診断時:46歳
インタビュー時:57歳(2008年7月)
東北地方在住。1997年初夏、右乳がんとなり、乳房温存手術+リンパ節郭清(リンパ節転移なし)、放射線療法を25回受けた。術後ホルモン療法は肝機能悪化で中止。 当時、夫、大学生と高校生の息子と4人暮らし。小学校教員をしていたが、退職した。
語りの内容
あと、夫婦生活のほうは、何て言うんでしょうかね、私自身が、何か触れられるというか、触られるのが怖いというか、痛いとか何とかじゃなくって、何となくこう傷口が…壊れてしまうんじゃないかというのは(笑)おかしいんですけれども、何となくこう不安感があって、なかなか。だから、積極的にはあまり好まないというかな、前よりはずっと回数がこう減ってしまって、主人にもきっとそういう思いが伝わっていったんだと思います。手術したときは46~47ぐらいだった、46? 47になる年だったような気がしますね。だから、そんなことで、自然に、だんだんに結局、減っていったというか、少なくなっていったというか、主人としてはやっぱり不満なところもあったのかもしれませんが、それは表に出しませんでした。
夫婦生活のことで話し忘れたことがあります。
ホルモン治療で女性ホルモンをシャットアウトしているため、夫とセックスしても、まったく感じることがなかったです。何か自分が人形にでもなったような、無機質な物体にでもなったような感じで、非常に驚きました。そして、セックスが無意味に感じられ、愛情があっても、一人で愕然としたのを覚えています。
主人には、このことは伝えていません。しかし、40代前半の患者会の仲間に、夫婦生活のことを相談されたときに、私の経験を話したら、同じ経験をしているんだということがわかって安心したという返事がかえってきました。
この“感じなさ”は、皮下注射のホルモン治療をしている患者でないと理解できないと思います。若い人にとってはつらいことではないかと思っています。
インタビュー20
- 触診で異常なしと言われたが、しこりを感じたことを伝えると、超音波検査、細胞診をすることになり、がんが見つかった
- 再発防止に効果があると言われたが、肝機能が悪くなり、自分からホルモン療法を止めると言った
- 4分の1切除ということで、丸いケーキを4分の1に切ったようになるのかと不安に思い、最初は傷を見るのが恐かったが、乳房は少女のような感じでとてもきれいだった
- リンパ液を注射で抜くといわれて、痛いのではないかと思ったが、術後の感覚麻痺で針を刺しても痛くなかった
- 術後は冷気に触れると筋肉がきゅっと締まるような感じがしたり、硬いものを切るときに肩に響いたりして腕が苦しくなる
- 腕の太さが左右で1センチから1.5センチ違っていて、半袖を着たときに片方だけ袖口がきつく当たる
- 術後の後遺症で手・腕の感覚異常やリンパ浮腫があったため、腕を使う作業の多い教員の仕事で、周りに迷惑をかけるのが心苦しくて退職を決めた
- 傷口が壊れてしまいそうで触れられるのが怖くて、自然と回数が減った。ホルモン療法中の性生活では自分が無機質な物体にでもなったような感じなさがあり、愕然とした(テキストのみ)