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インタビュー時:55歳(2016年8月)
疼痛期間:14 年
診断名:線維筋痛症。
近畿在住の女性。41歳ごろより職場のストレス、突き指などがきっかけで肩、腕や指先の痛みが出た。45歳からは痛みが全身に広がり、48歳でやっと線維筋痛症と病名がついた。鎮痛剤や漢方薬などは効果がなかったため、現在は通院していない。24時間常時続く痛みはあるが、家事全般を夫に担ってもらい、激痛があるときは体を休めて、日常生活を送っている。人前で歌ったり体験談を話したりするなどして痛みを忘れられる時間を作っている。
語りの内容
もともと、幼いころより私は歌うこととか、人前に出て、何かこう、ダンスをしたりパフォーマンスをするのが好きな子どもでしたんで、それを思い出したんですね。だったら、自分のできることをやってみようと思って、デイサービスにお電話させていただいて、歌わせてくださいと。そして、あの、デイサービスに始まり、病院内でのコンサートであったり、東北の大震災の復興コンサートや熊本地震のコンサート、そういうところにも、今、関わらせてもらって。そういうところでは自分の名前がプログラムに載るんですよ。やっぱりすごい喜ばしいことですよね。で、そういうところに思い切って勇気を出して出かけていったことで、プロのギターリストさんや、トロンボーンの奏者の方であったりお琴の演奏家の方とめぐり会えて、その方に伴奏していただいて、今ちょっと歌ったりとかさせていただいて、すごく光栄なことだと思っています。
―― どういうときが、痛みがこう取れたのに気づいたんですか。
そうですね。あの、人前に出て歌っているときに全く痛みがなかったんで、あ、これは私には合ってる。やっぱり歌うことが好きだったんだなって、あらためて思って。やっぱりもっとそういう出番がほしいと思ってます。
―― 歌っているときというのはあれですか、その、その最中に、はっと気づいたんですか。それとも終わってみて、あれ、今痛みがないっていうふうに。
そうです。歌い終わったときに、あれ、全然痛みがなかったと思ったんですね。で、誰かがピアノを弾いたときに、体が勝手に、動いてたんですね(笑)。で、「初めて来た人が、こんなに、踊れるのを見たことがない」って言われたときに、味をしめたんです(笑)しめしめと思いまして。で、勝手に体が動いて、で、これはたぶん私、幼いころにクラシックバレエを習って、あ、それが出たな、今、出たなと思いまして。歌うことももともと好きだったから、それをもう合わさると、ドカンと行くんですわ(笑)。で、これは私には、何よりも、もう代えがたい、素晴らしいものだと思って。だから、何かに夢中になるということはいいことだなと。どんな病気の方にとってもそうだと思うんですが、夢中になれること、集中できること、それがあるっていうことはとてもいいことだと本当に思います。
インタビュー27
- 以前は線維筋痛症に対し闘おう、乗り越えようという気持ちが先走っていた。受け入れることはまだできないものの、手ごわい隣人として接していこうと思っている
- 元々歌うこと踊ることは好きだったが、人前で歌っているときに痛みを感じなかったことに気づいた
- 職場でストレスを感じていた頃、突き指をした。しっかり治さなかったので、痛みが脳の記憶に残ってしまい、肩から指先にかけて掴まれるような痛みが続いている
- 線維筋痛症という病気は脳の機能障害そのものだと思う。自分は失敗したが、体に痛みが出たとき、早く治すこと、そしてストレスに気づいて対処することが大事
- 病院を何カ所も回り、その度にレントゲンを撮った。痛みは気のせいと言われたこともあった。線維筋痛症という診断にたどり着いたのは奇跡だと思う