診断時:48歳
インタビュー時:48歳

2006年に、一連の検査を経て、前立腺癌と診断された。 2007年4月にロボット支援腹腔鏡下手術により、根治的神経温存前立腺全摘 除術を受けた。

語りの内容

プライバシーと尊厳はNHS(英国の国民医療保健サービス制度)にとって今後の課題だと思います。今まで話していた患者のための健康(医療)に関する情報と同じように、尊敬すべき医師が行なっている素敵な診療を知りました。しかし、患者のプライバシーと尊厳が明らかに特別な関心事ではないという全く反対の事例もあります。例えば、生検や膀胱の検査のような人に見せたくない処置を受けているときにドアがバンと開いて検査とは関係のない人達が出入りし、挨拶もしない。例えば、歯科の治療台にいるときに歯科助手が行き来する分には我慢できますが、率直に言いますが自分がお尻を突き出している状態で遠慮なく行動されるとは全く事情が違ってきます。
一~二例を挙げてみましょう。TRUS生検(経直腸超音波生検)後の術前外来で他の患者やその親族でごったがえしている通路で待つ間、今回の生検を通して全然顔を会わせたことがなくコートを着て帰り支度万全の女医がその混雑した通路に顔を出して私の方に向かって生検後しばらくは精液に血が混じるかもよと叫んだのです。これは確かに重要な情報であること否定しませんが、伝えられた環境が理想とはかけ離れています。混雑した通路にいる人達が皆私の方を見ましたよ。そこにいた大勢のひとたちの多分全員が私の精液のことを想像したという独特な体験をしたのですよ(笑い)。そうじゃないと思いたいが。これは大いに回避できる状況です。少しの裁量があれば、その事実を伝えるため、どこか別の部屋を用意するまで少し待たせるとか、あるいはカーテンの裏で事を済ませることができたと思います。私としては、このようなことは情報として得られるものではなく、個人の選択であり、習慣であり、日頃の訓練によるものです。いわば、教養ですね。さらには管理体制のあり方にもよります。そういったことを許すシステムでは引き続き起こりますから。ああいう風習を許さなければ、それは起こらなくなりますよ。まあ、ほんの一例です。
プライバシーや尊厳に常に気が配られている訳ではないと思われる事例です。しかし、この対極にあって、常に情報を提供し且つ私のプライバシーや尊厳に対して配慮を示すという一流の仕事をした賞賛に値する医師やすばらしい人間に会うという経験もたくさんしたことを急いで付け加えましょう。彼らは信頼に値しますが、私が望むのは悪い例は少数派であってほしいいうことを強調したい。この少数派は患者達の受ける治療経験に基本的な違いをもたらしますよ。

私は: です。

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