診断時:60歳
インタビュー時:62歳(2012年11月)
関西地方在住。村長をしている。平成22年にS状結腸にがんが見つかり開腹手術で摘出した。それまで便潜血検査はずっと陽性だったが、10年前に受けた精密検査の結果が「異常なし」だったことから出血は痔が原因だと思い込み、以来内視鏡検査を受けなくなった。しかし、知り合いからポリープ切除の話を聞いたことからポリープの可能性を考えるようになり、近所の医院で久しぶりに内視鏡検査を受けたのが発見のきっかけとなった。術後は順調に回復し、好きだったお酒にも休肝日を設けるなど、健康に気をつけながら仕事を続けている。
プロフィール詳細
根本さん(仮名)は関西地方にある1000人ほどの村の村長をしている。20歳のころに盲腸(虫垂炎)の手術をしたが、それ以来入院したことはなく元気に過ごしてきた。便潜血検査は職場の検診(事業所検診)と任意の人間ドックの両方で受けてきた。必ずと言ってよいほど、潜血反応が出ていた。10年前に周りの人たちから、一度精密検査を受けた方が良いのでは、と言われ触診と注腸検査、そして内視鏡検査を受けた。出血はしていたが、異常なしという結果だったので、それ以来検診で便の潜血反応が出ても、痔のせいだと思って精密検査は受けてこなかった。検診の結果を説明する医師から潜血反応を指摘されても、「いや、痔ですから」とこちらが説明し自己診断していた。そのうちに、便が細くなり、軟便で、朝のお通じが1回では済まなくなってきた。
しかし、平成21年頃からトイレに行くと血がパッと出たり、何もないのに下着が汚れることがあり、便にも血が付くことも多くなってきたことから、翌年1月に痔の専門の医師をたずねた。「いぼ痔と切れ痔」と言われ薬をもらったが、一向に良くなる気配がなかった。この頃、ポリープを4カ所とった、という人の話を聞き、ポリープを疑い始めた。ポリープの手術をして細かった便が太くなった、と聞いたので、もう一度痔の病院に行き、便の細さについてたずねたところ、根本さんの便が細いのは痔のせいではない、とはっきり言われた。このことから大腸の精密検査を受けようと決意し近所の開業医にかかった。3月だった。すぐに内視鏡検査をしてもらい、がんだと診断された。「もっと早う来たら良かったな」と言われたのが、もう手遅れという意味だと思い、落胆した。10年前の精密検査のことも話したが、「そんなの化石や」と言われ、これまで自己診断してきたことを反省した。
総合病院で働く知り合いの医師に連絡し、3月中旬に入院し、手術を受けた。心配した転移はなく、最初に言われたステージⅢという数値は、ステージⅠに下がった。大きながんだったが、抗がん剤は「絶対効くというわけではない」「患者さんの選択です」と医師に言われ使用しないことにした。母と姉が抗がん剤を使ったことがあり、強い副作用を思い出したからだ。病院では色々な医療者が協力して仕事をしており、みな親切だった。医師中心から患者中心に変わったと感じた。
今は半年に一度の定期検診と1年に1回内視鏡検査を受けている。なぜ自分だけががんになったのだろうと悲観したこともあったが、二人にひとりはがんになる時代だ、と病気をしてから知った。病気になった頃は「がんになりました」と人前でなかなか言えなかったが、今はできるだけ多くの人に伝えていきたいと思い、村報のコラムにも闘病経験を書いたところである。がん検診受診率の高い村で何度か表彰されたこともあるので、今後も啓発活動を続けていきたいと思っている。
しかし、平成21年頃からトイレに行くと血がパッと出たり、何もないのに下着が汚れることがあり、便にも血が付くことも多くなってきたことから、翌年1月に痔の専門の医師をたずねた。「いぼ痔と切れ痔」と言われ薬をもらったが、一向に良くなる気配がなかった。この頃、ポリープを4カ所とった、という人の話を聞き、ポリープを疑い始めた。ポリープの手術をして細かった便が太くなった、と聞いたので、もう一度痔の病院に行き、便の細さについてたずねたところ、根本さんの便が細いのは痔のせいではない、とはっきり言われた。このことから大腸の精密検査を受けようと決意し近所の開業医にかかった。3月だった。すぐに内視鏡検査をしてもらい、がんだと診断された。「もっと早う来たら良かったな」と言われたのが、もう手遅れという意味だと思い、落胆した。10年前の精密検査のことも話したが、「そんなの化石や」と言われ、これまで自己診断してきたことを反省した。
総合病院で働く知り合いの医師に連絡し、3月中旬に入院し、手術を受けた。心配した転移はなく、最初に言われたステージⅢという数値は、ステージⅠに下がった。大きながんだったが、抗がん剤は「絶対効くというわけではない」「患者さんの選択です」と医師に言われ使用しないことにした。母と姉が抗がん剤を使ったことがあり、強い副作用を思い出したからだ。病院では色々な医療者が協力して仕事をしており、みな親切だった。医師中心から患者中心に変わったと感じた。
今は半年に一度の定期検診と1年に1回内視鏡検査を受けている。なぜ自分だけががんになったのだろうと悲観したこともあったが、二人にひとりはがんになる時代だ、と病気をしてから知った。病気になった頃は「がんになりました」と人前でなかなか言えなかったが、今はできるだけ多くの人に伝えていきたいと思い、村報のコラムにも闘病経験を書いたところである。がん検診受診率の高い村で何度か表彰されたこともあるので、今後も啓発活動を続けていきたいと思っている。
インタビュー24
- 便が細くなる、軟便になるということ以外、おかしいところはどこもなかった
- 潜血反応の結果が出ても痔だと思っているのでそれほど真剣に受け止めなかった。どうせ引っかかると思って検体を出さなかったこともある
- 診療所の医師は2年に1回交替するので継続してチェックできない状況だったが、まず自分自身が真剣に受け止めなかったため、診断が遅れたのだと思う
- 開業医のところに職場で受けた便潜血検査の結果を持っていったところ、すぐに精密検査が行われた。病理検査をするまでもなくがんだと言われた
- 便潜血検査は毎年陽性だったが、痔による出血だと思っていた。別にがんが怖いということではなく、まさか自分ががんになるとは思っていなかった
- 便が細くなってすっきり出ないため、外出前には何度もトイレに行っていたが、妻からは精神的なものだと言われ、自分でも納得していた
- 市販薬では改善しないので痔の専門医にかかったら、いぼ痔と切れ痔と言われ、座薬を出されたが、症状は改善しなかった
- 便が薬指くらいの太さになっており、知人がポリープ切除する前は便が細かったというのを聞き、自分もそうかもしれないと思って、内視鏡を受けることにした
- 医師が「もっと早く来たらよかった」といったので、転移して手遅れなのかと思ったがそうではなかった。しかし、自分の不注意で発見が遅れたことで、家族に迷惑をかけた
- 術前のCT検査で肺や肝臓への転移はないとわかっていたが、手術の結果、腫瘍が大腸壁を破ってリンパ節に転移している可能性が出てきて、結果が出るまで不安だった
- 抗がん剤を使うかどうか医師に聞かれたが、副作用もあるし、使わなくても構わないのであればやらないと決めた。今のところ転移もなく順調に来ている