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インタビュー時年齢:33歳(2015年3月)
脊髄損傷に対する再生医療の臨床試験に誘われたが、不参加。
関西地方在住。高校生のときに事故のため頸髄を損傷し、車椅子で生活している。当事者団体の会報誌で再生医療のことを知り大いに期待するようになった。2005-6年ごろ、慢性期脊髄損傷に対する自家嗅粘膜移植による再生医療の臨床試験があることを知り、期待して説明会に臨んだ。しかし、初回受診時に実際の外科手術の映像を見て不安になり、期待される回復も限定的だったので、しばらく考えているうちに、それきりになってしまった。
語りの内容
―― ご家族の話出てきたんですけど、ご家族はそもそも(臨床試験の)説明会に参加ぐらいのときから、どういう反応を示されていました。
うーん、特に、わたしと一緒に、特に何も言っていなかったような気がします。
―― じゃ、こういう臨床試験あるっぽいんだけどっていう相談っていうのも、事前に親御さんにしたりとか。
はい。再生医療に関しては、いろいろ普段から話していましたし、わたしが興味持っているっていうことも一番理解してくれていたので、新聞に出たら切り抜いて置いておいてくれたりとかしていたので、一緒にわたしも(臨床試験の説明会に)行っていたんですけど。でも、やっぱり「外科的な手術は怖いね」とかいう話をしたりとか。それに、鼻の粘膜は、何が効くか分からないので「そのまま切り刻んで入れるっていうのは、何か、ちょっと怖いね」っていう話はしていたと思います。
―― じゃ、その大阪のほうの大学病院の1度目の受診のあと、まあ、不安のほうが大きくなった。どんどん、不安しかなくなってきた。
あ、そうですね。
―― で、それをご家族の方にも伝えた。
はい。
―― ご家族の方は、みんな、うーん、それはっていう感じが、はい。
ああ、そうですね。
インタビュー30
- どうしても治りたいという思いで受ける人もいるが、副作用や痛みを想像してきちんと考えた上で決めなくてはならないと思う
- 慢性期の脊髄損傷の再生医療の臨床試験があることを知り、MRIを取り寄せて、自身が手術対象になる3つの条件に当てはまることを確認して受診した
- 最初の説明のときに実際の手術映像を見せてもらったが、荒く感じるような手術方法だったのと、期待していたような回復は見込めないという話だったので、期待が薄れていった
- 受傷して間もない人はすぐに臨床試験に登録したいと話していたが、自分は受傷から時間が経ち、大学にも行けるようになっていたので、もう少し冷静に受け止めていたように思う
- 自分の病気の治療法になりうる再生医療については家族と普段から話していたが、臨床試験で受ける手術については「ちょっと怖いね」という話をしていた
- 再生医療という技術に衝撃を受け、ニュースや脊髄損傷の当事者団体の会報などを見て、当時一番臨床試験に近いといわれていた病院を受診して最新情報を得ていた