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インタビュー時:69歳(2015年6月)
疼痛期間:15年以上
診断名:腰椎すべり症
首都圏在住の女性。15年ほど前に受けた腰痛の特殊な治療がきっかけとなって、転げ回るような激痛に苦しむようになる。鎮痛剤やブロック注射など様々な治療法を試したが効果は得られず、5年ほど前から腰痛の治療は一切受けていない。痛みは最悪のときから1割ほどしか減っていないが、「年単位で軽減する」という医師の言葉を信じ、痛みをありのままに受け入れて日常生活を送っている。
語りの内容
やはりあまりの痛さで寝られなくなって。だから、(近くの開業医の)先生に、こうこう、こうだって申し上げましたら、「死んだらだめだからね」って、一言、言われたんです。そのときはもう逝っちゃおうかなと思ってたんですけど、たまたまその、まあ女性の年配のお医者さんだったんですけど、そう言われたんです。「死んだらだめよ」。どうもわかってたのか、わかんないですけど。はい。
―― ご自身は、死ぬなんて言葉は口には全くされてなかった。
そうですね、やっぱりね。死んじゃだめなんだと、はい。それは、もう家族には一言も言ってませんですけどもね、そういうことは。はい。
―― そういうふうになるまでに、その、七転八倒して、本当に命を絶ちたいというぐらいの本当に苦しいっていうところから、今の思いに至るまでっていうのは何があった? 何があって、それができたのか。というと、やっぱりその先生に出会ったこととかも影響してますか。それとも、もうそれとは、それは大したことがなくて、むしろ自分の中での時間とか。
だから、自分とやっぱりその、家族に対しての責任感。責任感だよね、やはり。主人はいませんし。ですから、子どもは、まだ若かったですから、主人が亡くなったときにね。ですから、やはり責任感ですね。そんな大したことできないですけども。これで父もなく母もいなくなったら、やっぱり自分で責任放棄したっていうことになると思うんですね。はい。それだったのかもわからないですね。
インタビュー12
- あまりの痛さに眠れず「もう逝っちゃおうか」と思っていたとき、どうしてわかったのかかかりつけ医に「死んだらだめだからね」と言われ、家族への責任感から踏みとどまった
- 痛みは日常になっていて、痛みから逃げてはだめだと言われている。それはあきらめとも違い、ありのままを受け入れることだ
- 医師に聞いた「痛みを邪魔にしない」「痛みから逃げない」「生き生き」「明るい生活」という4つのモットーを冷蔵庫に貼って自分の目標にしている
- 痛みがなくなったらやりたかったお寺回りに「すぐ行きなさい」と勧められ、痛かったが6回に分けて回ってきた。「痛いから」と逃げずに自分の思いを実践することも必要だ
- ブロック注射は5-6年前に2回くらい、さらに10年くらい前にも数回受けているが、1回も効果はなかったので、今は腰の痛みに対して何も治療をしていない
- 転げまわるような痛みで様々な医療機関を受診したが、ブロック注射も投薬も効果がなかった。今も痛みの自覚がないのは睡眠薬を飲んで寝ているときだけだ
- どこの病院に行っても検査すると、大抵すべり症と言われるが、このくらいのすべり症で、そんなに痛いのか?と言われるので、痛みの本当の原因かどうかわからない
- 様々な医療機関を受診したが薬は効果がなく、痛みの専門病院で運動や認知行動療法を含む3ヶ月のプログラムを受けた。痛みはあるが年単位で杖なしで歩ける程度に回復した
- 両親の教育により自分は非常に我慢強いと思う。友人と会っても暗い顔を見せないように努力している
- 死んだ方が楽と思うぐらいの痛みでも、顔や態度に出さないので「歩いて来れるんだったら来なくてもいい」と言われた。親身になってくれた医師は1割程度に過ぎない