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インタビュー時:41歳(2015年8月)
疼痛期間:7年
診断名:慢性疼痛障害。
首都圏在住の女性。34歳の時、子宮内膜症の内服治療を中断したころから、左下腹部の痛みが強くなり、生理周期に関係なく左臀部から左下肢の付け根、足の裏に広がった。整形外科や神経内科で様々な検査を受けたが診断がつかなかった。現在、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)*という心理治療を受けていて、飲み薬やブロック注射等でよくならなかった痛みが、徐々に和らいできている。
*EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)は、心理療法の一つと言われています。
語りの内容
いや、私は…、何で自分だったんだろうって、ずっと考えてて。何で病気――まあ病気と言えるかわからないですけど、まあ例えば診断名が付くならその疼痛という病気だったとして、何でその病気は私を選んだんだろうということはもう常日ごろ考えていて。もう自分じゃなきゃいけなかった理由って何だろうって、それを今も正直考えているんですけど。……うん、……そうですね。
だから、逆に、今回こういうこと(インタビューで語ること)をできるというのを新聞記事で見かけて、自分と同じような人に…、何かもうちょっとでも力になれることがあるのであれば、で、自分が話すことで、な、何かしらの力になるのであれば、それができればそこで初めて自分が、自分が病気に選ばれてしまった意味というのはそこにあるかなっていうふうに思います。
…でも、そういうふうに無理やり思おうとしているのかもしれなくて、まあ正直言えば、何でだろう、何で自分だったんだろう…って思いますね。最初に痛みが起こってから、もう7、8年ぐらいなんですけど、正直、女性としては一番いい時期。30代の初めとかって一番いい時期だと思うんですけど。その時期を、やりたいこともできず、行きたいところにも行けず、まあそれで結婚前は――結婚前はというか、結婚してからかな。あの、好きな人と別れなくちゃいけなくなった理由にもなったりしたので。まあ正直、女性が一番いろんなことを謳歌(おうか)できる時期を、病気で過ごさなきゃいけなかった理由って何だろうっていうのは今でも思います。
インタビュー16
- 何で女性として一番いい時期に自分が病気に選ばれてしまったのか。インタビューに協力するのも、病気に選ばれた意味がそこにあると思いたいからかもしれない(音声のみ)
- ひとり立ちできず両親に経済的負担をかけていることへの心理的負担が大きくなっている
- どんな薬を飲んでも痛みは軽減されなかったが、EMDR*という心理療法を受けて初めて変化を感じた。今は薬は睡眠導入剤以外服用していない(音声のみ)
- 大学病院でも異常が見つからず、うちではどうにもできないと言われ、最後にかかったクリニックでの検査も異常なく、「慢性疼痛障害」というグレーゾーンの病名がついた
- 現在、EMDRによる治療を受けている途中。記憶を1つ処理した後に、痛みの感じ方が変わったので効果を感じる一方、副作用のような症状も出ている (音声のみ)
- EMDR※は脳に刻まれたトラウマ記憶が症状の根本にある前提で、指の動きに合わせて目を動かし、トラウマ記憶を想い出すと記憶の再処理がはかれる、と聞いている
- 検査を受けても診断がつかないと、医師に「悪いところはないので治療の必要はない」と言われたり、足の痙攣を「わざとやっているの?」と疑われたりして精神的に傷ついた
- 診断がつかない患者に冷たい医療機関が多い中で、今の主治医は「絶対に諦めない」と言ってくれる。治療による効果はあまり感じられないが、その心強い言葉に支えられている
- 高名な中国の鍼(はり)の先生にかかり、漢方も処方してもらったときには、1年間で300万円かかった。杖なしで歩けるようにはなったが、痛みがなくなるということはなかった