事もできなくてこのままベッドの上で死んじゃうんだっていうような感じ、その気持ちすごくわかるし、でもね、アメリカの大統領でクローン病でなった人いるんだよ、え、なれるの、うん、日本人だからなれないけどね、って言ったら初めて笑って、で、その部屋を出て行く時に、その、あの、その子がカーテン開けてくれたんですよ。他のベッドにいた人が、私追っかけてきて廊下で、あの子が笑ったところ初めて見たって言って、なんか、あの、救われたのは彼女ではなく私ですね。うーん。あの時は私がすごくうれしかったです。

クローン病の語り

出産を控えている時に初めて患者会に行ったら、先輩ママさんたちがたくさんいて色んなアドバイスをもらい、とても吹っ切れて力になった。その後役員になって活動している

患者会に行ったきっかけは、あの、出産のことで、えー、出産の時期でした。お腹大きい状態で初めて患者会に行ったんですけれども、みなさん、出産された方とかお話も聞きたかったし、その後育児とかどうされているのかなっていうのがとても不安だったので、とても不安だったので患者会に行って聞いてみようかなと思って行ったんですけど、あのー、先輩ママさんたちが結構たくさん来られていてですね、で、自分はもうすぐ出産なんですけれどとても不安です、っていうふうに言ったらですね、その会が終わった後に私のところに皆さん集まって頂いて、で、「大丈夫よ!」っていう感じで励ましていただいて、「トイレとかが心配なんですけど」って言ったら「そんなん自分もおむつはめとけばいいんよ」って言われて。で、「子供も自分もおむつはめて、あの、自分はやってたよ」っていう話を聞いてですね、「わ、こんなことをそんなあからさまに、みんなの前でしゃべっていいんやろうか」っていうのが、とても自分はショックを受けて、あの、とても力になって、その頃からなんか、あの、人に病気のことを話すことって、そんなに自分が思っているほど、あのー、なんていうのかな…暗いことじゃないんだなっていうふうに、その人の話を聞いて思ってですね。なんでこんなに面白おかしく言うことができるんだろうっていうふうに思ったくらい、とてもあのー、…ま、不安は不安だったんですけれど、もう、そうでもしてやらなくちゃしょうがないよね、もう子供できたんだし、っていうことで、とても吹っ切れたというか、力になりました。実際、あのー、その時点滴もしてたので、背中に点滴をしょって前に子供を抱っこして、で、えー、子供のおむつと自分のおむつを持って、で、育児をしたって言う風に、育児をしました。

―― その後患者会との付き合いっていうのはあったんですか。

そうですね、その出産の後も、あのー、患者会に、その患者会に会があるごとに、行ったときにお手伝いを募集してますっていわれて、その時は仕事も辞めてたので、自分がお手伝いできればということで、えー、ま、役員っていってたんですけれど、その役員の募集があっ時に、私やりますっていうことでお世話をすることになりました。

クローン病の語り

始めは患者会というものに抵抗があったが、同じエレンタール(成分栄養剤)を飲みながら話ができたことで、自分が患者であることを認め、前向きな考えに変わった

まあ、初めはこう患者会に行くというのは何となく自分の中で最終手段というか、あまりいいイメージはなかったんですけれども。
でも、やっぱりなかなかこう外来通院をしているだけでは同じ病気の人に出会うこともなかったので、まあ、知り合ってみたいっていう気持ちもあって、確か大学3年生ですね、診断が付いてから2年ぐらいたった頃に初めて、えーと、まあ、私が住んでいた県の患者会っていうものに参加しました。
そこで初めて、あのクローン病と潰瘍性大腸炎の患者さんとしゃべったんですけれども、まあ、そのときによく覚えているのが、えーと、クローン病の患者さんがですね、えーと、一緒にこう席に着いたときに、まあ、エレンタール、こう、あ、取り出してきて「僕、いつもこれ飲んでいます」っていう話をしたんですね。
で、私はいつもそれまでは、エレンタールはもうかばんの中に入れておいて、えー、まあ、隠れて飲むような感じだったんですけども、その人と一緒にいるときは、まあ、私も取り出して、まあ、ペットボトルのこうケースカバーみたいなのをお互いに掛けているんですけども、まあ、それでこう、飲みというか私は、まあゼリーなので食べながら一緒に話ができたっていうことがですね。まあ、何話したかはあんまり覚えていないんですけども(笑)、そのエレンタールを一緒に出して飲んだっていう経験がすごく大きかったなと思います。

