インタビュー時年齢:51歳(2014年3月)・女性
慢性骨髄性白血病の治療薬の治験(詳細不明)への参加に同意したが、投与開始前に中止。
首都圏在住。2009年に慢性骨髄性白血病と診断され、既存薬を服薬していたが合わず、休薬中にセカンドオピニオンを聞きに訪ねた病院で、治験の話を紹介された。薬が効いた場合は治験が終わっても優先的に使わせてもらえるという点にひかれ、迷いながらも参加を承諾。事前検査を受けている期間中、副作用に関する疑問を医師に質問したところ、説明もなく、治験に参加しなくてよいと言われ、参加を中止。
プロフィール詳細
東條さん(仮名)さんは、2009年9月に慢性骨髄性白血病と診断された。既存薬を2週間ほど服用していたが、強い副作用が出て服薬を中断した。通っていた病院の対応に不安があったため、休薬中にセカンドオピニオンを受けに別の病院にかかったところ、そこで診察をした医師は既存の治療方法の話はほとんどせずに、治験の話を詳しく説明し始めた。その説明によれば、休薬した既存薬が合わない場合、残っている既存薬は2つで、あとは骨髄移植しかないということだった。その話をした上で、現在治験中のいい薬があること、安全性もかなり確立されている治験薬であること、被験者の枠に空きがあること、2つの既存薬を服用するとその治験には参加できなくなってしまうことなどを聞いた。治験に参加しなかったとすると治療薬の選択肢が2つしかないということがとても怖くなった。治験の話を聞いた時は、この医師が製薬会社のセールスマンであるかのような印象を受けた。
治験に参加して治験薬が自分に合っていた場合には、治験終了後でも希望すればそれを優先的に使わせてもらえるということが非常に大きな決め手となり、後日、電話で参加を内諾した。副作用が出たら24時間体制で対応してもらえること、治験が終わってもこの病院で診てくれると言われたこと、もともとかかっていた病院との調整などすべて医師がやってくれたことなどもよかった。参加を決めてからは、検査で週1回のペースで通院していたが、途中担当医師が海外出張で長期不在にすることになり、その間にはただ血液検査に通っているだけだった。
さすがに不安になってきたので、自宅で説明文書を読み返していたところ、ある日、妊娠に関する副作用のことが書いてあることに気づいた。治験のコーディネーター(CRC)から受けた事前説明はスケジュールのことが主で、副作用については詳しい説明がなかったように思ったのでCRCに電話をした。しかし、CRCには、医師が帰ってきてから直接質問するように言われた。医師が戻ってきてから質問したところ、態度が急変し「やりたくないということでしょ」と言われ、もう治験に参加しなくてよいと言われた。最初の病院に戻るようにも言われ、治験参加前にはこちらに転院してきてよいということだったのに話が違うと思い、別の病院を探すことにした。このような医師の対応に強いショックを受けたが、とにかく次の病院を探さなければならなかったので、それどころではなかった。他の病院では、この治験の話をすると気まずくなりそうだったのですることができなかった。
両親は高齢だったこともあり、病気の話はあまりできず、治験についても詳しい話はしなかった。幼なじみの友人が、一緒に治験の説明も聞いてくれたが、治験をやってみようと思うと報告すると、どんな副作用があるかもまだわからないのに、本当に大丈夫かと心配してくれた。
それまで治験という言葉は聞いたことがあったが、研究所が併設されているような大学病院でやっているものだと思っていた。治験に関する情報収集は全くしていなかった。治験の話を紹介されたときも、誰に聞いていいかもわからないし、そもそも治験の情報は、大学病院の秘密情報のようなものという感じで、普通の人が調べられると思わなかった。また、情報を得て、自分から参加したいということを表明できるとも思っていなかった。
ふり返ってみると、説明を求めたら全てを放棄されたような状態で何が起こったかよくわからない。しかし、治験自体に対してはマイナスのイメージは持っていない。リスクを理解した上で最後まであきらめてはいけないと思う。追いつめられた状態で判断しなければならないこともあると思うが、どんな副作用があるか、未知であってもその副作用が出るかもしれないということだけでも把握できれば判断はできるかもしれないので、情報が大事だと思う。また、医師との信頼感がとても大事だと思う。医師が考える都合や思惑もあると思うが、なるべく誠実に公開してもらえたらよいと思う。今は、非常に信頼する医師に出会えているので、その医師からであればメリットとデメリットについて説明を受け、リスクと対応を説明してもらえれば、治験に対するアレルギーはないし、前向きに考えることもできると思う。
