そうですね、あの、その訪問診療をやっていて、まあ、各あの難病の方とか、えー、がんの方とか、そういった人たち、結構お若い方とかもいらっしゃるんですけど、そういった人たちが必ずおっしゃることが、「何で自分はこんなことになっちゃったんだろう」と、「何か悪かったのかな」と、で、「これから、もう私には何もできないのかな」って言ったときに、僕はそのときには必ず自分の話をするんです。
僕も実を言いますと、クローン病患者でしてって、何回も手術をしていますし、しょっちゅう体調も崩すし、まあ、はっきり言ってその半分医者のようで半分患者のような(笑)、そのような存在なんですよと。
でも、こうやって、あの、やれることをやって、それで人のためにも何かやれることがあったら尽くしたいと思って仕事をしていますと。まあ、あの…、それが何か人、その人のこう気持ちを助けることになればと思って、あえて僕はその話をしています。
まあ、言い方はなんですけれども、僕はこのクローン病っていう病気を、まあ、デメリットとも、ある程度は思っていますけども、医療をやる上では一つの武器なんじゃないかなと思って捉えています…。
で、まあ、現在…、そうですね…、在宅診療で、40~50人の患者さんを抱えてやっておりますけれども…、まあ、時々お亡くなりになったりとか、まあ、いろいろありますけれど…、良好な関係を築きながらやってこれたのも、この病気があったおかげかなって、はい。
だから、そう、あの、少しはこう、患者さまのほうに近い立場でこう、やっていけているんではないかなって今では思っています。
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―― その医療行為をこう、されていく中で、ご自身がこの病気、特に、まあ難病といわれる病気にかかっているということで何か影響っていうのはありますかね。
うーん、そうですね。まあ…、えーと、私の中で、まあ、普段からこう気を付けていることとして、まあ、医者側にこう自分の中の頭がですね、行きすぎないっていうことは常に意識しています。
学生時代の6年間を、まあ、主に患者という立場で、頻回に病院に行ったりとか、入院もしたりとかして過ごしてきたので、患者としてのこう立場というか気持ちというのを、まあ、忘れないようにしていきたいなっていうことは思っています。
実際の患者さんに、あの、どう、それが影響させているかは分からないんですけれども。ただ、まあ、自分がもしこの人の立場だったらどうなのかとかですね、そういうことは、あの、少し恐らく健康な医者よりはこう親近感を持って考えられる場面というのは多いんじゃないかなと思っています。
ただ、それができるためには、まあ、自分自身が、あの、ある程度状態がよくないとですね、そんな余裕もなくなるので、まあ、なおさら自分の状態は常によくしておかないといけないっていうことを心掛けてます。
―― 小学校6年生、最初小児科で診てもらっていたということなんですけれども、どっかで普通の一般の内科に変わられたと思うんですが、それはどのタイミングで変わられたんですか。
はい。えーと、私が変わったのは…、高校3年生のその入院をした、していた、先ほど、あの、その高校3年の入院のときに、いわゆるそのエレンタール、鼻からチューブを入れて、えー、経管栄養をする治療を始めたんですけど、その後ぐらいに、まあ、大体やっぱり18歳を迎えるのでっていうことで、まあ、そろそろ、あの、主治医のほうから、そろそろ、あの、内科のほうに行って。やっぱりその内科のほうがIBDに関して、あの、まあ、専門的にやっている分野でもあるので、やっぱりちょっと専門的な治療を受けられるよということで言われて移りました。
で、特段、私はその内科に移るっていうことに関して拒否反応というか(笑)、それはなくってスムーズに。で、その消化器内科に移った後の先生もすごいいい方で、あの、話をすごく聴いてくださる方だったので特段、私は戸惑いはなく、はい、行きましたね。
―― あの、ご両親なんかも、べつに反対はなかった?
そうですね。より、やっぱり専門的な治療を受けれるならいいんじゃないかっていうことで。はい。
―― で、あの、それは、じゃあ同じ病院の中の小児科から内科に移られたんですか。
そうですね。はい。そうです。
―― そうすると、その、お医者さん同士でのその何ていうんですか、あの、引き継ぎっていうんですか、それはスムーズに行われたんですか?
