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診断時:55歳
インタビュー時:59歳(2013年1月)
首都圏在住。以前は公務員、現在は無職である。2008年7月に直腸がんと診断され、リンパ節への転移、多発性の肝転移もあった。便潜血検査は、職場の健康診断のオプションだったので特に付けることはなかった。発見のきっかけは排便時の出血で、すぐにかかりつけ医に行き総合病院を紹介された。それまでは、便通も普通で、下血もなかった。これまで7回手術を行い、抗がん剤治療を続けてきた。現在は、食生活に気を配りながらマイペースで暮らしている。
語りの内容
わたしは、その、その、ま、病気をね、告げられたときに、動揺っていうのはなかったんですよね。ただ、ただ、そのいわゆるやっかいな病気になってしまったなあっていうのはありました。ですが、そのー、ま、かなり進行して、ま、リンパ節にも、えーと、そうですね、肝臓にも転移していましたから、ま、深刻なのかどうか分かりませんが、要するに告知を受けますよね。告知されて、「あなたがんですよ」って言われて、だけど、その日を境にして、わたしの体調がどうこうっていうことではなかったわけですよね。ですから、うーん、わたしとしては、ま、日常が、まあ、つらくもなく、まあ、人、人、人並みに食べて人並みに笑い人並みに話し、…ていましたね。ですから、うん、そんなに、うーん、危機感はなかったっていうのが、今になってみれば、ちょっと、ちょっと、ちょっとやばかったかなとは思いますけども、ええ。
―― で、あのー、内視鏡の、その、ま、映像といいますか、あのー、それもご覧になりました。
あ、見ました、見ました、はい、はい、はい。
―― そのときに、もう、それまでは、ほとんど自覚症状がなかったわけですよね。
そうですね。
―― 転移した腫瘍が、どんな。
ま、きれいに並んでいたなって。
―― きれいに並んでいた。
ええ、きれいに並んでいた。ええ、ま、行儀よく、ずいぶん丁寧に並んでいるもんだなあと。ええ、だから、そうですね、そういう一連の、そういう、証拠ですよね、証拠を突きつけられても、「そうですか」しか言えないですよね。「あ、そうですか」としか。で、これから、何が始まるのか分かりませんが、とりあえず、現実は、現在はこうなんだなということで、で、つらくもないから、うーん、その日を境に、わたしの事情は、状態が変わったとか事情が変わったとか、しん、いろいろ変わったとかっていうことはなかったですね、ええ。
インタビュー29
- 職場の健康診断の中で便潜血検査は任意だった。上層部からの指示は特になかったので、受けなかった
- 血便が続いたため総合病院の救急外来に行ったところ、肛門の触診と血液検査で入院するように言われ、入院後の検査でがんが確定した
- 入院してCT検査と内視鏡検査を受けたが、CTを撮った時点で肝臓にも転移していたことがわかり、医療スタッフの空気が変わって避けられているように感じた
- 進行がんで肝臓にも転移があると告げられたが、体調が辛いわけでもなく、人並みの生活を送っていたので、告知されても「そうですか」と思っただけで、危機感はなかった
- 2人に1人ががんになり3人に1人が命を落とす時代だが、自分ががんになると皆すごくびっくりする。国や自治体がもっとがん教育に力を入れるべきだ
- がん検診は有給休暇を使ってでも受けるべきだと思う。国や地方自治体はもっとがん検診について面倒をみるべきだと思う