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インタビュー時:57歳(2017年5月)
疼痛期間:4年
診断名:線維筋痛症の疑い
首都圏在住の女性。2013年1月頃から、両方の手が石のようにこわばって痛みとしびれを感じるようになった。最初に受診した整形外科では骨などの異常はなく、線維筋痛症の疑いで大学病院の精神科を紹介された。検査でリウマチなどの他の病気の可能性は否定されたが、3度目の受診で突然治験参加を打診されたことに不信感を抱いて通院をやめ、以来医療機関は受診していない。鍼灸や整体でも改善は見られなかったが、今は痛みと折り合いをつけながらやっていこうと思っている。
語りの内容
――その痛みは、あの、ご自身のお仕事にはどういうふうに影響がありましたか。ちょっとお仕事のことも差し支えない範囲でお話いただいて。
はい、はい。えー、翻訳・通訳で、主に翻訳の仕事のほうが多いんですけれども。まあ締め切りがある仕事なので(笑)、締め切りに間に合わさなければいけないというのはありますけど…。やはりこう、で、締め切りがあれば締め切りには間に合わせますけれども、通訳もやっているときは…やれるんですけれども……。翻訳なんかをやってて、こう、どうしても自分がもっと集中したいのに集中できないというのは、どうしても…、ありましたね。あとは、その痛みがあって、ひどいときにその夜寝られないとか、そういうときは疲れが残るので。そういう意味では、やはりこう自分が…、もっとやりたいリズムでできないなというのは、やはりありますね。
あの、痛み…、その一日中、痛みを意識しているわけではないし、痛みのことをずっと考えているわけではないんですけれども、おそらく知らず知らず気にしているときがあるので。時々あの、例えば出かけたときなんかでも、あの、子どもが、「ねえ、また手さすってるよ」って言ったりするんですね。だから、自分で意識してないんですけども、やはり手の感覚がおかしいので、知らず知らず、こう手を撫でているときがかなりあるらしくて。自分自身としては、その痛みのせいで集中できないとか、痛みのせいで疲れてるというふうには一々考えないんですけども、おそらく自分で意識しないでいても、どこかこう、手が言うことを聞いてくれてない部分はあると思います。
――その痛みがあるから集中できないっていうこととは別に、その、物理的にというか、例えばペンが持てないとか、キーボードが打てないとかそういうことはないんですか。
私はそこまではいかないんですけども。あの、朝起きたときに、朝起きて、すぐやれと言われたら、あの、難しいかなと思うんですけれども。そのひどく、その石のようにこわばって痺れているときは、きついかなとも思いますけども。朝起きて、いろいろ動いているうちに、まあ血がもう少し通ってくると、そのこわばり・痺れ・痛みが少し和らぐので、そのキーボードを打つ時間に――のころには、キーボードを打つとか、あの、ペンを持つということが難しかったということはないんですけども。
インタビュー41
- この痛みはすぐになくなるものではないとわかるまで2年位かかった。それからは痛みを追い出すのではなく、痛みと一緒に暮らすような発想に変わってきた
- 完全に痛みが無くなったら嬉しいがそれをゴールとするのではなく、どこかで折り合いをつけて、痛みがあっても生活を楽しめるようにしていきたい
- 痛みの感覚は自分にしか分からないので、線維筋痛症という病名にアイデンティティを見いだしておらず、患者会に行くよりも自分で生活の仕方を考えることにしている
- 知らず知らずのうちにストレスが溜まり、ある朝、手が石のように硬く痛くなった。検査で異常なく、線維筋痛症の疑いと言われたが、生活が落ち着いても痛みはあるのはなぜか
- 線維筋痛症の可能性がある。ただ怠けているわけではないとわかったのはよかったが、現状では病名にこだわる必要はないし、こだわらない方がいいかなと思う
- 痛みのため集中できなかったり、疲れで自分のリズムで翻訳の仕事ができないということがある