そうですね。で、あの、聞いた話によると、その小児科にいたとき、まあ、12歳で発症したときも、やっぱり小児科の先生ってIBDを専門に、や、今は、まあ、そういう先生もいるのかもしれないですけど、当時はやっぱりなかなか、うーん、難しかったので、かなりその消化器内科の先生と相談をしながら、あの、治療方針を決めていたそうなので、まあ、その後、12歳、発症した後も常に消化器内科の先生と相談して進めておられたみたいで、で、その18歳で、まあ内科に移るときも、まあ、ちゃんと説明をしてっていうふうなことをされたというふうには聞いてます。
―― さっきおっしゃってた一人チーム医療(注)っていう言葉が面白かったので、そこちょっともう少し詳しく教えて頂けますか。
えーと、結局今その6つ病院かよってて、でそれこそ、何人かの先生に、これどれか、これは先に延ばしていいんじゃないっていうのありますかねっていっても、みんな3分くらい考えて、全部いかなきゃだめって言われて、で、そうすると、じゃあ例えばここで出ている薬は目に悪いとか、じゃここで出ている薬はクローン病に悪いとか、ここで出てる薬はこれに悪いとか、あと、この症状とこの症状が、こうバッティングしちゃうとか、結構そういういうのがあって、で、あの、だから私が新しくかかる先生を、決める基準は話をちゃんときいてくれること。じゃないとあの、あの3つ以上病院にかかっていると、今までには、その例えばお薬手帳とか見せた瞬間に、あ、あなた病気屋さん?って言われて、まだ薬ほしいの?っていきなり言われたこともあるので、もう、そういう先生はどんなに名医と言われていても、あの・・さようならっていう感じですし、
で、あの、逆に話しを聞いてくれる先生だと、あの、今コアの先生がクローン病の先生と、その副腎の見てくださっている先生で、二人ともものすごく、その他の先生の方針とかを、こう、一生懸命その意図を理解しようとして聞いてくださる先生なので、あの、そういう先生方にこう話をしながら、あ、じゃ、この先生がこう言ってる、じゃ僕の方でここやりますねとか、あ、じゃ私の所ではじゃ、このところを診るから、じゃここのところはそっちの先生に診てもらってとか、そういうのを、あの、私がハブになって、各先生を繋いで、で、あの、しかも、そんだけ行ってると、調剤薬局はもううちの近くの一か所にしてるんですね。で、もうそこの調剤薬局の多分収入の1割くらいは私じゃないかっていうくらいなので(笑い)もうそこの本当、薬剤師さんにはものすごくお世話になってて、であの、院内処方の薬とかでもちょっと見せるとすぐ調べてくれて、あ、これはこれにちょっと影響あるかもって、次行ったとき先生に相談してみたほうがいいですよ、とか、あの、もう、ちょっとうっかり先生がなんか他の病気でだめな薬を出すと、もうすぐに電話入れて、あの、処方変えてくださいって言ってくださるし、あの、本当にあの、今はもう最後の砦が結構その、あの、薬剤師さんで、で、あの、それぞれの先生が、あの、積極的に他の先生の協力っていう姿勢でやってくださっているので、私は伝書鳩のように検査結果を持って、パタパタパタパタ、先生この結果あそこでもらいましたとか、やってます。
(注)本来のチーム医療とは病院内の複数の医療スタッフ(医師だけでなく、看護師、栄養士、医療ソーシャルワーカーなど)が連携して一人の患者の治療やケアにあたることをいう
後はまあ、色んな先生いらっしゃいましたけれど、若い先生で女性の先生で、なんかすごくやる気のある先生もいらっしゃったんですけれども、私が何かこう「海外に行きたいんだ」みたいな事を言うとすごく応援はしてくれるんですけれども、なんでしょうね、こう、クローン病の症状として教科書に載っているような症状以外のことをちょっと言ったりすると、それはもう知りません、みたいな、それはメンタルじゃないですか(笑)みたいな、言われてしまって、なんかそのころ出始めていたSSRIと言われている、抗うつ剤ですよね、そういうのが、なんかこうクローン病ではなくて、過敏性腸症候群にも効くっていうことが言われているから、まあ、クローン病の患者さんはそういう過敏性腸症候群のようなものを合併している人も結構多いから、その抗うつ剤を飲んで見たらどうですかっていうふうに、その若い先生に言われて。私はその時はあまり知識がなかったので、まあ、それでなんか治るんだったらいいかな、よくなるんだったらいいかなと思って飲み始めたんですが、それを止めるのがものすごく大変な薬だっていうことを知らずに、今はちょっと飲んだことを後悔してますし、それは本当に必要な薬だったのかなっていうようなことを思ったり。
まあ、先生も完璧ではないんでしょうけれども、なんかちょっとクローン病の典型的な症状以外のいわゆる、医師からすれば原因のわからない「不定愁訴」(注)みたいなところに分類されてしまう症状になっちゃうんでしょうけれど。そういうことを言い出すとなんとなくメンタル扱いにされちゃうのがいやで、やっぱり言えなくなっちゃう、っていう。なんかこう先生が期待するような症状を言うっていう、ものすごく気を使っているというところは、今の先生はざっくばらんな先生、男性の先生で、非常にうまくいっていると思っているんですけれど。だからもう最近はあまり自分の生活のなかでの悩みとかは相談しないようになりました。
(注)身体的な不調の訴えはあるが、いろいろ検査をしても明確な理由や原因が見つからないときに、「不定愁訴」と呼ばれ、心因性あるいは心身症などの診断がつけられる例がある
―― 患者とお医者さんとの関係っていうんですかね、あのー、その辺はどう、どんなふうに考えておられます?
