※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
インタビュー時:55歳(2016年8月)
疼痛期間:14 年
診断名:線維筋痛症。
近畿在住の女性。41歳ごろより職場のストレス、突き指などがきっかけで肩、腕や指先の痛みが出た。45歳からは痛みが全身に広がり、48歳でやっと線維筋痛症と病名がついた。鎮痛剤や漢方薬などは効果がなかったため、現在は通院していない。24時間常時続く痛みはあるが、家事全般を夫に担ってもらい、激痛があるときは体を休めて、日常生活を送っている。人前で歌ったり体験談を話したりするなどして痛みを忘れられる時間を作っている。
語りの内容
その行く先々でね、レントゲンを撮らされるんですよ、診断ができないからということで。で、ほかの病院で、あの、もらったレントゲンの写真を持っていくんですが、「ここではもう1枚撮ってもらわないと困るんです」っておっしゃるんですね。で、看護師さんには相談するんですよ。「何度もレントゲン撮ってるから、ちょっと体にも悪影響なんじゃないですか」って。「いや、大丈夫ですよ。太陽に当たっているのと同じぐらいのあれだから大丈夫ですよ」って、軽くおっしゃるんですよね。もうちょっと考えてほしいですよね、と思いました。
―― 何かそういう自分のお気持ちとか、どうしてそういうふうに先生が言ってきたんだろうとか、そういうのを何かぶつけるというか、相談する場面というはなかったんですか。
全くないですね。なかったですね。できませんでした。あの、やっぱり患者だからな。やっぱりここで嫌われてしまうとほかへ行ってくれって、おそらく言われると思ったからですね。そのころは何も言えませんでしたね。もうお医者さんの前で号泣してましたもん。うん。だから、あなたは、この、まあ整形外科へ行くんですね、だから体が痛いから。「あなたは、整形外科へ行くよりも、精神科とか心療内科のほうへ行ったほうがいいんじゃないか」って、そういうふうにあっさり言ってくれはる先生もおられました。
―― そうすると行った病院は、整形外科以外に、科としては何科を回られたんでしょうか。
整形外科、内科、あと漢方薬の専門外来を回りましたね。ぐるぐる回ってました。
―― トータルすると何カ所ぐらい行かれたんで?
うーんと、病院は5、6カ所で、あとマッサージ屋さんとか接骨院だとか整骨院ありますよね。そこを合わせると十何カ所は回りましたね。
「その痛みは気のせいだよ」って言う先生もおられて。うーん。だから、線維筋痛症っていう病名にたどり着いたこと自体は、なんか奇跡のような気がしますね。それまでは、その線維筋痛症という病名が私もこの世にあるとは思ってなかって、で、それを検索してみたら、あら、これは大変な病気だわ。まあ、ある人によっては、病気ではなくて難病っていう、難病指定にはなってないんですが、難病というふうに捉えてくださるっていうか、そういう先生もおられて。うん。まさにこれは「難病」だと思っています。
インタビュー27
- 以前は線維筋痛症に対し闘おう、乗り越えようという気持ちが先走っていた。受け入れることはまだできないものの、手ごわい隣人として接していこうと思っている
- 元々歌うこと踊ることは好きだったが、人前で歌っているときに痛みを感じなかったことに気づいた
- 職場でストレスを感じていた頃、突き指をした。しっかり治さなかったので、痛みが脳の記憶に残ってしまい、肩から指先にかけて掴まれるような痛みが続いている
- 線維筋痛症という病気は脳の機能障害そのものだと思う。自分は失敗したが、体に痛みが出たとき、早く治すこと、そしてストレスに気づいて対処することが大事
- 病院を何カ所も回り、その度にレントゲンを撮った。痛みは気のせいと言われたこともあった。線維筋痛症という診断にたどり着いたのは奇跡だと思う