障害学生の語りデータベース

研究事業名 2017年度トヨタ財団研究助成(2018~2020年度)
研究課題 障害学生のエンパワメントを促す当事者の「語りの映像アーカイブ」の構築
研究代表者 瀬戸山陽子(東京医科大学教育IRセンター)
研究体制 下記別表

研究の主旨と進捗状況

2014年の国連・障害者権利条約への批准、それを受けて施行された2016年の障害者差別解消法施行があり、近年障害や病いを持ちながら大学などの高等教育機関で学ぶ「障害学生」は増加の一途をたどっています。しかし一人一人のニーズは個別性が高く、大学における学び環境も大学の規模や専攻によって様々で、当事者が何を体験し、何を感じているかに関しては、よく知られていません。

そこで私たちは、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害、精神障害、発達障害など様々な障害や病いを持つ20代~40代の当事者の方々にご協力を頂き、インタビューを通じて、障害や病いを持ちながら高等教育機関で学ぶということについての生の声を集めました。

ひと口に「障害学生」と言っても、障害の種類やその程度はさまざまで、大学で学ぶために必要な支援はその専攻によっても大きく左右されるため、一人一人の体験は極めて多様です。今回のインタビューでは、入試の前段階で、最初は受け入れ可と言われた大学から合理的配慮の提供を断られ、行きたかった大学に進学することを断念したことを話した人もいました。また在学中に教員に配慮の必要性が理解されなかったことなどが話されています。
しかし「障害学生の語り」から見えてくるものは、そういった課題ばかりではありません。障害と共に生きる本人が、学生生活を通じて何を学び、何を考えたのか、友人関係で何が楽しかったのか、バイトやサークル活動、初めての一人暮らしでどんな経験をしたのかなど、いずれも体験した人にしか話せない貴重な体験が語られています。

本研究では、2021年1月に33名の方のインタビューが視聴できる「障害学生の語り」のウェブサイトをオープンしました。話された内容は、「進路の選択」や「大学選び」「障害学生へのメッセージ」など13個のテーマがあり、今後も新たなテーマの語りを公開していきます。

研究体制

区分 氏名 所属・職(専門)
研究代表者 瀬戸山陽子 東京医科大学教育IRセンター
共同研究者 澤田明子 NPO法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン
  〃 佐藤(佐久間)りか NPO法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン
  〃 射場典子 NPO法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン
  〃 花岡隆夫 NPO法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン
  〃 隈本邦彦 江戸川大学メディアコミュニケーション学部
  〃 別府 宏圀 NPO法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン