ここでは、家族、医療者、同病者以外の周囲の人(友人・職場の人・近所の人など)との関わりについてご紹介します。痛みは、周囲の人との関係に大きく影響していました。人と関わることでかえって傷つくことがあり、そのため周囲の人と距離ができてしまうという語りが多くありました。そして周囲の人と関わるときには相手への気遣いからあえて痛みを見せないように関わる場合もありました。また痛みによってできないことを伝えて助けてもらったり、痛みをもつありのままの自分を受け入れて関わってくれる人の存在についても語られています。
周囲の人と距離ができる
治らない痛みがあるということ自体、周囲の人が理解できるわけがないと、最初から人には言うことができず、人と距離をおいたと語った人がいました。また痛みがあることを伝えても、自分が思うような理解はえられず、かえって失望したり、傷ついてしまったりして、以前と同じように誘いにのることができないために周囲の人と距離をとることも多いようです。また周囲の人もどのように接したらよいのかわからないため、距離ができる場合もあるようでした。
痛みを見せないように関わる
人と関わるうえで、痛みがあっても相手に不快な思いをさせないように相手を気遣い、あえて痛みを見せないようにしていると語った人がいました。またそのように痛みを見せないことは自分が人と関わりながら痛みとともに生きていくために必要なことであり、痛くても楽しい話をするように心がけていると語った人もいました。しかし痛みが非常に強いときには、人を気遣うことができないので、一人にしてもらい、ほっておいてもらったほうがよいと語った人もいました。
できないことは助けてもらう
痛みのために日常生活や職場で人の手助けが必要となる状況がありました。最初は、自分のできないことを人に頼むことに抵抗があった人も、最初から伝えることで代わりにやってもらうことができたと語っています。また周囲の人が、手助けが必要なところを具体的に見極め、声をかけてくれるためその援助を快く受け入れている方もいました。痛みを理解しようとただ寄り添うよりも痛みによってできないところを具体的に助けてもらうほうがよいと語った人もいました。
痛みのある自分を受け入れてくれる
自分の感じている痛みをすべて理解したり共有することはできないが、痛みのある自分をありのまま受け入れて、つきあってくれる人の存在に感謝しているという語りがありました。
2018年10月公開
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