※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
診断時:79歳
インタビュー時:82歳(2014年4月)
2014年1月から長女一家の住まいに近いサービス付き高齢者向け住宅に独居。夫ががんで亡くなる(2011年2月)2,3カ月前からもの忘れとうつ傾向が目につくようになった。同年10月、大学病院で軽度の認知症と診断された。現在は、以前より続けている謡のお稽古、引っ越してから通い始めたフラダンスのレッスンに週に1、2回通い、愛犬とともに散歩を楽しむ生活。まだ公的サービスは受けていない。
語りの内容
――まあ、それで、この春ですか、こちらに移って来られた、その決断って、どういうことで決断されたんですか。
うーんとね、そうね、わたしはね、まあ、そんなにこういうところにね、あわてて来ることないとは自分では思っていたんですね、まだ、自分でいろんなことできるしと思っていたんです。でもね、娘が、心配して、あのー、ここからね、車で50分ぐらいかかるんですよね。それなのに、1週間に2回も3回も来てくれるでしょう。だから、それのほうが大変だろうと思ってね。そうしたらね、もうどっか近いところでいいところがあったら、あのー、で、自分(=長女のこと)でも探してね、ここを、で、なかなかいいところがあるから、そこに来ない?って。そうするとうちから10分ぐらいで来れるからって言うんですからね。だって、それもいいかなと思ってね、でも、そんな、忙しいのにね、かわいそうだからと思って。それもありましたね。で、わたしもやっぱり40年も、そこに住んでいましたからね。だから、もう、ご近所ともみんなね、お知り合い多かったからね、ああ、もう、ね、犬もいましたしね。で、1軒家でしたから。もう、犬もね、ほんとに、あのー、よそのこと気にしなくてね、やっていましたからね。だから、それも、ちょっと窮屈になるから大変かなと思っていたんですけどね。でも、まあ、ここに来たら、犬も飼ってらっしゃる方もいらっしゃいますからね。だから、まあまあいいかなっていう感じですけどね。
インタビュー本人10
- 認知症の進行を防げると考えたことはないが、これまで習っていた謡の稽古は、大きな声を出してうっぷん晴らしにもなるので、絶対やめてはいけないと思っている(音声のみ)
- 自分はまだ一人暮しできると思っていたが、娘が週に何度も車で50分くらいかけて通ってくるのがかわいそうで、娘の近くのサービス付高齢者向け住宅に転居した(音声のみ)
- ずきんとくるような言葉をかけられ、そこまで言わなくてもと思うこともあるが、自分も同じ立場だったら親がぼけてきたら気が気じゃないだろうと思う(音声のみ)
- サービス付き高齢者向け住宅では3食付なので料理をしなくなり寂しい。余計認知症が進むのではと不安だ。犬と一緒に外に出る機会があってよかった(音声のみ)
- このサービス付き高齢者住宅には自分で生活できる人ばかり住んでいるが、いつか病気になったり寝たきりになったりしたらどうなるかなと考えることがある(音声のみ)
- 自分でも「あの人は認知症なんだ」と思うと、その人が普通にやっていることもおかしく見てしまう。だから、自分から認知症だとは言わないほうがいいと思う(音声のみ)
- 普通に接してくれるのが一番ありがたい。本人が気づかずおかしいことを言ったりやったりしていも、さりげなく教えてくれるのが一番ショックがなくて良い(音声のみ)
- 認知症という言葉を聞いて、この先、人に迷惑ばかりかけるようだったら早く死んでしまいたいとも思った。生きていくのに色々と理由付けを考えた(音声のみ)
- 年を取ってみんながみんななるものじゃないが、病気と思えば仕方がない。結構優秀な人でも認知症になるというから、凡人がなるのはもうしょうがない(音声のみ)
- 今まで考えなくても手が勝手に動いてくれたのに、今はなにかをやっていて一瞬立ち止まってしまうことがある。すごく寂しい(音声のみ)