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インタビュー時年齢:50歳 (2021年1月)
感染時期:2020年3月
背景:関西圏在住の男性、医師。妻、娘2名(当時高校生・中学生)と同居。
喉の痛みと発熱があり、PCR検査を受け感染が判明。入院後も発熱は続き、味覚・嗅覚障害のほか、せきも出ていた。症状が軽快してもなかなかPCR検査が2回連続陰性にならず、2週間の入院後、宿泊療養施設へ移って3日後にようやく隔離解除となった。しかし、家族にうつすのが心配で、1週間ほど近隣のホテルに滞在し、自宅に戻った後も、数日はベランダに張ったテントで過ごしたりもした。
語りの内容
そのとき(入院中)にまあ、コーラをなんか、なんかそういうちょっと冷たくてシュワッとしたのが欲しくて、コーラもくださいっていうんで、コーラを(発症して7日目の)3日の日に飲んだら、味が全然しなくて。最初は何かなと思ったけど、何て言うんですかね、こう、甘みだけ感じる砂糖水みたいな感じで。や、これはちょうどその頃、言われてた味覚障害、嗅覚障害なのかなと思って。看護婦さんが来たので聞いてみると、臭いどうですかっていうので、臭いするの、そのときなかったんですけど、整髪料があったんで、それ臭うと、もう全然臭いしないんで、ああ、味覚も嗅覚も障害されたなっていうのを実感しました。
その症状自体はいいんですけど、まあ、入院してて、あんまやることもなくて、ご飯が、食べるぐらいしか楽しみがないんですけど、その病院も決して期待して僕は行ったんじゃないんですけど、意外と病院食がおいしくて。まあ、不幸中の幸いだったとは思ってますけど。だから食事3回するのが、ま、1日の中の唯一の楽しみぐらいではあったんですけど。その、味がなくなったんで、ちょっとこう、残念でしたね。
で、そのときだったかなー。あの、おすしをちょっと知り合いの人が差し入れしてくれたんですけど、それがそんなときなので、なんかこう、食べても味が分からなくて、でまあ、マグロだったらマグロ、ハマチだったらハマチって、見ながら食べたらそういう気にはなって、味しないんですけど、こう、目で見て確認して、味を思い出して食べるっていう感じで。食べたらいいんですけど、目つぶって食べたら、もう何食べてるのか全然分からない状態でしたね。
で結局、1日3回の食事も、それでちょっと学習したんで、自分でこう味を思い出しながら食べると。今日は肉じゃがなら、肉じゃがの味を思い出しながら食べると、ああ、なんか人間の記憶ってすごいなと思いながら、まあ、それは食べてました、そのときはね。で、実は4月4日は、えー、まあ、味もなくて、まだ熱もずっと38度あって、せきが出てて、ちょうどそのときに、えー、私50歳の誕生日がちょうど4月4日で、まあ人生最悪の(笑)誕生日を迎えたのが、4月4日でしたね。
インタビュー04
- 担当していたスポーツチームの関係者がコロナ陽性だったのでそこからうつった可能性はあるが、ほとんど接触もなくクラスター*にもならなかったので別ルートかもしれない(テキストのみ)
- 喉の痛みと微熱に気づき、翌日には解熱剤を飲んでも38℃を超えたのでインフルエンザだったらいいと思い、インフルエンザの検査を受けたが、結果は陰性でがっかりした
- 入院中は潜伏期間中にうつしてしまった人がいるのではないかと心配したが、1週間経って誰も発症しなかったので、人に迷惑をかけなくてよかったと思った
- 1日3〜5回看護師が熱や血圧などを測るため訪室し、胸の音を聞いたりするので、感染させてしまうのが心配だった。自分は医師なので、自分で測定して報告すると申し出た
- 保健所からは退所後は1週間自宅待機と言われたが、他の自治体では2週間というところもあり、まだ家族にうつす可能性があるのではないかと不安で自宅には帰れなかった
- 仕事について考え方が変わった。これまでかなり頑張って仕事をしてきたが、これからは家族や自分のことにもっと重点をおいてもいいと思うようになった
- 入院中コーラを飲んだら甘い砂糖水みたいだった。整髪剤の匂いも感じなかった。食事が唯一の楽しみだったので残念だった。1つずつ味を思い出しながら食べるようにした