治験に参加して治験薬が自分に合っていた場合には、治験終了後でも希望すればそれを優先的に使わせてもらえるということが非常に大きな決め手となり、後日、電話で参加を内諾した。副作用が出たら24時間体制で対応してもらえること、治験が終わってもこの病院で診てくれると言われたこと、もともとかかっていた病院との調整などすべて医師がやってくれたことなどもよかった。参加を決めてからは、検査で週1回のペースで通院していたが、途中担当医師が海外出張で長期不在にすることになり、その間にはただ血液検査に通っているだけだった。
さすがに不安になってきたので、自宅で説明文書を読み返していたところ、ある日、妊娠に関する副作用のことが書いてあることに気づいた。治験のコーディネーター(CRC)から受けた事前説明はスケジュールのことが主で、副作用については詳しい説明がなかったように思ったのでCRCに電話をした。しかし、CRCには、医師が帰ってきてから直接質問するように言われた。医師が戻ってきてから質問したところ、態度が急変し「やりたくないということでしょ」と言われ、もう治験に参加しなくてよいと言われた。最初の病院に戻るようにも言われ、治験参加前にはこちらに転院してきてよいということだったのに話が違うと思い、別の病院を探すことにした。このような医師の対応に強いショックを受けたが、とにかく次の病院を探さなければならなかったので、それどころではなかった。他の病院では、この治験の話をすると気まずくなりそうだったのですることができなかった。
両親は高齢だったこともあり、病気の話はあまりできず、治験についても詳しい話はしなかった。幼なじみの友人が、一緒に治験の説明も聞いてくれたが、治験をやってみようと思うと報告すると、どんな副作用があるかもまだわからないのに、本当に大丈夫かと心配してくれた。
それまで治験という言葉は聞いたことがあったが、研究所が併設されているような大学病院でやっているものだと思っていた。治験に関する情報収集は全くしていなかった。治験の話を紹介されたときも、誰に聞いていいかもわからないし、そもそも治験の情報は、大学病院の秘密情報のようなものという感じで、普通の人が調べられると思わなかった。また、情報を得て、自分から参加したいということを表明できるとも思っていなかった。
ふり返ってみると、説明を求めたら全てを放棄されたような状態で何が起こったかよくわからない。しかし、治験自体に対してはマイナスのイメージは持っていない。リスクを理解した上で最後まであきらめてはいけないと思う。追いつめられた状態で判断しなければならないこともあると思うが、どんな副作用があるか、未知であってもその副作用が出るかもしれないということだけでも把握できれば判断はできるかもしれないので、情報が大事だと思う。また、医師との信頼感がとても大事だと思う。医師が考える都合や思惑もあると思うが、なるべく誠実に公開してもらえたらよいと思う。今は、非常に信頼する医師に出会えているので、その医師からであればメリットとデメリットについて説明を受け、リスクと対応を説明してもらえれば、治験に対するアレルギーはないし、前向きに考えることもできると思う。
インタビュー16
- 自分自身は結果的に治験を受けなかったが、治験に対してマイナスのイメージはない。リスクや副作用をきちんと理解した上でなら治験も貴重な選択肢の一つだと思う(音声のみ)
- 両親は高齢で病気のことをあまり話していなかったので、治験に関しても新薬を試してみるぐらいしか言えなかったが、友人には一緒に治験の説明を聞いてもらった(音声のみ)
- 最初に医師からいい薬があるが試してみないかと言われたときは治験だと思わなかった。話が進んでから、実は認可されていないので治験になる、と言われた(音声のみ)
- コーディネーターは事前説明の時はとても丁寧で親切だったが、後日副作用について質問すると急によそよそしくなって「先生に直接聞いてください」といわれた(音声のみ)
- 副作用が出たら24時間いつでも診てあげるといわれて参加を決めたが、CRCは副作用については書類を読んでくださいというだけで詳しく説明してくれなかった(音声のみ)
- CRCは検査と薬のスケジュール、入院の病室や室料など具体的な細かい説明ばかりで、同意しても途中で自分からやめられるということの説明は印象に残っていない(音声のみ)
- 白血病の標準治療薬で副作用が出てしまい、休薬しているときにセカンドオピニオンを聞きにいった先で、治験のことを詳しく説明された(音声のみ)