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インタビュー時年齢:21歳(2019年5月)
障害の内容:発達障害(ASD:自閉症スペクトラム、DCD:発達性協調運動障害)
学校と専攻:大学・マスコミュニケーション学部(2016年度入学)
首都圏在住の男性。両親と姉、兄の5人家族で育った。小さい頃から発達障害の傾向はあったが、大学4年の春休みに診断された。人との関係が難しいこともあるが、即興芝居を行うワークショップに出会い、それがとても面白くて熱中し、表現する意義を感じた。発達障害のことも、ブログなどで発信している。大学入学を機に四国地方から上京し、現在は一人暮らし。
語りの内容
まず僕はスタートダッシュをミスったんですよ。どうミスったのかというと、最近だとTwitterで何年度のどこどこ大学、新入生集合みたいなアカウントがあるんですね。
それで僕は、人との距離感が、縮める人なのでパーソナルエリアが近い人なので、何か、そういうグループがあるんだ、だったらみんな呼ばないとと思って、もうめっちゃ回ったんですね、50人ぐらい。たとえ知らない人でも、こういうグループあるんでLINEグループ入りませんかみたいな、そういうことをやってて。
で、やったらやったで、リアルなことに、リアルタイムというか、その入学式とか始まったら、誰でもかれでもLINE交換して、そういうことをやっている人だみたいな、そういうことを言われたりして、それは、その考えになる人が気持ち悪がって。
僕のトラウマとかではないんだけど、日々過ごしてて、女子のグループとか、イケてるグループとか、イケてないグループっていうのを中学校、高校とか、そういうふうにあって、それを改善をしたくて僕はみんな仲良くしようよって、その考えでそういうことを、いろんな人をグループに誘うっていうことをしたのに、みんな、何か、何だろう、分かんないけど、大学生って多分入学式のその1週間の間に会った人としか絶対話さないみたいな風潮があって、それが僕は気持ち悪かったんですよ。
だって同じ学科になったってイコール、クラスになったっていうことなのに、何かみんな、何か人のことを知ろうとしないし、人のことを、人のことを知ろうとしないし、人に近づくことが苦手みたいな。
で、それで多分、最近自称「人見知り」って言う人が増えたりして。それで、僕はもう大学1年の前期、後期ぐらいから、もう学校、大学をやめたいなって思ったんですね。何か全然人とのコミュニケーションを、自分の学科に、学部に「コミュニケーション」って書いてるくせに、何でコミュニケーションをこの人たちは向上しようと思わないんだみたいな。まあ、ちょっととがってたのもあったので。それで大学に対して、もう何か一歩引いちゃうし、みたいな。
うちの大学って、基礎ゼミっていうものがあって、そこでバーベキューをしようみたいな、っていうやつがあるんですけど、そこはやっぱり、その基礎ゼミっていう団体でしか仲良くなれないから、そのときの思い出は思い出で楽しいんだけど、実際、当時は100人とか90人ぐらい。何人いたのかな、忘れちゃったんですけど。自分の学科にたくさん人がいるのに結局、基礎ゼミとか、同じサークルの子だとか、家が近い子だけで終わらすんだと思っちゃうところが強くて。
何か多分、僕、正義感が強いので、こうしないといけないはずなのにみたいな。それは多分自分の短所なんですけど、だけど周りを見てて考え方が違うなって思って。それで大学1年生の前期とかは、そういう思い出しかなくて。
インタビュー18
- 自分の大学はそもそも試験などもすべて「持ち込み可」なので、何とかなっていた。「持ち込み可」ならちゃんと資料を取っておけば授業やテストは問題ないと思っている
- 演劇を学ぶために入学した大学だったが、中の人間関係がよくなかったので、学外の即興芝居のワークショップに参加して表現する楽しさを学び、青春を味わうことができた
- これから取り組む卒業論文では、発達障害である自分のことを振り返ることをしたいと思っている。自分を理解することにつながるし、誰かのためになるかもしれないとも思う
- 大学生になったことで出かけやすくなったり、学外の活動でいろんな人と出会った。大学は遠回しに背中を押してくれた存在で、大学生になった今の自分が一番好きだと思う
- 障害のためにできないことはあるかもしれないが、「大事な人はすぐ側にいるよ」という歌の歌詞があるように、意外と側に人がいるということを伝えたい
- 自閉症の診断を受けた人が「自閉症のくせに彼女がいて」と言われたとSNSに書いていた。たまたま自閉症でも、親からもらった名前がある一人の人として見てもらいたい
- ネットで見つけた発達障害の人たちが集まるカフェに友人と出かけてみた。だが、そこには自分より症状が悪い人たちが多く、とても居づらいような思いになった
- 自分の大学のゼミで議論の内容が分からなかった時、他の大学の耳の聞こえない友達に相談していた。友達も同じような悩みを抱えており、自分たちで議論の場を作った(筆談)
- 自分は人との距離を縮めるタイプで、入学当初多くの人に話しかけたが、大学の人たちとはうまくいかなかった。周りを見ていて、考え方が違うなと感じていた
- 大学で上京して一人暮らしを始めた。家族とは仲が悪いわけではないが、一人暮らしはとても自由で、楽園のような思いで過ごしている
- 診断されてから、母親への気持ちが変化したように思う。以前は、自分は出来ないことが多くよく怒られて怖かったが、診断されてからは「頑張ります」という気持ちが芽生えている