国立病院機構大阪医療センター臨床研究推進室長。
CRC(臨床研究コーディネーター)として臨床では消化器、乳腺外科、耳鼻咽喉科、泌尿器科等のがん疾患や循環器疾患、小児疾患等、幅広い治験や臨床試験を支援してきた。また、国立病院機構本部では治験専門職として全国の国立病院機構施設の医師やCRCの教育等を行い、厚生労働省では治験推進指導官として臨床研究・治験活性化に携わってきた。現在は、室長としてCRCの育成に力をいれている。大阪府出身。
アーカイブ
インタビュー時年齢:47歳(2015年9月)
移植後GVHD(移植片対宿主病)治療のための医療機器の治験に参加。
北海道地方在住。2005年ごろに悪性リンパ腫と診断され、造血幹細胞移植を受けてから慢性GVHDとなり、通院療養していた。2014年暮れに主治医から、うまくいけば長年服用しているステロイドの量が減らせるかもしれないと、医療機器の治験に誘われた。患者として役に立てる機会があることが嬉しく、承諾した。参加中、貧血で輸血が必要になることもあったが、半年間の治験スケジュールを完了した。
インタビュー時年齢:69歳(2015年5月)
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の補助療法の治験(第3相・プラセボ対照試験)に参加したが、再発して中止。
九州地方在住。2007年にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断され、抗がん剤治療を受けて一旦寛解状態になった。その後の補助療法を検討する中で主治医から医薬品の治験を紹介されて参加したが、試験期間中に再発し中止。再発時には「プラセボだったか」ととも考えたが、後悔は全く無かった。今後もできることがあれば最大限協力したいと思っている。
インタビュー時年齢:71歳(2015年5月)
前立腺がんの免疫療法の臨床試験(第2相)に参加したが、効果が見られず、自ら中止を決断。
首都圏在住。健康診断でPSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)値が高いことがわかり、精密検査を受けたところ前立腺がんという診断を受けた。テレビ番組で紹介されていた免疫療法を試したいと思い、臨床試験をしている大学病院に連絡して2012年6月頃から参加した。しかし、高額な費用に見合うだけの効果がみられず、3クール終わった時点で中止を申し出た。
インタビュー時年齢:29歳(2015年4月)
にきびの治療薬の治験(詳細不明)に参加したが、自己都合で中止。
北陸地方在住。2005年頃、顔面のあざ(太田母斑)の治療を受けていた皮膚科で、にきびの塗り薬の治験を紹介され、既存の薬とは別のものを試したいと思い参加したが、進学に伴う生活の変化で続けられなくなり同意撤回した。参加中はCRCといろいろな話ができ、気分転換になった。後日、にきびの治療薬を処方された際、主治医から治験のときの薬だと知らされた。
インタビュー時年齢:71歳(2015年4月)
直腸がんの術前化学放射線療法の臨床試験(詳細不明)に参加。
関西在住。2011年に直腸がんであることが判明。直ちに手術をするか、先に放射線治療と抗がん剤治療を行なってから手術をする臨床試験の二択があると説明された。何か協力できればという思いから、臨床試験に参加した。術後3年半経つが、いまも体調がすぐれず、放射線治療の影響ではないかと疑っている。しかし、自分で決めたことなので参加したことに後悔はない。
インタビュー時年齢:46歳(2015年4月)・女性
尋常性乾癬の治療のための生物学的製剤の治験(第2相・プラセボ対照試験)に参加。
四国地方在住。尋常性乾癬という皮膚の病気でかかっていた大学病院の主治医から紹介され、2012年頃から参加し(第2相)、2015年現在も第3相に参加中。受けてみたいと思っていた薬で、途中でやめるのも自由だったのですぐに同意した。この薬が高額なのは知っていて、治験費用が無料なのは怖いとも思った。承認後もこの高額な薬を使い続けるために、何らかの公的支援が欲しい。
インタビュー時年齢:58歳(2015年4月)
過活動膀胱の治療薬の治験(第何相かは不明・プラセボ対照試験)に2回参加。
中国地方在住。2004~5年ごろ、1度目は、過活動膀胱で通院していたときに新聞広告を見て電話で問い合わせた。指定の病院で治験コーディネーターが大変詳しく説明してくれたのでその場で同意した(【1】)。2度目は、院内掲示を見て参加した(【2】)。そのとき1度目の治験の薬が承認されたと聞き、とても嬉しく思った。
インタビュー時年齢:39歳(2015年4月)
潰瘍性大腸炎の治療薬の用法・用量を変更するための治験(第3相・実薬対照試験)に参加。
北海道在住。1995年に潰瘍性大腸炎を発症。発病してから3年半後に再燃と寛解を繰り返すことになり、現在も専門病院で治療中。病院で治験参加者募集のポスターを目にし、主治医に自分が参加できるものがあれば参加すると伝えていた。2010年に主治医から治験があると声をかけられ、普段飲んでいる薬の用法用量を変えるものだったのでさほど抵抗なく引き受け、約1年間参加した。
インタビュー時年齢:71歳(2015年4月)
大腿骨頸部骨折の手術後に服用する薬の治験(詳細不明)に参加。
北海道在住。2010年ごろ、大腿骨頸部骨折で入院する際に骨折患者で体が健康な人を対象とした治験に誘われた。骨折直後のことで何のための薬かも覚えていないが、人の役に立てると思って参加した。入院中に薬を1日2回飲み、エコー、心電図等の検査を受け、造影剤を入れてレントゲン撮影をした。撮影の際、今でもその跡が残るほど足首を締めつけられて痛かったが、誰かの役に立ててよかったと思う。