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診断時:55歳
インタビュー時:55歳(2008年5月)
東海地方在住。2007年11月に健康診断がきっかけで、左乳がんの診断を受け、乳房温存療法+センチネルリンパ節生検、翌年1月より、抗がん剤治療を6クール受けた。今後、放射線療法とホルモン療法の予定。夫と2人暮らし。結婚した娘が2人いる。診断時は無職。
語りの内容
で、私も「インターネットで調べたら、これってがんになってるけど、がんなんでしょうね」って言ったら、先生も、「まあ多分そうだけど、もう一度全部調べ直すから」って言われて、もうその時点では、もう完全に、ああ、私はがん患者になってしまったんだなっていうふうに思っただけで。まあ、私はあんまりそんなふうにね、なんか深刻に考えないほうで、「あ、じゃ、今度は治療しなくっちゃ」っていうふうに。「ああ、じゃ、病気だから治さなきゃ」っていう、いっつも前向きにしか。でも、みんなね、大体誰でもそうだけど、私たちの年齢になってくると、「もう言っとってもしようがないよね」っていう感じで、「もう笑っとるしかしようがない」とか(笑)、「治していくしか、まあ、前向かなしようがない」とか、そういう人たちが多いのね。うん。だから、親の介護してる人でも、本当にたまに電話すると、「おじいさん、元気」とか言うと、「まだ元気よ」みたいな(笑)。「いろいろあってね」って言っても、「もう笑っとるしかないんだわ」っていう。それと一緒で、うん、人間というのは、そんなにね、何か、案外他人のことの方がかわいそうだとか気の毒だなって思うけど、何でも当事者となるとそんなに何か、悲しんでるとか、落ち込んでるとか、そんな暇はないのね、やっぱり。どっちかっていうと、「ああ、じゃ、家の片付けしておかなくっちゃ」とか、「お金の計算もしとかなきゃいけない」とか、それから、もし、本当にね、自分が早く死んじゃったら、「見られちゃいけないものはとにかく処分しなくっちゃ」とか。うん、それから、だから、整理整頓しなくっちゃみたいな。そういうほうが先に入って、あと、子どもたちには、ちゃんと、何とかやれるようになるかなというのを心配というのか。
インタビュー11
- 胸の大きな人のなる病気というイメージがあり、自分には関係ないと思っていたが、たまたま受けた検診で見つかった
- がんになったのならもう仕方ない、前を向かなきゃと思った。落ち込んでいる暇はなく、すぐに入院の準備に追われた
- 抗がん剤治療中は味覚障害で何を食べても味がないので、高価なお肉も味気なく、食べる楽しみがない
- 1回目は吐き気で体重が減り、顔色も悪くなってびっくりしたが、「これが抗がん剤なんだ、悪い細胞を殺して新しい自分に再生してる」と積極的な意味で受け止めた
- 抗がん剤をして2週間後に髪の毛が抜け始め、順番に体中の毛が抜けるので、顔のうぶ毛がなくなったときは化粧のりがよかったという面もあった
- 抗がん剤で髪が抜け、今までと同じようなヘアスタイルのかつらを選んだが、あとでわかるように逆分けにした。夏のべたつきを避けたかったので、人工毛と人毛のミックスを選んだ
- 子宮体がんのリスクがあると聞いているし、これからまだつらい思いをするかと思うと、ホルモン療法をするか迷っている
- 夫が同時期にがんと診断され、治療中はお互いに助け合わなくてはならず、甘えることができなかった
- 娘の嫁ぎ先の親戚にも、病気のことを伝えた。心配してくれると同時に、触れなくてもよいところは触れないでいてくれる優しさが有り難かった