診断時:60歳
インタビュー時:62歳(2012年5月)

東北地方在住。定年退職後農業を営んでいるが、現役時代は会社の健康診断で、退職後は町の健康診断で便潜血検査(検便)を受けてきた。2010年に肛門近くにある大腸がんが見つかり手術したが、検診で見つかったわけではない。生命保険のかけ替えの際、かかりつけ医に持っていった検診表を見て医師が気付き、内視鏡検査をしてわかった。これまで便潜血検査の結果に全くフォローがなく、自分でも判断できなかった。今は元気に過ごしているが、町の健診に対しては複雑な思いがある。

プロフィール詳細

渡辺さん(仮名)は企業で仕事をしているときは、ずっと会社の健康診断を受けてきた。メタボで注意を受けたことはあるが、便潜血検査で引っかかったことはないと思う。定年退職後は、町の健康診断を受けており、やはりメタボではあまり良い結果でなかったので、保健師から電話がかかってきていた。

実は在職中に3つの保険に入っており、退職後も継続していたが、そのうち2つを個人保険にかけ替えようと思った。2つの保険をやめ、新しい保険に入るために、近所のかかりつけ医に健康診断を受けに行った。これまでも町の健診を受けていたので、便潜血検査の結果が書かれている検診表を持参した。医師は検診表にプラス(+)の記号が3つもついていたことに驚いたようだった。「私には責任が持てない」とまで言われたが、これまでこれといった自覚症状がなかったので自分でも驚いた。たまに便に血が混じっていることはあったが、あまり気に留めていなかった。予定を変更して、すぐに内視鏡検査を受けた。大きなぼてっとしたがんを画面で見た時にはショックだった。紹介された病院に行き、もう一度内視鏡検査を受けた。やはりがんだということだったので、すぐに手術を受けた。ステージ2~3ということだったが、術後も順調に回復し、抗がん剤治療はせずに1年半元気に過ごしている。

快復が早く、今も元気なのは、趣味で続けている合唱が良い影響を与えているからだと思う。大きな声をだし、腹式呼吸の練習、言語を覚えるなど、エネルギーは使うが、その分自然に体力がついていたのではないだろうか。

いま振り返ってみて、保険のかけ替えがきっかけでがんが見つかったのは、少し複雑な気持ちである。前の保険をやめずにかけ続けていれば手術の費用は出たが、検診表を医師に見せることもなかった。町の健診には、大腸がん検診の他に胃がんの検診もあって、それにはフォローがあるようだ。だが、大腸がん検診でここまで結果が悪いのに、病院に行くように勧める文章はなく、電話もかかってこなかった。プラス(+)が多いとたくさん出血していることだと知らなかったのは、自分が無知だったせいなのだが、やはり教えてほしかった。町はがん検診を受けましょう、と受診を勧めているが、同時にこうしたフォローもなくてはいけないと思う。

私は: です。

(アンケート結果の扱いについては個人情報の取り扱いについてをご覧ください。)

認定 NPO 法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」では、一緒に活動をしてくださる方
寄付という形で活動をご支援くださる方を常時大募集しています。

ご支援
ご協力ください

モジュール一覧