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診断時:48歳
インタビュー時:58歳(2008年12月)
近畿地方在住。1998年冬、右乳がんで胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術を受けた。術後5年間、抗がん剤治療とホルモン療法(内服)を受けた。術後半年ほどして、右腕の腫れに気づき、現在はリンパ浮腫に対してグローブとスリーブを着用している。当時、夫と子ども2人と母の5人暮らしで、パートをしていたが、診断後退職し、術後1年経って再開した。
語りの内容
――あの、家事、例えば、その何、包丁で何か切ったりとかそのときはどんなふうにされているんですか。
はい。あの、そのときはね、この握力が、こうしっかり、こうできないから、柔らかい物のときはしやすいですけど、硬い物のときは、これをはずして、で、ゴム手袋の薄いのとかはめて、先に、布の手袋はめてゴムの手袋をはめ、中で蒸れたらいけませんでしょう。で、ゴム手袋はめてとかってすると、何かこうお鍋とか洗っていても、あのー、こう、さわってないからよく分からないわけですよ、汚れ具合も。ときどき「素手で洗いたいわ」とか思ってはずしたりすることありますけれども。ほとんど、まあ、手袋のお世話になることになりますね。で、こんなしていたら駄目駄目と思って、またすぐに終わったらはめるんですけれども。だから、いろんな、お友達っていうか、仲間に聞くと、家事が終わってからしかはめられないとかって言う人もあるので。
最初、はめないといけないと思ったときは、もう窮屈に感じたんですよ。朝起きてすぐに、あの、グローブもはめる。そしたら、顔洗うときどうすんの?とかね。いろんなこと思ったんですけど。あの、ほんとは、朝起きてすぐにはめるのが本当でしょうけど、顔、起きてすぐ顔洗うんなら、顔すぐに洗ってから、あとからグローブはめるとか。…でいいかなとかね。何か、お手洗いに行ったら、また、グローブ新しいのに取り替えるのとか、出先だったらどうするのとかね。あの、いろんなこと先々こう考えるじゃないですか。初めてこういうのをはめると。そしたら、洗い替えが何枚いるの?とかって思ってくるので。あの、最初のころは、この今年の1月から(グローブを)はめだしたんですけれども、最初のころは、手袋、この上にはく手袋を、いっぱい用意したんですよ。で、少しドアのノブなんか持って、や、たぶん汚れているかもしれない。家のドアも汚れていますけども、表行けば余計そうですよね。そしたら、その都度、手袋をはめ替えていたんですけど、何かそれも不自然でしんどいことで、いいかーと思って。で、お手洗いとか行くときは、はずしたりするときもあれば。あと、何かそのときによっていろんなことで、替えを持っているときははずさずに入って、もう臨機応変にできるようになりましたけれども。
何かすごく利き腕、腕なのでね、あの、スリーブも最初そうだったなって、最初はスリーブはめたときに、どうすんの、こんななったらって。やっぱ、今まで便利やったことが不便なったことばっかり、数えあげた、ごめんなさい、数えあげんたんですけど。あの、グローブは、わりと立ち直りは早かったですけど。不便は不便です。
でも、圧迫していることで、圧迫しながら運動することが、一番いいっていうふうに聞いているんで。あの、1度膨らんでしまったら元に戻らない風船と一緒というふうに聞いていますので。なるべく圧迫を忘れないで。だから、スリーブは絶対に忘れたことはないので。体の調子が悪いときだけ、はずしていますけれども、寝るときと。それ以外は、いつもつけていますし。まあ、暑いときは、家の中では半袖着ていても表出るときは、上着1枚はおるっていうようにしていますので。予防になるかなとは思っていますけれども。
インタビュー44
- しこりを見つけたとき、良性かと思っていたが、息子が男性で乳がんになった知人の話を知っていて、「ちゃんと診てもらわないと怖いよ」と真面目な顔で受診を勧めてくれた
- 退院して間もなく昼寝後に腫れに気づき、翌日になると一旦引くが、1ヶ月半ほどして、左右の太さの違いを感じてきた。偶然、新聞で患者会を知り、そこでリンパ浮腫だとわかった
- 蜂窩織炎には、数回なった。最初わからず風邪だと思い、近所の医者で抗生物質をもらって難を逃れたこともあった
- グローブをはめて行なう炊事、洗顔、トイレは不便だが、はめて圧迫しながら運動するとよいので夜間以外は常時着用している
- 今年からスリーブ、グローブの購入に保険が利くようになったが、2枚で2万円ほどする。消耗品で替えも必要だからお金がかかる
- 蜂窩織炎がいつ起こるかとか考えると人と約束できない。不自由な体になったが、ストレスをためない程度に注意してやっていきたい
- 女性ホルモン薬と抗がん剤を飲んでいた。副作用のせいか霧がかかったようにぼんやりして反応が鈍くなり、医師に勧められ仕事を始めることにした
- 術式について女性が乳房を失うことは後から響くから慎重に考えるよう、再三医師に言われた。しかし、手術後にやっとこういうことだったんだとわかった