診断時:73歳
インタビュー時:76歳(2008年6月)
東海地方在住。2005年夏、健康診断でPSA検査の値がやや高かったので、精密検査を受けたところ、浸潤はないもののグリーソン・スコアが9の悪性度が高いがんと判明。手術を勧められるも、身体への侵襲と病院の対応への不安感からインターネットで情報を収集して転院。2006年4月から2ヵ月間入院してリニアックによる3次元原体照射治療を受けた。合併症もなく、2年経過した今もPSA値は0.1台で安定している。
プロフィール詳細
東海地方の都市に妻と娘と3人で暮らすG.Rさんは、2005年10月に前立腺がんの診断を受けた。大手通信会社に40年近く勤務し、技術畑も事務方も経験した後、さらに10年ほど別会社で働いたが、診断を受けたときには仕事から退いていた。まったく自覚症状はなかったが、健康診断のオプションで申し込んだPSA検診の結果が4.6と、グレーゾーンにあったため、地元の総合病院で精密検査を受けることにした。
検査入院したところ、自分が主治医と考えていた医師が担当するのではないことがわかり、非常に驚いた。不承不承検査を承知したが、入院した夜に脳出血が起きてしまい、10日ほど絶対安静となった。その後に受けた生検の結果、浸潤はないがグリーソン・スコアが9の「顔つきの悪い」がんだと言われ、絶望的な気持ちになった。手術を勧められ予定日まで決めたが、担当医がなかなか決まらなかったこともあり、その病院に対して懐疑的になり、資料を借り出して2~3の病院でセカンドオピニオンを聞いて回った。さらにインターネットで情報収集をしているうちに、前立腺がんの体験者が開設しているホームページで強度変調放射線治療(IMRT)を知り、ぜひ受けたいと考え、11月下旬に自宅から遠い近畿地方の大学病院を受診した。
結果的には浸潤の少ない初期のがんだったので、IMRTではなく三次元原体照射という方式の治療を受けることになった。放射線治療が始まるまでの4ヵ月間はホルモン治療を行い、4月から2ヵ月間入院して74グレイの照射を受けたが、治療は苦痛もなく、快適な入院生活を送ることができた。ほとんど術後合併症もなく、現在は3ヵ月に1度のペースで経過観察を行っているが、PSAの値も0.1台で落ち着いている。
欧米に比べて日本では放射線治療はあまり普及していないが、自ら体験して非常にQOLの高い状態で治療が受けられたことから、一人でも多くの人に放射線治療について知ってもらいたいと考え、国の政策として放射線治療の専門医や医学物理士を積極的に養成すべきだと訴えている患者会にも入会した。ある著名な医師が著書の中で「100歳まで生きてがんで死にたい」ということを書いていたが、これは「言い得て妙」だと思う。がんで死ぬということは、与えられた自分の時間を無駄にせず、充実した人生を生き抜くことなのだということを実感しながら、毎日を過ごしている。
検査入院したところ、自分が主治医と考えていた医師が担当するのではないことがわかり、非常に驚いた。不承不承検査を承知したが、入院した夜に脳出血が起きてしまい、10日ほど絶対安静となった。その後に受けた生検の結果、浸潤はないがグリーソン・スコアが9の「顔つきの悪い」がんだと言われ、絶望的な気持ちになった。手術を勧められ予定日まで決めたが、担当医がなかなか決まらなかったこともあり、その病院に対して懐疑的になり、資料を借り出して2~3の病院でセカンドオピニオンを聞いて回った。さらにインターネットで情報収集をしているうちに、前立腺がんの体験者が開設しているホームページで強度変調放射線治療(IMRT)を知り、ぜひ受けたいと考え、11月下旬に自宅から遠い近畿地方の大学病院を受診した。
結果的には浸潤の少ない初期のがんだったので、IMRTではなく三次元原体照射という方式の治療を受けることになった。放射線治療が始まるまでの4ヵ月間はホルモン治療を行い、4月から2ヵ月間入院して74グレイの照射を受けたが、治療は苦痛もなく、快適な入院生活を送ることができた。ほとんど術後合併症もなく、現在は3ヵ月に1度のペースで経過観察を行っているが、PSAの値も0.1台で落ち着いている。
欧米に比べて日本では放射線治療はあまり普及していないが、自ら体験して非常にQOLの高い状態で治療が受けられたことから、一人でも多くの人に放射線治療について知ってもらいたいと考え、国の政策として放射線治療の専門医や医学物理士を積極的に養成すべきだと訴えている患者会にも入会した。ある著名な医師が著書の中で「100歳まで生きてがんで死にたい」ということを書いていたが、これは「言い得て妙」だと思う。がんで死ぬということは、与えられた自分の時間を無駄にせず、充実した人生を生き抜くことなのだということを実感しながら、毎日を過ごしている。
インタビュー16
- 健診時にオプション料金で安かったのでPSA検査を受け、グレーゾーンと言われたが症状もないので軽い気持ちで受け止めていた
- 前立腺がんは高齢男性がかなりの確率でかかる病気だと不安に思っていたので、PSA検査の存在を知って、すぐに申し込んだ
- PSA値はグレーゾーンで問題なかったが、生検で非常に性質の悪いがんと言われて絶望的な気持ちになった
- MRIのような検査は、もっと事前に情報が欲しい。狭い場所に閉じ込められ、身動き取れない状態で大きな音で責められ、まるで拷問のよう
- 専門の医師がいること、持病も診てもらえること、ウォシュレット設備があることなど、入院時に快適に過ごせるような総合病院を探した(音声のみ)
- 自分なりに担当医を選んで受診したのに、実際に生検を受けるときになって、医師が替ってしまい非常に驚き、病院に対する不信を感じた
- 結果的には3D原体照射を受けたが、若いころラジオ技術の虜になったことがあり、IMRTの「強度変調」という言葉に強く引きつけられた
- 主治医から情報提供してもらい、その中で自分に一番合った治療法の選択ができるように、自分自身の研究もしなければいけないと思う
- 内分泌療法を行って、PSA値が下がった時点で放射線をかけたほうが効率がいいと言われ、そうすることにした
- 知り合いが受けたIMRTを希望していたが、その人と比べるとPSA値が低かったこともあって、照射量の少ない三次元原体照射を勧められた
- 三次元原体照射を受けたが苦痛は全くない。機械のいかめしい感じに多少びびったり、動いてはいけないというのはあったが、わずかな時間だった
- 三次元原体照射は通院でも受けられるが、距離が遠かったのと日常生活に自信がなかったので、入院して受けた。その方が安心だった
- 晩期障害として、ちょうど2年たったころに直腸から出血があったが1回だけだった。IMRTでなく三次元原体照射にしてよかったと思う
- 玄米は農家と年間契約してレンゲ草を田んぼにすきこんで作るレンゲ米を取り寄せ、自分で炊いている。野菜は妻に頼んでジュースにしてもらう
- ストレスのない生き方が必要だと思ったので、家庭の中で努めて笑顔でいるようにしていると女房もそれに応えてくれる
- 新幹線で通院して放射線治療を受けた。交通費はかさむけれど、全て保険適用されている治療法だったので、今の医療制度には助けられていると感じる
- 娘が知的障害を持っているので、親亡きあとの娘のことが一番気がかりだ。障害者が地域で自立していける基盤づくりの活動に力を注いでいる