医療的ケアの導入と決断   *NEW*

ここでは、子どもに医療的ケアが必要になった経緯や、気管切開や胃ろうなどの手術をめぐる決断の悩みについてのお話を紹介します。
代表的な医療的ケアの詳細は「医療的ケア児とは」の中の「医療的ケアの解説」で説明しています。また、医療的ケアが必要な子どもとの生活の様子については、「日々の生活とケア」をご覧ください。

呼吸に関する医療的ケア

気管切開、人工呼吸器、吸引は、自宅で生活していく上で呼吸の安定のために必要とされることの多い医療的ケアです。

気管切開

呼吸の通り道である気道の確保のために気管切開が必要となる場合があります。痰や胃内容の逆流による気道の閉塞、繰り返す誤嚥性肺炎、気管軟化症、長期的な人工呼吸管理が必要な場合などに気管切開が検討されます。多くの方がその決断に葛藤を感じたことを語っていました。

気管切開を決断する際に多くの方が悩まれたのが、声が出せなくなるかどうかということでした。
実際には気管切開をしても声帯に空気を流すことができれば、声を出すことができます。また、スピーチバルブやスピーチカニューレといった発声を助ける道具が使える場合もあります。
但し、喉頭分離術といって、気管への唾液の流れ込みを防止するために喉頭(声帯を含むのどの奥の部分)と気管を切り離す手術を受けた場合は、声帯に空気が流れなくなりますので、声が出せなくなります。
(国立成育医療研究センター「子どもの気管切開ナビ」 参照)

次の方は、母としてすべて責任を取る、という強い思いで子どもの気管切開を決断するまでの過程をお話くださいました。
そして、その決断に対する子どもの思いも確認することができたそうです。

次の方は子どもが喉頭軟化症と診断され、生きるために気管切開が必要であるということを受け入れるしかなかったと話しています。ただ、喉頭軟化症の症状が改善すれば気管切開を閉じることもできると説明されたそうです。

人工呼吸器

呼吸機能が弱く、肺で酸素と二酸化炭素の交換が十分にはできない場合には人工呼吸が必要になります。
お話くださったご家族は、子どもの繰り返す誤嚥性肺炎、気管軟化症、慢性肺疾患、そして、呼吸をコントロールする脳の障害など様々な理由により、人工呼吸器を使用して生活しています。
必ずしも24時間人工呼吸器が必要なお子さんばかりではなく、成長とともに呼吸器を使う時間が短くなったり、必要なくなったりする場合もあります。
気管切開をして喉の切開部に人工呼吸器を装着する場合が多いですが、非侵襲的陽圧換気と呼ばれる気管切開をせずに人工呼吸をする方法で生活する方もいます。

栄養に関する医療的ケア

子どもの成長に必要な栄養摂取や血糖値の安定などのために必要な医療的ケアに、経鼻経管栄養、胃ろう、腸ろう、中心静脈栄養があります。お子さんの成長や状態の変化に伴って、経鼻経管栄養から胃ろうに切り替えることもあります。

経鼻経管栄養

経鼻経管栄養とはお子さんが母乳や食べ物をうまく飲み込めない場合に、鼻の穴からチューブを挿入して胃や腸まで通し、栄養剤を注入する方法です。手術が不要で比較的容易に栄養を摂取することができますが、チューブが鼻からのどを通って胃に入っているため、不快感があり、食べ物を食べる練習がしづらいというデメリットもあります。

胃ろう

胃ろうとは内視鏡を用いた手術などでお腹の皮膚にあけられた小さな穴のことで、そこから胃の粘膜までチューブを通して栄養剤やペースト状にした食材を直接胃の中に流し込むことができます。
次の方は、お子さんの入院中は経鼻経管栄養でミルクを飲ませていましたが、在宅になったら鼻からのチューブが抜けたときには自分が入れ直さなければならないことを考え、胃ろう造設を決断されました。

次の方は、鼻からチューブを通すとき(経鼻経管栄養)の苦痛を直接子どもから聞いたと言います。胃ろうをつくった子どもをもつ同じ境遇の家族の意見も参考にし、手術を決断しました。

食事は家族のコミュニケーションで重要な役割を占めるものです。
口から食べられなくなることを恐れて、胃ろうをつくることをためらったという方もいます。

なお、必ずしも「胃ろうにすると口から食べられなくなる」ということではありません。お子さんの状況によっては、胃ろうと経口摂取を併用することも可能で、私たちのインタビューでも、食道と胃をつなぐ手術を予定して口から食べる練習をしているという方もいました(こちらを参照 )。

排泄に関する医療的ケア 

呼吸すること、食べることと同じように大切なのが排泄です。排泄を助ける医療的ケアとして、人工肛門(ストーマ)や導尿が必要なお子さんがいます。

ストーマにはずっとつけたままになる「永久的ストーマ」と、後になって閉鎖される「一時的ストーマ」があります。
次の方のお子さんは生後半年で一時的ストーマを造設し、2歳のときに閉鎖する手術を受けました。ここではストーマ造設の経緯やケアに慣れるまでの過程について話しています。

自分で排尿ができないお子さんには導尿が必要になります。
尿道カテーテルを留置して排尿させる持続的導尿と、一定時間もしくは必要時に、尿道にカテーテルを入れて排尿する間欠的導尿があります。
二分脊椎などで導尿が必要な「動ける医療的ケア児」の場合は、排尿を自己管理できるよう、学校で間欠的導尿のやり方について指導してもらうこともあります。

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