※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
インタビュー時:72歳(2016年4月)
疼痛期間:3年半
診断名:開胸術後疼痛症候群
首都圏在住の女性。娘と息子は自立しており、1人暮らし。2012年秋、心臓弁膜症で開胸手術を受けたが、術後,縦隔洞炎を合併した。再開胸し,膿を出し、一週間後に傷を閉じた。以後、胸に鉛が入ったような硬くて重たい痛みが続いている。2年たって知人の紹介でペインクリニック科を受診し内服薬や神経ブロック、レーザー療法を試したが、効果なかった。今も痛みが続いているが,痛みに対する治療はせず,睡眠薬だけもらっている。生活を工夫し積極的に気分転換しながら日々を過ごしている。※急性縦隔洞炎:縦隔(じゅうかく)とは、胸部の左右肺と胸椎、胸骨に囲まれた部分を指します。急性縦隔洞炎は心臓や大血管などの手術後の合併症の一つです。
語りの内容
―― 患者会とかですね、あの、まあ痛みっていうところでいろいろ情報交換しているようなところに、あの、連絡してみたりとかって、そういうことはなかったですか。
そういうことはないですし、あの、率直に言って、私、行くのが面倒くさいんですね。お医者さんだって面倒くさいし。それからやっぱり痛い胸を抱えて、あの、外出するというのが、結構しんどいんですね。私は、1つの趣味の会みたいのがあって、そこはもう行き慣れてるところだし、自分の行ける交通範囲、交通量の範囲のところで行っていますから、そこは必ず行くけれど、そのほかに、行くところは増やしたくないし。あんまりそういう、例えばアルコール依存症の会とか、そういうのも聞いてても、自分がなったとしても、多分行かないと思うんです。ちょっとそういうところに、友達が、旦那さんがアルコールの依存症で行ってて、そういう会があるってことも知ってるんですけれど、私は、ちょっとそういう会は、苦手なんですよね。それとこういう痛い思いしてね、電車に乗ったりなんかして、ほかのところへ行くっていうのは、もう今あったとしても行かないですね。
でも、痛くても外出予定があるときは、私は必ず行くっていう。やるとなったら必ず行くっていうのが(笑)昔からあるから、リポビタンなんか、ドリンクみたいのを1本飲んで、ちょっと気持ちが明るくというか、軽くなったときにもう今のうちに出ちゃおうとかやって、対処しているんですけどね。
インタビュー23
- 医師から「あなたの老いがそのうち追いついていくから」と言われ、この痛みが永久に続くのかとショックを受けたが、今では「痛みが消える」ということは期待していない
- 痛い胸を抱えて外出するのは結構しんどいので患者会にも参加していないが、痛くても外出予定があるときは、ドリンク剤を飲んで気分を明るくして必ず行くようにしている
- 以前から好きだった英語のゲームや川柳を続けることで前向きに楽しみをみつけようとしている
- 開胸術後、麻酔から目が覚めた時に胸が痛くて、傷が治れば治ると思っていたが、いつまで経っても痛みは消えず、2年経過後ペイン科に行ったが、結局治らず、今に至る
- ペインクリニックの医師に(開胸術後疼痛症候群のような)固定した痛みには効かないと言われた。痛みに関しては栄養補助ドリンクを飲んで気晴らしするくらいにしている