語りの内容
私の息子は12歳、そう、当時は11歳でしたね、彼には本当のことを話しました。彼は利口な子で私たちが隠し事をしてもすぐわかってしまい、憤慨するのです。私自身、母からは手遅れになるまでどれほど病気が悪いのか知らされず、そのことで憤慨したというような経験がありました。それで、私は彼に対しても率直に、誠実に話せば、はじめからきちんと受け入れてくれると思ったし、隠し立てして後から非難されるということもないと思ったのです。実際、彼は素晴らしかったわ。すぐにわかってくれて、「良くなるためなら何でもする」と言ってくれました。そして普段はしなかったような家のこともいろいろ手伝ってくれました。彼は怖がっていて、私の目をじっと見つめながら「ママ、死んでしまうの?」って言ったときは辛かったわ。私は「そうよ、でも今ではないわ」って答えたの。誰でもいつかは死ぬし、ずっと生きている人なんていない。それが人生なのですもの。彼は知る必要があったし、私も知らせることが必要だと思いました。知ることが、知らせないよりも、彼に悪影響を及ぼすとは思いませんでしたから。