主治医から「臨床試験・治験に参加してみませんか?」と言われたとき、もし自分が臨床試験・治験のことをあまり知らなかったら。もしくはあまり良い印象を持っていなかったら。どうしていいかわからないけれど相談する人もいなかったら。参加したほうがいいのか/しないほうがいいのか、その判断がつかないこともあるかもしれません。そのような人たちへ実際に臨床試験・治験にかかわった方たちが、伝えたいことはなんでしょうか。ここでは、臨床試験・治験に参加しようか考えている人たちへのメッセージをみていくことにします。
積極的に参加を勧める
全体としては、自分の経験をふまえて「他の人にも参加を勧めたい」という意見が多く聞かれました。そのように語った方たちはなぜそう思ったのでしょうか。「誰かの役に立てる」「新薬の開発に携わることができる」といった理由で、「世のため人のために」参加することを勧める声もあれば、「自分の病気が治る可能性がある」「治療の選択肢のひとつとして考えられる」といった理由で、「自分のために」参加を勧める声もありました。
また、参加を勧める人のなかには、参加したけれども効果が得られなかった人や、参加したかったけれども参加できなかった人もいましたが、そういった人たちも必ずしも臨床試験・治験には否定的ではありませんでした。
臨床試験・治験は怖いものではない
今回のインタビューでは、臨床試験・治験に大して否定的なイメージを持っている人に対するメッセージも聞かれました。自身もCRC(臨床研究コーディネイター)として働く次の女性は、臨床試験・治験は怖いものではないし、デメリットばかりでもないので、恐れずに医療従事者に話を聞いて見ることを提案しています。そのような専門職でなくても、初めから否定せずに説明を受けることを勧める人がいました。
また、臨床試験・治験に参加している途中でも、もし嫌になったら途中でやめることもできるのでまずはやってみることを提案している人もいました。
自分で納得して参加することが大事
「他の人にも治験への参加を勧めますか?」という質問に対しては、「積極的に勧めたい」という人がいる一方で、「人によって状況が異なるので、一概には勧められない」と答えた方も複数いました。最終的には、各人が十分に情報を得て納得して判断することが大事だと話しています。
これから参加しようと思っている人へ
インタビューでは、実際に参加した立場から、これからの参加しようとしている人に対するアドバイスも聞くことができました。まずは、わからないことは何でも聞けるような医療者との関係づくり、そして参加の判断には十分に時間をかけることが大事だと話しています。
自分にとってのメリット・デメリットをよく考えて参加を判断するということも大事ですが、次の方々は臨床試験・治験に参加する際の心構えについても話していました。
臨床試験・治験は新薬開発に必要な工程で、決して恐ろしいものではないのですが、リスクが全くないとは言えません。万が一のことがあった時のことも想像して、参加するかどうか決めなければならないと話す人たちもいました。
2016年11月公開
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