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聖路加国際大学小児看護学教室教授
家族看護、小児看護を専門として、臨床では小児がんや医療的ケアなどの疾患のあるお子さんと家族に出会ってきた。研究では、慢性疾患を持つお子さんと家族が子どもから大人へと移行することへの支援をテーマにしている。現在は大学での講義や研究のほか、小児科クリニックでの臨床にも携わっている。
語りの内容
ーー導尿について、教えてください。
導尿は、自分で尿を排せつするのが難しい時に、管を尿道から膀胱(ぼうこう)まで通して、その管を通じて尿を排せつするものです。
ーー尿道の形は男女差があるんですけど、男の子と女の子で、ケアで注意しなきゃいけない、難しいところはありますか。
男の子だったら、通す長さが長くなるので、その分入れにくい。
どういうふうにやるのかを一生懸命トレーニングするっていうことはあると思います。
一方で女の子は、長さは短いんだけれども、その分、膀胱とも近いですし、感染症により気を付けないといけないことがあります。
ストーマですと、感染症を気にしなくていいんですね。
清潔な操作(無菌での操作)は要らないんですけれども、導尿の場合は無菌操作が必要になる。
これは男の子も女の子も一緒です。
ですので、きれいな環境で管を通して抜くっていうことが必要になるのは、(男女)共通のところかなというふうに思います。
ーー無菌操作だと、1日何回もやるというのは難しい、そういう環境にない場合もあると思うんですけども、大体、1日何回以上やらなきゃいけないとか、どの程度、決まってるんでしょうか。
それはお子さんの状態にも、年齢にもよります。
大人だったら1日何回ぐらいとか膀胱の容量もありますから、それはお子さんごとに(合った)回数があるかと思います。
ただ、環境のことなんですけれども、お子さんですと、学校がありますよね。
学校では休み時間に導尿をするという、生活サイクルの中に導尿を上手に組み込むことを、親御さん、お子さん、それから学校の養護教諭、そして医療者が、みんなで上手に相談しながら計画立てることも大事かなと思います。
ーー学校の休み時間に導尿するのは、大体何歳ぐらいのお子さんだと自分でできますか。
それもやっぱりケース・バイ・ケースだと思います。
お子さん自身の発達の状態とか、体の状態にもよると思うんです。
導尿だけが必要だという場合ですと、小学校2年生ぐらいから練習し始めたり、もう少し早い方だと小学校入るぐらいから練習し始めて、中学年になる頃にはご自身でやろうかなというお子さんもおられると思います。
そうでない場合、お休みの時間に合わせてご家族が学校に行って導尿するという場合もあって、それは本当に大変ですよね、時間的にも。
その辺り、いろんな支援が入ってくといいなというところです。
小児看護学・小林京子さん
- 尿道から膀胱に直接管を通す導尿には、清潔な操作が必要である。訓練して中学生くらいから自力で導尿をできる子どももいる
- 腸に穴をあけ袋(パウチ)をつけて便を排出するストーマは、子どもでは素早いパウチ交換、ずれない工夫を行う必要がある
- 経口で栄養を摂取することが難しい場合に、鼻から胃や腸にチューブを通したり、胃に直接穴をあけて胃ろうを作ったりする
- 肺に酸素の供給が十分にいかない場合に人工呼吸器が必要となる。酸素が届いているか、血中酸素濃度を気にしながらの生活となる
- なんらかの事情で気管内を空気がうまく通らず呼吸困難となる場合に、気管を切開する。切開後は気管内のたんの吸引をし、空気の通り道を確保する必要がある
- 在宅で医療的ケアを行う家族は、生活の中で様々なケアがスムーズにできるよう気を配る。親たちの負担を軽減するサポートが必要だ
- 人工呼吸器、胃ろう、経鼻経管栄養、痰の吸引のような通常病院で行われるようなケアを日常生活でも必要とするお子さんのことです