そこはやっぱり、あの、長年、まあ、病人やってきての話なので、やっぱ自分の病気を、知るっていうのはものすごく大事だと思うんですよ、ただドクターのいうこと聞いてれば病気悪くなんないっていう話でもないし。やっぱり日頃ね、自分の体っていうの分かって、で、やっぱり、いかに、あの、いい状態でこう続けられるかっていうのはやっぱ自分自身じゃないと多分、体の調子分からないじゃないですか。
あの、病院行くのってせいぜい悪いときでも2週間に1回とか、まあ、悪ければ1週間に1回行くかもしれないんですけれども、普段の通院って月1とかぐらいしか行かない中で1カ月間、常にいい状態で、その、病院に行った日の状態だけしかやっぱりドクターって見てないわけだから。その1カ月間のことをちゃんと、あの、ドクターに説明できるだけの、あの、患者力じゃないんですけどね、あの、なんだろう、やっぱり自分の病気のことを分かってないといけないんじゃないのかな。ま、そう、そのためにどうしたらいいかっていわれても・・
―― その、なんか、自分で記録をつけるとかそういうことはされました?
してないです。残念ながら、あの、記録とかはしてないんですけれども、ほぼ全て、あの、経験値によるもので、もう、ね、20~30年ぐらい病人やってるうちにやっぱ体が覚えてるんですよね。もうそろそろ具合悪くなるんじゃないかとか、この痛みは病気の痛みなんだとか。
―― あと、その、自分の状態をうまく、その、お医者さんに伝えないといけないと思うんですけれども、そういうのって、なんかその、テクニックじゃないですけどありますか。
えーとですね、まああの、うまく伝えることは多分、自分もできてるかどうかっていうと自信ないんですけれども、あの、そのとき見てもらうドクターによっては全く話さないときありますし。あの、やっぱり、合うドクターと合わないドクターというか、あの、検査のデータを見てすぐ、こう、決めてしまうドクターもいれば、触診、あの、おなか押したりっていうことをするドクターもいればやっぱりいろいろと、ドクターもいろんなドクターいるので、その。聞いて、話が分かってもらえるドクターには話します。分かってもらえないドクターにはもう、はなから話さないですし、話するとなんか、話かえってややこしくなってめんどくさくてね、あの、もう今日はいいやって諦めることあるし(笑)。
―― ま、クローン病と診断されて、あのー、お医者さんといろいろ治療方針とかお話しされたと思うんですけれども、その中でこう、自分の考えと合わなかったりとかお医者さんとの関係の中で何かそういうお話っていうのありますか。
ああ、結構ですね、私が今、通院してる病院はですね、結構、クローン病の患者さんが結構集まるところでして、とにかくお医者さんが忙しそうなんですよ。
で、最初はあの、男性のお医者さんだったんですけれども、今ちょっと、女医さんに変えていただいて、あの、ま、女性じゃないとちょっと話しにくいこともあるので。
で、結構、午後の通院でこう行くんですけれども、結局、午後、13時ぐらいに着いたとしても呼ばれるのが16時半とかで、かなり待ち過ぎて。結構、待ってる患者さんたちも結構ですね、しんどい思いをされてるような中なので、あんまりお医者さんと詳しい話がなかなかできないっていうのが正直ちょっと、今、悩みですね。
―― それはその同じ病院に就職されたということですか。
同じ病院にあの就職を。ほぼその病院の看護学生は今まではほぼ100パーセント同じ病院に3年間は働くということで、えー、自分も勿論働けるんだろうと思っていたら、そういうこと(就職はさせられない)を言われたので、ちょっとびっくりはしたんですけれど、で、最終的には働くことができて、できました。
