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診断時:59歳
インタビュー時:66歳(2012年12月)
東海地方在住。妻と二人暮らし。36歳のときに胃がんと診断され、手術を受けた。59歳のとき下血があり、痔だろうと思ってしばらく放っておいたが、やはり気になるので人間ドックを受診したところ入院となり、検査の結果、腸にがんが見つかる。胃がんの手術後は苦しんだが、大腸がんの手術はとても楽で術後の痛みもなかった。その後は病院で定期的に検査をしてもらい、また自分でも普段から体調の変化には注意している。
語りの内容
―― 先ほどのお話だと、大腸がんになるとは思ってもみなかったということだったんですけども、実際に確定診断を受けられたときのお気持ちというんですかね。
うーんとね、やっぱり、ものを喋りたくなくなりましたし、世の中が一瞬変わりましたね。いつもそうなんですけどね、人と話したくなくなるし、うーん、なんと言ったらいいのかな、みんな、皆さん、いろいろ聞いてみると、結構そういう人が多いんだけども、隔絶したくなるというか、誰とも会いたくなくなるし。だから、私ももう、家族以外と喋ったことないです、ずっと、その間は。手術終わってあれするまでは、ほとんど。だから、他人にも知らせてないんで、「どうなった?どうなった?」、まあ、会社関係とかね、そういう人には、事情は話してあったんですけども。まあ、見舞とかそういうことも一切来てもらわないようにして。まあ、世の中が変わるというか、精神状態がつるっと変わりますんでね。なんか、一番最初の時もそうですけど、ホテルで一生懸命聖書読んだり、仏教の本を読んだりね、そんなことばっかりしてましたね。まあ、死ぬ恐怖というよりも、なんで自分がこんなふうになるんだろうというね。なんか自分が悪いことをしたんだろうかっていうふうに思う。なにか自分が悪いことをこの世の中でたくさんやったからこうなっちゃったのかな、とかね。そんな思いが強かったですね。で、あとは、ちっちゃな子どもを抱えて、俺が死んだらどうなるんだろう、とかね。そんな心配があったんで、まあ、他の他人とはほとんど話する気もしなかったですね。誰が救ってくれるわけじゃないですからね。まあ、お医者さんは別としても。