―― あの、今、患者会にその若干抵抗があったというお話なんですけども、具体的にはどういうところに抵抗があったんですか。

そうですね、まあ…、えーと、患者会っていうのがどういった団体かもあまり分かっていなかったです、ですけれども、えー、まあ、患者であるということを多分、自分自身こう認め切れていない部分があったのかなというふうに思っています。
なので、そこに行ってしまうと、まあ、本当に自分はこう、まあ、病院の中だけではなくて社会の中でも、まあ、難病患者っていう扱いをされるんだということがですね、なかなか自分の中で、えー、完全にこう受け入れられていない自分がいたんじゃないかなと思います…。

―― それで、まあ、実際に行ってみて、どんな感じだったんですか。

実際に行ってみると、まあ…、先ほども話したように、その、自分と同じ薬を、まあ日常的にこう飲んでいる人が、まあ、いるって。
で、話をしてみると、まあ、大体同じような経験をされててですね、トイレ行きたくても場所がなくて困ったとか、飲み会に行ったけど食べれるものがなくて困ったとか、まあ、自分自身が1人で抱えていた、こう悩みっていうのを、まあ、少しこう患者さんとして先輩だった方たちは皆さん経験してて、で、それはどうやったら解決できるとか、こうやってやり過ごすっていうことを、まあ、もうすごくスムーズに教えてくださったので、それを聞いて、あの、早くお知り合いになればよかったと(笑)、いうふうに思いました。
で、また、同時に多分そのときに自分の中で、まあ、自分は患者であるということを、まあ、完全にこう、腑(ふ)に落ちたというか理解したのかなと思います。
ただ、それはこう、後ろ向きな、認識ではなくて、まあ、患者だけどこうやって頑張っている人もいるから、まあ、自分も何とかなるんじゃないかっていう前向きな考え方に変わったのかなと思います。

クローン病の語り

検査の説明をするときなどは、より具体的に説明することができることもある。また仕事をしている患者さんで辞めようかと悩んでいたりする人には相談に乗ってあげることもできる

―― その自分が 病気だったことが、あ、まあ、病気であることがですね、その看護のお仕事に、まあ、いい影響というか、というのはありますか?

検査の説明をするときだとか、検査を終えて帰ってくる患者さんだとかに、自分もその検査をしたことがあったら、ここがつらいよねとか、あと、こういうことが起きるけどびっくりしないでくださいっていう、説明する段階ではすごく具体的にお話しできるので役に立っているかなって思いますし…。
あと、そうですね、下痢とか、皮膚とかの、そのケアの部分で(笑)、自分の体験していることなので、こういうふうにするとちょっと楽になりますよとか、そういう部分は自分の体験したものを生かせているかなって思いますね。
あとは…、うん…、その、お仕事されてる方が入院してきたときに会社との関係とか、辞めようかなとか(笑)、そういう悩まれている方もいて。
まあ、でも、そのときはまだ自分が働き続けていたので、あんまり相談に乗ったりはできなかったんですけれど、今はいろいろ転職とかしているので、これからもし看護師として働く中でそういう患者さんがいたら、ちょっと力になれたりするのかなとは思っています。

クローン病の語り

患者の立場になってみると、医療者側には権威というのがあって患者は医療者に言えないことがある、ということが分かった。人と人としてコミュニケーションを取ることが大事だと思う

―― あの、ご自身は患者さんの体験がある薬剤師さんていうことになるんですけど、なんか薬剤師さんに向けてのメッセージのほうが具体的でいいかもしれない。

……まああの、患者の立場になってやっと分かったのは、コミュニケーションって本当に難しいなっていうところですね。僕あの、昔何かの実習か何かで、患者さんが言っていたことで、あの、私は入院しているときはまな板の上のコイだったみたいな。もう自分はさばかれるまんまなんだよみたいなことを言っていたんですけど、まあ、薬学の知識がある自分が入院してもそういう状況だったなっていうふうに、まあ思いましたね、やっぱり。なんで、まあ、本当にあの、患者さん意外と言えないことが多いんだなっていうのはすごく分かったし、権威というのがやっぱり医療者側にはあるんだなというのがすごく実感できたので。
本当にあの、患者と医療者という目線じゃなくて、人と人として、その、コミュニケーションを取るっていうことを気を付けないと、本当の意味でその患者さんのケアっていうのはなかなか難しいんじゃないかなっていうふうに思うので、そこを気を付けてもらえたらいいんじゃないかなと思います。