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診断時:74歳
インタビュー時:77歳(2011年11月)

首都圏在住。以前は会社の健康診断を受けており、便潜血検査(検便)で異常が指摘されたことはなかった。リタイアしてから地域の健診の案内が来ていたが、受けたことはない。けれども、突然の腹痛から入院、大腸がんだとわかって手術をした。1か月半にわたる入院生活は長く感じられ、また病院で受けた腸の中を見る検査はとても辛い経験だった。今は特に症状はなく、40日に一度病院で血液やX線の検査を受け、食生活に気をつけて生活している。

語りの内容

―― じゃ、今は特に抗がん剤の治療なんかは、してらっしゃらない?

私、あの、拒否したんです。

―― あ、そうですか。

抗がん剤は。

―― あ、そうですか。

ええ。髪の毛が抜けるから、抜けるよと言われたから、私、坊主になりたくないから拒否しちゃったんです。じゃ、知らない、そしたら、言われたですよ、知らないよ、ちゃんとそうやってもし髪の毛、何とかってもしなった場合に、転移した場合に知らないよって叱られたですよね。でも、私、拒否しちゃったですね。髪の毛が抜けるのはやだっつってね。それが最大のわがままじゃなかったですかね、私の。

―― ああ。拒否された理由は髪の毛だけですか。あと、吐き気が来るとかいろいろ言われ…?

髪の毛が抜けるっていうことは、だけ言われた。だけだか、ほかのことは言われなかったからね。

―― あ、そうですか。

これ、この薬を使うと髪の毛が抜けるということ。だから、私、使わなくてもいいということに。

―― ああ、なるほど。

何か普通の人は、何か、その、抗がん剤を使うらしいですね。でも、私は、要らないって。

―― と、まあ、今度もしかしたら再発や転移はするかもしれないという思いはご自身の中に。

だからね、それを使わなかったから髪の毛が今あるんじゃないかなと思いますよね。

―― ああ。その、不安とかね、まあ、皆さん、きっとその不安にある意味こう、負けてね、抗がん剤つらいかもしれないとか思っても使われる方もいらっしゃると思うんですけど、そういったご不安はありますか。

ねえ。あの。

―― 転移や再発するかもって。

ねえ。病院の待合室でその手術した人を、と、こう、隣に座ったりすると、みんな髪の毛がさ、みんななくなってるでしょう。それ見ると、私は、やらなくてよかったなと思いますね。

―― じゃあ、もし、ま、説明があったと思いますけれども、あの、転移や再発の、もう一回ね、大腸がんになっちゃうというような確率が高い、くなってるっていうことで不安になるっていうことは。

うん、それは不安はありましたですよ。

―― ああ。あるけど、それよりも。

髪のほう、あったほうがいいと思ったですね。…でも、全然やらないってことはなかったですよ。あれ、さん、うーんと、3本か4本ってんですか、普通の人は何カ月ってやるでしょう。あれ、何か、3本ぐらいだったですかね、私。

―― それは、手術が終わって間もなく始められて。

終わって退院、退院するとき、そういうふうに説明を聞いたから、どうする?と言われたから。髪の毛いっぱいあったほうがいいと。のほうに選んだね。

私は: です。

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