で、その後もあのー、「先生、子ども・あ、先生結婚します」って言ったら、「すればいいやん」って、で、「子どもがほしいんです」って言ったら、「作ればいいんやんか」って感じで、あのー、自分がしたいことっていうのか、私がしたいということをまず始めに聞いてくださって、それに向かっていくためにはどういうふうな治療をしたらいいかっていうのを考えてくださって、仕事をしたいって言えば、その点滴を家に持って帰って在宅のIVH療法っていうのを、その病院では初めてですね、試していただいて、勿論看護師なので、あのー点滴の作業とか処理っていうのはできるからですね、で、持って帰ってっていうことでやっていただいたりとか。
後はあのー、子どもがほしい時には文献を調べていただいて、そこにクローン病だからと言ってあの、影響っていうのはコントロールできていれば、あの通常の妊娠、あの通常の方と変わりはないということを調べていただいて、で、えー薬の調整に入って頂いたということで、とてもですね、私と私の生活と、私の背景を全部ですね見てくださって、とてもあの、その先生に出会ったことが、とても私の今に繋がっているなというふうに思います。
―― お医者さんとのその治療方針とかですね、えー、なんかでこう対立したりとかそういうことはなかったですか。
よくあります(笑)。あの、ステロイド依存っていう話したんですけれども、あの、ま、かかってる病院ってこう決まったドクターじゃないっていうのが一つと。あとは、やっぱりあの、新しいドクターと、まあ、古いドクターっていう言い方、変なんですけれども、あの、こう、入れ替わるんですよね、常に、あの。なので、入れ替わったタイミングで、その、必ず言われるのが「ステロイドを減らそう」、あの、「切ろう」っていう。
ま、教科書どおりなんですけれども、切るとまた体調悪くするんだよって。で、こう、頑張って説明するんですけれども、やっぱりあの、中には折れないドクターがいて、で、減らしてってまた体調崩して、また増やしての繰り返しが何度かありましたね。
―― そういうときは、その、最終的には先生は納得されるんですか、その、ステロイドを減らさないということについて。
納得してますね、あのー、やっぱりあの、過去の、今ですよ、最近に関してはもう過去の見てもらうと、あの、やっぱり減らした後、結構増やしてるので、もう、いじらないほうが賢明だっていうふうに。見てもらえば分かるので、見てから、あの、考えましょうって言うと次、外来行ったときに、まあ、このままいきましょうと。…なので、そうなるまでやっぱり長い年月かかってますよね。
―― その、治療に関してですね、お医者さんと意見が合わなかったとかいうようなことはありますか。
そうですね、意見が合わないことは、そうですね、ここ最近、ちょっとやっぱり、あの、体調面とかがですね、ちょっとやっぱり、クローン病のほうがちょっと少し悪化してるっていうことで。まあその、いろいろ薬を変えようか、変えないかとかいうこととか、手術しようか、しないかとかいうところでやっぱりちょっと、どこに落ち着くんだろうっていうところがやっぱ自分の中ではちょっと、ま、先生とうまくいかないときも、やっぱちょっと。
私はこうしたいんですけどって言うんですけど、やっぱ先生は「いやいや、まだまだ待ったほうが」って言うとやっぱり、そこでちょっと行き違いとかもあるんですけど、まあやっぱ。やっぱ、お医者さんのほうがやっぱり…、もう専門の先生なので先生の、まあ、ご指示に従って、あの、さしていただいてるっていうところですかね。
―― そういうときに、その、セカンドオピニオンとか他の病院に行ってみたりとかいうことはなかったんですか。
あ、それは一度考えました。はい。やはり、あの、セカンドオピニオン受けてみたいなとかいうことは一度、先生には言ってみたんですけどですね、まあ…、なかなかいい返事はくださらなかったんで、まあ、そのときはまあちょっと、諦めたんですけどですね、はい。で、まだちょっとセカンドオピニオン自体はできてない状態ですね。