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診断時:42歳
インタビュー時:47歳(2008年2月)
近畿地方在住。2003年、乳がんと診断され、右乳房切除術、同時再建術、術後抗がん剤治療、放射線療法、ホルモン療法を受けた。2004年、肝転移。ハーセプチンとタキソールにて治療。その後、動注化学療法、ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法を受けた。現在も治療中。1人暮らし。フルタイムで仕事を続けている。
語りの内容
会社員でしたから、仕事に行くのに、タオル巻いて行くわけにはいかないので(笑)。日常生活はバンダナとかタオルとかで過ごしてたんですけれども、ウィッグは、必需品でした。
で、最初のその4万円のやつというのは、ストレートの、ちょっと赤い髪の、かわいらしいウィッグだったんですけど、「何かイメージじゃないぞ」というのがありまして、後にそのウィッグを、一つだと洗い替えがなくなってくるので、これもインターネット上で、医療用のウィッグを作って卸しているようなところを見つけたんです。それが、本当にいいのが安いんですよ。人毛とか入ってるのでも2万円ぐらいで買えちゃうし、いろんな、ケアグッズも買えるし、とっても丁寧なんです。ただ、カットがそこには付いてこないので、カット、私の場合はもう、美容師の先生に安心してお願いをできるような状態になってましたから、先生に「外で買ったかつら、買って持ってきてもいい?」って言ったら、「いいよ」って言っていただいたので。
で、インターネットの店舗で、最初は、ちょっとかわいらしいショートのやつとかを買って、美容師の先生に「今日はカットしてください」、「どっち?」って言ったら、「うーん、生頭とかつらと両方」って。あの、生の頭というか、自分の頭も、(髪は)抜けてるんですけどね、ポヤポヤポヤポヤと生えてきたり、変な状態になんですよ。象さんの子どもみたいになってて(笑)。で、少し手入れしないと、あとで生えてきたときが汚いので、両方手入れしつつ…
で、ウィッグも、最後のほうになると、何かちょっと思い切ってお姫さまかつら買ってみたりとかして。で、会社に行くのに、みんなに…。私は、仕事上で一切、隠しはしませんでした。私、悪いことしたわけじゃないし、変に隠すとさぼってるとか思われると嫌なんで、正々堂々とやろうと思って。だから、かつらも、「これ、かつらだよ」って言って、ペッてこう、横をこう上げてみて、「ほら、髪の毛、ないじゃん」とかやったら、「やめてー」ってみんなに言われてたんですけど(笑)。かつら、幾つか持ってて。で、最初、週替わりぐらいだったんですけど、(日替わりで)短い(かつら)、短い(かつら)、短い(かつら)、で、ある日突然、長いかつらをしてったら、上司に「お願いだから、心臓に悪いからやめてくれ」って言われて(笑)。「頼むから」って言われて(笑)。ちょっといたずらしてみたりとか。そうすると結構、かつらも楽しくなってきちゃって。みんな、もう知ってるから、何か「何それ?」って言われたりとか、楽しかったですよ(笑)。
インタビュー07
- 初めて会ったのに、診察時にとても親身になって言葉をかけてくれたので、この医師にその後の治療をお願いしたいと思った
- 命も治療も大事だけど、それにはお金が要るので、働きながら治療したいと医師に伝えた
- 同時再建を希望してエキスパンダーを入れたが、放射線治療が必要となり、皮膚に炎症が起きて、コヒーシブ(※)に入れ替えることができなくなった
- いろいろなウィッグを購入し、楽しんだ。治療途中でボヤボヤした髪の毛が生えてきたが、ウィッグも地毛もカットは行きつけの美容院でお願いした
- 放射線治療が終わって1ヶ月くらいしたときに、風邪をひいたような、肺が痛いような気がしてレントゲンを撮ったところ、軽い肺臓炎(※)と言われた
- ホルモン療法中は空気を吸っても太るかと思うくらいどんどん太ってきて、ホットフラッシュ(火照り)やイライラもあってしんどかった
- キノコ系の健康食品を飲んでいた時期があったが、再発したのでやめてしまった
- 診察室がいつもと違う雰囲気を感じた。逃げ延びたと思ったら捕まっちゃったというような嫌な気持ちだったが、同時に今後のことを考え始めていた
- 肝転移に対して、抗がん剤と分子標的薬の治療で一度小さくなったが、リバウンドしたため、自ら希望して動注化学療法とラジオ波治療を受けた
- 外食が多いので食べものに気をつけるより、ハーブティーを飲んだり、お風呂にゆっくり入ったり、音楽を聴いたり、猫をなでて話しかけたり、ゆったりすることを心がけている
- 検診の予約を取った時点で、上司にがんの可能性があることを伝え、その後の経過も包み隠さず伝えたことで、移動の少ないポジションを与えてもらえた
- 再発の抗がん剤治療は、仕事を休まないでできるよう、平日夜間にもやっている隣県のサテライトのクリニックに通った
- 健康保険から出る休職手当(傷病手当)が3ヶ月で切れてしまうので、抗がん剤治療と放射線照射を並行して受け、抗がん剤治療がまだ1回残っている状態で復職した
- HER2陽性だったので、再発に際してハーセプチンが使えることはわかっていたが、非常に高額なので、医師にまず費用のことを相談した
- パートナーに乳がんであること、手術痕のこと、すべて事実を伝えたが、それは気にしないと言われて、怖がっていた自分にはじめて自信ができた
- 実家の母親が、1人で療養している自分を心配して高い漢方薬を送ってくれた。母親自身が不安で誰かに話を聞いてもらいたかったのではないかと母親の心配を思った
- 友人たちがとてもいたわって力になろうとしてくれるのはありがたいが、そんなに心配しないで、と思ってしまうこともある(テキストのみ)