レイチェル
事故当時:44歳
インタビュー時:47歳
シニアソーシャルワーカー。既婚、2子あり(1人が死亡)。息子のデイヴは、警備会社に入社する前、パラシュート部隊に勤務していた。2006年イラクで勤務中に爆弾で死亡し、レイチェルは衝撃をうけた。カウンセリングを受けて助けられたが、それでもくじけずに生きて行くことはときどき難しいと感じる。
語りの内容
私は思うんです・・・、もし娘がいなかったら、そのときは多分、今日のような会話をしていなかったでしょうね、気分が悪くて。でも、誰かがこう言うかもしれません、「時間がたてば、いつかはよくなり、現実に対処できるようになるよ」ってね。多分、少しは良くなるでしょうね、でも決して忘れることはないですよ。
もちろん、ないでしょうね。
だから、それは(私の気分が良くなったわけではなく)彼を失い、大きな時間を失ったことで私の人生が変わったというだけのことなんですよ。
家族のダイナミックスと言ったような意味では、どんな影響がありました?
そうですね・・・、私は熱心なゴルファーで、多分ゴルフ強迫症と言ってもいいくらいだったのです。でも、いまはそんな意欲はなくなりました。何かをするにしても、しないにしても、もはや意欲が全くなくなったのです。ほんとに外出することも余りなくなりました。
ゴルフとおっしゃいましたね?
ええ、ゴルフをしましたが、プレイしたり、しなかったりでした。もはや、日常的なことは重要ではありません。あちらでは、ずっとずっと大きなことがあって、以前ならほんとに重要と思われたことが、もはや重要ではなくなったのです。物事が、もはや重要ではなくなったのです。
それでは何か非常に大事なことがありますか?貴方にとって重要な事柄のなかで、優先順位が変わりましたか?
多くのことがもはや重要とは思われないのです。多くのことが、重要ではない、ただの事柄だと思うのです。
ということは、貴方の人生観をほんとに変えてしまったのですね。
ええ、非常にね、ほんとに変えてしまったのです。
将来のことをどう思いますか?
そうですね、もちろん前向きでなければいけない。私には娘がいます、ですから前向きの生き方を保たなければいけない、うまく行けば子供が生まれ、孫が生まれる。それは素晴らしいことです。でも、なぜか分かりませんが、おそらく、何かが少し変わったのです。死ぬことや、それに類したことを少しでも恐れるようになると、自分が死ぬことについては全然怖くないし、心配もしないのですが、何もかもが少し変なのです。
ということは、死に対する見方も変えてしまったのでしょうか?
そうです、あらゆることが、全てが変わってしまったのです。
そこのところをもう少し詳しく説明していただけませんか?
そうですね、感じていることだけを言うと、これは誰かが私に言ったことなんですが、いま仮に、神様が、24時間だけ生きる時間をくれたとします。
ええ、(生きるということは)素晴らしいことです。でも、デイヴに会えない。何が言いたいか分かりますか?全てが生々しくて、まだ非常に新しいことなんです、だからこうした考えは至極当然だと思っています。くじけずに、毎日を過ごし、気持ちを切り替えて行くことは、それほど容易なことではありません。2年も経ったのだから、そろそろ乗り越えてもよい頃だろうと、一部の人々が思うのは分かります。でも、踏ん切りをつけることができない、とてもとても難しいことなんです。
仕事を離れてどれくらい経ちます?
多分、まだ6~7週間くらいしか経っていません。でも、いまだに彼が亡くなった知らせを受けた下の階へは降りて行かないし、玄関にも行きません。あれ以来、そこへは行ったことがないのです。