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インタビュー時年齢:79歳(2015年4月)
C型肝炎の治療薬の治験(詳細不明)に参加したが、副作用が出て中止。
北海道在住。C型肝炎でインターフェロン治療を受けていたが、2000年ごろ、主治医から治験参加を勧められた。娘や友人にも反対されたが、当たり前のように飲んでいる薬も誰かが治験をやったものなのだから、自分で役に立つのならと受けることに決めた。しかし、試験期間の半ばほどで、副作用と思われるサルコイドーシス(「肉芽腫」という結節が皮膚や目、肺など、全身の臓器にできる病気)になり、中止となった。
語りの内容
―― 最初、治験のことを言われたときに、その、誰かがやらないと、この薬が日本人に合うか分かんないんだからっていって、参加されたという話があったと思うんですけど。途中で治験駄目になったじゃないですか。で、それで、今、ちょっと振り返ってみて、で、その、人の役に立てたなとか(感じていますか?)。
いや、それは、立てたか立てないか、わたしのここまでのことでは分からない。
―― 何か、先生から、でもここまで参加してくれて、データ役に立ちましたよとか、そういう話ってありましたか。
いやあ、それを、役に立てたかどうかは分からないけど、いや、残念だったねってね。一緒になって、「いやあ、残念だわ」って言って、先生も「残念だったね」って、言ってくれたけど。あの薬がね、あ、日本人に合って、今どんどん使っているんだよとか。そういうことを、先生からも聞かないし、わたしも聞かなかった。
―― それ、何か知りたいなとかは思わないですか。
いやあ、もう、そのときで、もう、これは終わってしまったっていう感じ。
―― じゃ、もう、ご自身が、治験終わったら、まあ、そのあとのことは特に。
うん、今、そう言われてみればね、聞いて、聞いてみてもよかったなと思うけど。全然、もう、もう、駄目だったら、わたしがね、役に立つことはできなかったんだわって。だけど、どこもここも丈夫だからね。よく、献体の話あるでしょう。したいと思うけど、C型肝炎だったら献体もできないもんね。
―― ああ、そうなんですか。
いや、そうでしよう。だって、血液の、ウィルスが血液の病気だからね。だから、何でもね、あのー、役に立つことだったら、やっぱりしたい。できる、できる範囲で、自分が、と思っているから、これ駄目になったから、もう、わたし駄目なんだから、何ともいいようないでしょう。効いたか効かないか。
インタビュー32
- これまで当たり前のように薬を飲んだり注射したりしているが、それも誰かが治験をやったから。自分も役に立てるなら参加してもいいと思った
- 参加した治験がどうなったか聞いていない。副作用で治験を中止した時点で自分の中では終わってしまった感じで、自分は役に立つことができなかったのではないかと思っている
- 治験参加中に副作用と思われるサルコイドーシス(※)を発症して、治験を続けたかったが、基準に反するということで中止になってしまった
- 息子は私のしたい通りにすればいいという反応だったが、娘は涙ぐみ、どうしてそんなことをするのかと大反対だった
- 友達は「試験材料にされる」と言って誰一人賛成しなかったが、「殺すためでなく治すためにやるんだから」といってその意見は聞かずに参加を決めた