ここでは、どのように乳がんの徴候に気づいたか、受診に至るまでどのように感じたり、考えて行動したか、について体験者の声を紹介しています。
乳がんが見つかった経緯には、自分自身でしこりなどの症状に気づいた場合と、他者に指摘された場合、検診などで異常を指摘された場合がありました。(検診については、乳がん検診に関連する内容が掲載されています)
このように乳がんの症状として、しこりがよく知られていますが、しこりと一口に言っても、硬いという人も柔らかいと表現する人もいて、サイズや形、場所もさまざまでした。そして、それが異常なものかどうか判断することは難しく、授乳中の女性たちは乳腺炎やお乳が詰まっている状態との区別に悩んだと話していました。
しこり以外に、インタビュー協力者がおかしいな?と感じた症状は、乳首からの出血や分泌物、乳房の痛み、乳房にえくぼができる、乳首の位置が変わるなどの外見の変化、乳房にできた水泡や痒み、治りにくいあせもやかさぶたなどがありました。また、しこりとして感じられず、乳房全体が硬い、皮膚が一部硬い感じ、ガチガチに筋肉が固まっている感じと表現した人たちもいました。乳がん自体は痛みを伴わないと言われていますが、乳房に痛みを感じたと話す人は少なくありませんでした。中には痛みどめを必要としたと語る人もいました。
あまり知られていませんが、男性でも乳がんになります。乳がん全体の1%未満という少ない数ですが、私たちのインタビューでも男性乳がんの体験者がいました。彼らはまさか男性が乳がんになるとは思っておらず、すぐに受診に結びつかなかったそうです。また、息子が乳がんにかかった男性の知人がいて受診するよう勧めてくれたという話をした女性もいました。
症状に気づいてから、病院に行くまでの期間は体験者によって異なり、異常を感じた当日に放っておくのが怖くてすぐに受診した人がいる反面、「ひょっとして?」と思いながらも怖くてなかなか受診できなかった人もいました。
また、すぐに病院に行かず放っておいたら、最初は小豆大だったしこりが大豆大に大きくなってしまった人や、とうとう乳房の一部が陥没してしまい発見されたときはステージが4期だったという人もいました。乳がんになりやすい年代の女性は社会においても家庭においても多忙で、異常を感じても仕事や介護などを理由に病院に行くのを後回しにしてしまったとその理由を語っていました。
現在は多くの病院で乳腺専門の外来(乳腺科や乳腺外科)が設置されています。インタビューでは、乳房に何らかの症状があって病院に行き診察を受けたが、「大丈夫でしょう」とか、「良性だから様子を見ましょう」と言われ、あとになって乳がんが見つかったと話す人たちがいました。また、何科にかかればよいかわからず、婦人科や内科で診てもらったという人たちもいました。
がん体験者の友達に相談してすぐに検査に行ったという女性は、早期発見のために自分自身で体の異常に気づき、少しでもおかしいと思ったら、早く受診することが大切だと語っていました。
2018年9月更新
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