高専に入ってから学校側がものすごく手厚く配慮してくれて、逆に周りと違う扱いを受けたことで差別感を抱いた。自分に対してネガティブになる感覚を変えたくて留学を決めた

留学をしたきっかけは、もうほんとにこの障害が理由だったと思います。正直なところ、小中のときって、もちろん目が悪いことは自覚はしていたんですけど。特別に、極端に周りの人と違うっていう認識はあまりありませんでした。
ただ高専に入ってから、逆に学校側がものすごく手厚い配慮をしてくださる一方で、その配慮がちょっと行き過ぎていたが故に、周りと全く違うような扱いを受けてしまっていて。で、そこに対してちょっと個人的にかなり、差別感を感じてしまったというところがありました。それで実際、正直なところ、そこからかなり自分に対して消極的になってしまう、ネガティブになってしまうような時期がありまして。そういったところを何とかして払拭（ふっしょく）したいなと。何か自分の力でおっきいこと成し遂げてみたいなっていう思いが湧いて、一つ留学っていうものを、取り上げてみたという形で。1年、アメリカの高校のほうに通わせていただいたっていう形ですね。

――それは、何かそういうプログラムがあって、それに応募してということですか。

幸いにもその高校自体が留学をかなりあっせんしている学校で、別に僕以外にも大体20％くらいの学生さんが留学をするというような、かなり留学に抵抗のない学校だったので。私もその中の一人として行かしていただいて

（日本の高専の）学校側としてはほんとに全ての配慮をしてくださって。例えばプリント用紙を拡大するであるとか、あとは教科書を拡大するであるとか、あとは実験とか体育とかに関しても、できないことは、別にそれで減点するということはないとか。ほんとに、全てにおいて、かなり配慮してくださっていたと思います。
ただ、その配慮の仕方そのものに対して、クラス全員の中で、僕に質問をしてくださっていたんですね。個人的には、結構個人的にしてほしかったなと思っていたんですけれども、常にこう、みんなの前で、「これはできるのか」とか、「これはどうしたらいいのか」っていうような、何ていうんでしょうね。公開的な場面でいろいろと、問い詰められてしまったときに、何かすごく苦しかった、精神的に苦しかったなっていうところは正直ありますね。

――なるほど。分かりました。そのときに、ご自身に対してネガティブな気持ちにちょっとなってしまったっておっしゃったんですけど、それはどんな感じのことですか。

やっぱり小中学校までは、みんなと同じ環境の中で、やれていたことが、やっぱり高校に入ってからは、配慮という形で少し隔離されてしまうような感じになってしまったので。そこでやっぱり他の人と完全に違うんだっていうことに対する悲しさであるとか。あとは、これだけの配慮を受けないとやっていけないんだっていう失望感、絶望感っていいますか。うん。そういったところからも今後に対する不安みたいなとこもすごく湧いてきて。どんどんこう、消極的になってしまったという流れです。