向こう(前夫)は家庭があったので、いろいろはもちろん言いませんけれども、(息子の)命に関わってくるようなときには、連絡をしてたんですよ。
そのたびに来てくれてたんですよね、彼は。
最後、亡くなる1週間ぐらいの期間、毎日来てくれて。最後の病名がMDS、異形成骨髄性白血病だったんです。それを彼に伝えて、もうおそらく駄目だろうって、分かってたので。
初めてかもしれないね、夫婦で息子のことを真剣に話したのは。うん。
私は、息子が亡くなることは、ほとんど誰にも言ってなかったので、彼に伝えて、「この子を死なせたくない……私はこの子がいなかったら生きていけないから、死なせたくないから助けて」って言ったら、彼は…「逝くか逝かないかを決めるのは、息子自身が決めるんだ」って…だから、それを見守るしかないって言ったんですよね…。
それから毎日、病院に来てくれて、一応、最後の瞬間も連絡はするっていうふうに決めてたので、来る来ないは彼が決める。
で、連絡をしたら来てくれて…そして、最後に抱いてもらってね……。
亡くなったときも、真ん中に息子がベッドで寝てて、両端に彼と私がいたんですけど、ぼろぼろ男泣きに泣きながらですね…「苦労を掛けてすまなかった」って、私と息子におわびの言葉を言ったんですけど…私は、彼にね、謝らないでほしいって。
決して私は、2人で生きてきたことが不幸ではなかったので、夫婦としては縁がなかったけれども、父親としての、できる限りのことはしてもらったと思うので、謝らなくていいって……。
私が最後にできる(のは)、この子に、母として父親に会わせるっていうんですかね。
会いたいと思っても言えないからですね、息子は。
彼に覚えててほしかったんですよね。
あなたの子どもはこれだけ一生懸命生きて、頑張ってるよって。
彼に記憶としてとどめてほしかった。だからもう感謝しかないですね、彼にはね。