病気や事故による死亡は、亡くなった本人の不幸だけでなく、その家族や恋人、友人の心にも深い悲しみや傷跡を残します。 欧米の病院では、患者が亡くなったあとも、そのような人々の心のケアにも目を向け、 死別カウンセリング(bereavement counseling)とかグリーフ・ケア(grief care)などというサービスが 医療機関の正式な機能として組み込まれているところもあります。英国のヘルストークにも、 「死ぬことと死別(Dying and Bereavement)」という大きなカテゴリーがあり、現在、その中には 1.自殺による死別(Bereavement due to suicide)、 2.不慮の死による死別(Bereavement due to traumatic death)、 3.不治の病いを患っている人の看取り(Caring for someone with a terminal illness)、 4.死とともに生きる(Living with Dying)という、 4つのモジュールが完成しています。
2011年3月17日、あの東日本大震災からちょうど1週間後に、DIPEx-Japanの佐藤(佐久間)りか事務局長が 朝日新聞社のアピタルブログ(保健・医療関係の情報を集めたウェブサイトの連載企画: 「患者の語り、医療者の気づき」)に“東日本大震災:「天命」と「天罰」の違いを考える”と題する短い文章を発表しました。 その文章がきっかけとなり、英国のサイトにある「不慮の死による死別」のモジュールを翻訳しようという発案があり、 20人を超える多くの翻訳ボランティアが協力を申し出て下さいました。今回は、津波と地震による死別がきっかけで 始まった計画なので、自殺や個別的な犯罪による死別の体験は省いてあります。英国のサイトには、 今回のような自然災害による死別体験の語りは含まれていませんが、遺族の衝撃や悲嘆は本質的には同じです。 これらの人々の語りが、今回家族や友人を亡くされた方々に少しでも役立ち、また、被災者を支える人々にも さまざまな示唆を提供できるものになればよいと願っています。
翻訳や校正の協力者をして下さった方々は、日本国内だけでなく、海外に住んでいる方も大勢加わって頂いたことを最後に記し、 あらためて心より感謝したいと思います。
語り手の立場別
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