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診断時:71歳
インタビュー時:72歳(2012年4月)
東北地方在住。自営業を営んできて、これまできちんと健康診断を受けたことはない。がん検診も受けておらず、2011年に高血圧が心配で病院で血圧を測ってもらったついでに受けた血液検査で貧血がわかった。体内からの出血が疑われたため、便潜血検査をしたところ陽性となり、大腸内視鏡検査を受けてS字結腸のがんがわかった。開腹手術の後抗がん剤治療に入ったが、肝炎になったため中止し、現在に快復して落ち着いた生活を送っている。
語りの内容
わたしは、その内視鏡が怖かったんですよ。
―― そうですよね。
人から聞いていてね。
―― 何て聞いていました。内視鏡。
あのー、やっぱりね、わたしね、若いころに、あのー、胃、胃カメラっていうの、あのー、飲み、飲みますからって、その…検診だけでね、胃カメラを飲まされる状態があったんですよ。そんときに、逃げ出したことあるの(笑)。まだ、その銀行に、銀行になっていた、銀行マンだったんですけどわたしね、あの、OLのときは。それで、そんときに(笑)あの、胃カメラをまず、健康診断がありますんで、「飲んでください」って言われて…やられたときに、「できませーん」って逃げだして来たことあるの。
―― 受けずに。
そういう経験があるんです。それで、何ともなくて今まできたわけだから、絶対嫌と思っていたの。「もう死ぬときだわ、わたしが、胃カメラなんて飲むのは」とかね言っていたんですけど。そんな状態じゃないですもんね、今回の場合ね。あの、嫁さんがもう強く言ってくれて。ほいで、まあ、聞きましたら、「とっても上手な先生よ」ってこう言ってくださったりしたもんだから、行って、あの、先生もね、あのー、「あ、じゃ、嫁さんが、言うからやりましょう」なんて、わたしをなぐさめるような感じで、「大丈夫だから、そんなつらいもんじゃないから」みたいなこと言ってね、あの、内視鏡に臨んだんですよ、ええ。だから、内視鏡のときは、までは、ほんと決心がね、一番はそれだったですね、今回。
―― 内視鏡は、こう痛いっていう話とか、何かから、どなたから。
つらいっていうか、その若いころの体験ですよね。
―― あ、そう。
絶対わたしは飲めないわと思ったの。あれはぜったい飲めないわと。
―― 別にこう誰かから聞いたというよりも、ご自身のこう感性で。
え、自分のその若いころの感性がね、いまだに続いていた。あ、ごめんなさい。そんな感じで、それが一番の(笑)。でも、それを、こう克服してまでも今回は、上手だったし、やっぱり。だから、そんなにはつらい、あの、内視鏡はつらくないです。いや、わたしが想像した以上に、あのー、よりは。
インタビュー13
- 年齢が上がってきて家族にも心配されるようになったが、自分だけは大丈夫だという気持ちがあった。何か病気はあるかもしれないと思っていたが、まさかがんになるとは思いもしなかった
- 内視鏡検査の後は、他に転移がないかをCT検査で調べ、血液検査(腫瘍マーカー)も受けて、局所的ながんと分かって手術に踏み切った
- 自覚症状は全くなく、「健康そのもの」と思っていた。たまたま受けた血液検査をきっかけに、がんが降ってわいたようにみつかった
- 内視鏡検査がとても怖かった。医者をやっている義理の娘から、「とっても上手な先生よ」と言われ、覚悟を決めて検査を受けた
- 大腸がんは70年の人生で想定外の出来事だった。自分の健康を過信せず、せめて血液検査くらいは受けておくほうがいい
- 検診車が来ていた頃は受けたこともあったが、自営業で毎日忙しかったので、積極的に受けてこなかった。元気だけが取り柄だった
- 抗がん剤が体に合わず、倦怠感と食欲不振に苦しんだ。トイレに行くのすら疲れるほどの状態だった。結局、抗がん剤をやめたところ、肝臓の方が回復し、体調も戻った